横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市都筑区早渕
早渕公園
October 2013
早渕公園
横浜市都筑区早渕地区の中央部に地区の名を冠した早渕公園がある。36000平方メートルを超える面積を有し、なかなか広い公園だが、そのほとんどを雑木林の丘が占め、住宅街の中に浮かぶ緑の島のような様相を見せている。
早渕公園
公園西側に設けられたエントランスが、おそらく早渕公園のメインエントランスと言っていいのだろう。ゲートを思わせるアーチが設けられ、園路が公園内へと延びている。園路の途中には複合遊具やパーゴラ、トイレなどが設けられており、この一角が位置的にも公園の中心と言っていい。パーゴラはベンチが設けられ、その前には砂場も置かれている。複合遊具や砂場は近隣に暮らす子どもたちの遊び場として設けられたものと思うが、訪れたときには子どもたちの姿はなかった。

早渕公園
西側のエントランスから園路を辿って園内に入ると、右手には広場がある。野球場やソフトボール場としても使える多目的広場だ。広場はなかなか広く、開放感がある。広場の北東側の角には対になったモニュメントが設置されているが、ベンチを備えたモニュメントは四阿としても機能するのだろう。そのモニュメントの周囲は円弧状のスロープが階段状に造られ、“観覧席”を思わせる構造になっている。この一角の景観が、おそらく早渕公園を象徴するものと言っていいのではないか。広場側から見る景観もいいが、“観覧席”の背後からモニュメント越しに広場を眺めるのもいい。

早渕公園
多目的広場の北側、公園の三分の二ほどの面積を占めて、雑木林の丘が横たわっている。トイレの横手に、丘へと登る道がある。急坂となった道を上って丘上に着くと、丘の端部となったところに展望所が設けられている。展望所はなかなかの高所で、多目的広場を眼下に見下ろし、その向こうに周辺の街並みが広がり、見事な眺望が広がる。遠くに見える景色に目を凝らし、「あれはどの辺りだろうか」と地図と照らし合わせてみるのも楽しい。ひととき風に吹かれながら、丘からの眺望を堪能するのも一興というものだろう。

早渕公園
展望所から尾根道が北へ延びている。おそらくこの辺りが住宅地として造成される以前から存在した丘なのだろう。その植生も当時のままなのではないだろうか。尾根道の途中にはゴンズイの木を見つけた。ゴンズイの木はミツバウツギ科の落葉樹で、初夏に黄緑色の花を咲かせ、秋に赤い実をつける。赤い実はやがて割れて、中の黒い種子が顔を出す。その様子が“目”のように見えておもしろいのだが、すでに実は大きく割れて黒い種子がすっかり現れ、“目”のように見える時期を過ぎていた。

早渕公園
尾根道は鬱蒼と木々の茂った雑木林へと分け入り、ゆっくりと下ってゆく。途中の分かれ道は公園北側に設けられたエントランスに続いている。林の中の道をそのまま辿れば林の外縁部を回り込み、竹林の中を下って西側の谷戸へと至る。この谷戸にも公園のエントランスのひとつが設けられている。谷戸は鬱蒼と茂る木々に包まれて薄暗いが、ベンチを置いた広場も設けられている。谷戸を奥には見事な竹林が広がっている。谷戸から逆光で竹林を見上げれば、幾筋もの竹の陰が延びて少しばかり幻想的な光景を見せる。その中を上ってゆけば公園中心部のパーゴラの裏へと出る。
早渕公園早渕公園
早渕公園は多目的広場が設けられてはいるものの、北側の半分以上を占める雑木林の丘が魅力の公園だと言えるだろう。おそらく周辺が住宅地として造成される際、昔からの雑木林の一部をそのまま保存活用する目的も兼ねて公園が設けられたものではないか。木々の茂る丘や見事な竹林を残して自然溢れる公園は、近隣に暮らす人たちの憩いの場として貴重なものに違いない。普段の管理は愛護会の方々が行っておられるようだ。

あくまで地元の人たちのための公園という印象で、遠方からでも訪ねたくなるような“行楽地”的性格を持つ公園ではないが、雑木林散策の好きな人なら一度は訪ねてみたい公園と言っていいかもしれない。公園の東側には「せきれいのみち」という名の緑道が沿っており、「せきれいのみち」が港北ニュータウン東部の地域を南北に辿って大小の公園を繋いでいる。「せきれいのみち」散策と併せて訪ねてみるのがお勧めだ。今回訪れたのは十月、公園内では金木犀の花があちこちで咲き、秋の香りを漂わせていた。
早渕公園

早渕公園