横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市緑区三保町
三保市民の森
September 2002
三保市民の森
横浜市緑区三保町の南西部に「三保市民の森」がある。南西側の尾根から北東側の谷戸へ落ちる形の斜面林で、谷戸の周辺は梅田川の源流域でもある。南西側の尾根は緑区と旭区との区境にも当たっており、西側には若葉台の住宅街が迫っている。市民の森は40ヘクタールほどの面積で、民間の山林を借りて「市民の森」として整備したものだという。日常の整備は「三保市民の森愛護会」が行っており、市民の森の中を辿る散策路や四阿のある広場などが整備されている。

東側には中山駅方面から梅田谷戸を抜けて川井宿町方面とを繋ぐバス路線が抜けており、バスで訪れる際にはこの路線の「三保市民の森」バス停で降りれば至近だ。バスは平均すれば一時間に一本ほどが通っているが、朝夕は便数が多く、午後は少ない。バス停横には駐車場も設けられているのだが、入口にチェーンが渡されて利用できないようだった。あるいは日曜祝日のみ解放されるのかもしれない。
バス停横の小径の入口に「三保市民の森」を示す案内板が設置されている。小径を10メートルほど入り込むと市民の森だ。林の周囲に沿うように小径が辿っている。そのまま真っ直ぐに延びる小径は「谷道」で、北東側の谷戸に沿って市民の森の端を辿っている。左手に曲がって緩やかに登っていく小径を辿ると、「三保平」という広場を経由して「尾根道」へ至っている。

三保平
「尾根道」を目指して左に折れて小径を辿ると、間もなく「三保平」に着く。「三保平」は木立に囲まれた広場で、傍らには四阿やベンチなどを設置した一角もある。広場の隅の花壇に花々が咲いている。これも愛護会の人たちによるのだろう。「三保平」の周囲には桜の木も多く、春にはお花見の人たちで賑わうのではないかと思える。

「三保平」を過ぎると道は林の中を登ってゆく。鬱蒼とした木立で昼間でも薄暗い。やがて南側の尾根に達すると、尾根に横たわるコンクリートの構造物が目に入るが、これは横浜市水道局の施設だ。尾根伝いに西へ向かうと、やがて前方に突然視界が開け、近代的な住宅街が広がる。若葉台の住宅街だ。この住宅地も造成される以前は市民の森と同じような雑木林の丘だったのだろう。

尾根道
「尾根道」は市民の森の西の端を若葉台の住宅街を西に見ながら北へ辿っている。東には木々の茂った雑木林が広がり、西には団地の建物が並ぶ。尾根道を進むと、「きじが原」という広場がある。それほど広くはないが、若葉台の住宅街に暮らす人たちにとってはちょっとした憩いの場として良い場所であることだろう。広場周辺は桜の木が多く、春はお花見の名所であるかもしれない。「きじが原」からさらに尾根道を辿ると、やがて市民の森の北端へと至る。
案内板
尾根道からは林の中へ分け入ってゆく小径が何本も延びている。それぞれの小径は木立を縫うように延びて尾根道と谷道とを繋いでいる。林の中の小径や尾根道の脇には随所にベンチを置いた休憩所が設けられ、それぞれの休憩所には「ほおじろ」や「うぐいす」、「しじゅうから」、「ひよどり」といった鳥の名が付けられている。それらの休憩所とその名が市民の森の中の一種の道標のように機能しているようでもある。

尾根道と谷道とを繋ぐ小径のひとつを辿ると、途中に「天狗の踊り場」という場所がある。林の中の一角にぽっかりと開けた空間があり、休憩所としてベンチなどが設置されている。「天狗の踊り場」とはなかなか興趣のある名だが、あるいは市民の森として整備される以前から、近辺の人々によって呼び慣わされてきた名であるのかもしれない。
谷道
谷道は市民の森の北側の端を辿っているが、この谷道の風情もいい。北側に広がる谷戸の様子もよく、少ないながらも水田があって農作業中の人の姿が見える。谷戸のさらに北の丘の斜面に見える畑地も昔ながらの里山の風情を保って、それらの風景を見ながらの散策は心和むものだ。

市民の森の中央辺り、谷道に近く「小鳥のオアシス」と名付けられた場所がある。林の中の谷戸部分の湿地で、湧き水と思われる流れを集めて小さな池が作られている。その名から推測できるように、水場を求める野鳥の姿が見られるのかもしれない。訪れた時には残念ながら特に野鳥の姿を見ることはなかった。
三保市民の森三保市民の森
三保市民の森はほぼそのすべてが雑木林であり、野鳥の声を聴きながら木立の間を辿ってゆくのが楽しい。基本的に北斜面であるために午後になると全体が薄暗くなる印象だが、林の中に身を沈めるようなひっそりとした感じも悪くない。手軽に味わえる「森林浴」といったところだろうか。春の桜の時期や新緑の季節、晩秋の紅葉の時期など、それぞれにその魅力が味わえるのではないかと思える。
三保市民の森