横浜線沿線散歩公園探訪
川崎市麻生区上麻生
上麻生隠れ谷公園
May 2009
上麻生隠れ谷公園
川崎市麻生区上麻生三丁目、小田急線新百合ヶ丘駅の西側に位置して「上麻生隠れ谷公園」という小公園がある。広場を置き、各種遊具類が設けられ、樹林があり、コンパクトながらもバランスの良い公園という印象だ。新百合ヶ丘駅に近い立地だが、公園の周辺は基本的に住宅地で、公園はその住宅地に暮らす人たちの憩いの場として、地域のコミュニティづくりの拠点として親しまれている。
上麻生隠れ谷公園
「隠れ谷(かくれやと)」という、その名にまず興味を覚える。「谷(やと)」は関東では広く使われる言葉で、尾根筋に挟まれた低地部分を指す。通常は「谷戸」と書くが、「谷」と書いて「やと」と読むのは川崎市麻生区から横浜市青葉区や都筑区辺りで多く目にする。興味を覚えるのは「隠れ」の方だ。”その存在があまり人々に知られていなかった”という意味で「隠れ谷」なのだろうかと思ってしまうが、どうやらそうではないらしい。「麻生まちづくり市民の会広報 第6号(2004年6月発行)」に記されているところに依れば、1530年(享禄3年)、上杉朝興と北条氏康が戦った、いわゆる「小沢原の戦い」の際、北条側の軍勢が隠れ、武器を隠したところだったらしく、そこから「隠れ谷」の名があるのだという。公園の周辺には高層の住宅が建ち並び、すっかり現代的な風景だが、公園の名に遠い昔の出来事を想像してみるのも楽しい。
上麻生隠れ谷公園
ほぼ三角形をした公園は、その中央部にフェンスで囲まれた「自由広場」があり、その周囲に各種の遊具類が設置されている。遊具はブランコや滑り台、シーソー、鉄棒といった基本的なものがほとんどだが、よじ登ったりぶら下がったりして遊ぶ金属製の遊具もあり、これはあまり他の公園では見られないものだ。訪れたときは公園で遊ぶ子どもたちの姿はなかったが、時間帯によっては大勢の子どもたちで賑わうのだろう。「自由広場」の東側には砂場があり、その横手にはパーゴラが設けられ、ベンチが置かれている。小さな子どもたちを砂場で遊ばせながら、お母さんたちはパーゴラの下で一休みというわけだ。この砂場とパーゴラは上から見ると六角形のモチーフで造られており、その造形もなかなか洒落ている。
上麻生隠れ谷公園上麻生隠れ谷公園

上麻生隠れ谷公園上麻生隠れ谷公園
上麻生隠れ谷公園
公園の外縁部には公園を包むように木々が茂っている。木々は密に過ぎず、疎らに過ぎず、程良く公園内と外とを隔てている。これより木々が密だと閉塞感をもたらすだろうし、木々が疎らだと落ち着かない印象に繋がってしまう。その辺りのバランスがなかなか難しいところだ。公園の北端部分の一角には小規模ながらも林があり、四阿も設置され、ベンチと一体になった形状の、いわゆる”ピクニックテーブル”も置かれている。このテーブルでお茶を飲みながらのんびりと一休みするのはとても心地よいひとときだ。
前述の「麻生まちづくり市民の会広報 第6号(2004年6月発行)」によれば、この隠れ谷公園は以前は外からの見通しが悪く、暗く、あまり手入れもされていなかったという。それを再整備し、2004年(平成16年)4月に現在の形となったようだ。再整備に伴い、「隠れ谷倶楽部」という名の公園愛護会が発足し、公園の手入れを行っているらしい。その甲斐があってか、訪れたときにも公園内には荒れたところがまったくなく、端正に整えられている印象があった。小規模な公園だが、バランス良くまとまり、地域の人たちの憩いの場としての役割を充分に担っているように思える。
上麻生隠れ谷公園