横浜線沿線散歩公園探訪
川崎市麻生区王禅寺
王禅寺ふるさと公園
May 2008
王禅寺ふるさと公園
川崎市麻生区の南東部、横浜市青葉区との市境も近い王禅寺の町に「王禅寺ふるさと公園」という公園がある。川崎市の市制60周年(川崎市の市制施行は1924年(大正13年)のこと)を記念して計画された公園という。10haほどの面積を有する公園は、その半分ほどを雑木林が占め、北側に広場などを設けて構成されている。緑濃く、自然溢れる公園で、市民の憩いの場として親しまれている。
王禅寺ふるさと公園
王禅寺ふるさと公園は、その北西側、王禅寺東三丁目の町に面してメインエントランスが設けられている。「裏門坂」という名の交差点横にエントランスがあり、公園内に入ると小さな池が出迎えてくれる。池には東側の丘陵部から小川が流れ込んでいる。小川はもちろん人工的なものだが、自然石を用いた造りで、蛇行しながら流れ、上流部には小さな滝も設けられており、山間の渓流を彷彿とさせる造りになっている。多摩川をイメージしたものであるらしい。整備が行き届いているのか、汚い印象はまったくなかった。初夏から夏にかけては子どもたちの水遊びの場所になることだろう。

王禅寺ふるさと公園
小川を溯るように緩やかな坂道となった散策路が奧へと延びている。さらに上がってゆくと小川を見下ろすように四阿が設けられている。近代的な造りの、大きなものだ。その向こうには「多目的広場」と名付けられた草はらの広場が横たわっている。広場はなかなか広く、周囲が小高くなって木々が茂っているにも関わらず開放感もある。ところどころに樹木が枝を広げて陰を落としているのもいい。木陰では家族連れがシートを広げてランチタイムを楽しんでいる。「多目的広場」の奥まったところには遊具類が置かれており、子どもたちの遊ぶ姿がある。遊具類は特筆するほど充実したものではないが、子どもたちの遊び場としての役割を充分に果たしている。

王禅寺ふるさと公園
「多目的広場」のさらに奧には一段高くなって「見晴らし広場」と名付けられた一角がある。木製のデッキが設けられ、そこに立つと眼下に「多目的広場」を一望し、木々の向こうにはさらに遠方への眺望が楽しめる。「見晴らし広場」の横手に「禅寺丸柿の木」があった。「禅寺丸柿」はこの地方の特産品として知られ、江戸時代には江戸へ出荷されて貴重な収入源となっていたという。保存会があるらしく、公園内の禅寺丸柿は保存会によって植栽されたものなのだろう。公園東側に隣接する王禅寺に「禅寺丸柿」の原木があり、「柿生」の地名の由来にもなった。興味のある人は立ち寄ってみるといい。

王禅寺ふるさと公園
「多目的広場」の北側には、これも一段高くなって「展望台」が設けられている。残念ながらこの季節には周囲に木々が茂って「展望」を楽しむことはできなかった。「展望台」から林の斜面を木道階段が降りて駐車場へと繋いでいる。「裏門坂」の交差点が近いために車の騒音が届いてくるのが難点だが、木洩れ日の揺れる木道は吹き抜ける風も心地よく、木々の緑を間近に感じられるのが楽しい。木道階段の駐車場側の入口の柱の上に、昆虫を象ったものらしい、金属製のオブジェが飾られているのも楽しい。
王禅寺ふるさと公園
公園の南側半分は鬱蒼と茂る雑木林だ。林は昔ながらの多摩丘陵の姿を濃く残している。タヌキやキジが生息しているため、犬を連れて入らないようにとの旨の注意書きがある。林の中を縫って延びる散策路を歩けば、聞こえてくるのは風にそよぐ木々の音とウグイスの声だけだ。遠くから聞こえてくる車の音も、なぜか潮騒のようにも聞こえてしまう。

雑木林の中の散策路は構成が少しわかりにくく、行き止まりになっているルートや公園外に出てしまうルートもあり、散策の際には注意を要する。メインエントランス横の公園案内図に林の中の散策路のルートが記されているが、林の中に入ってしまうと途中に案内図がない。初めて林の中の散策を楽しむときには公園案内図をしっかり覚えておくか、メモしておいた方がいい。
王禅寺ふるさと公園
公園の南端、「虹ヶ丘一丁目」に面して「遠見の広場」と「草っぱら広場」と名付けられた一角がある。「遠見の広場」はすり鉢状になった草はらのスロープで、上部からはその名のようになかなか眺めがいい。場所によってはすいぶん遠くまで見渡すことができる。そこから急坂を下りた低地に「草っぱら広場」があるが、あまり広くはなく、窪地になっていて少しばかり閉塞感があるのも残念だ。

この「遠見の広場」と「草っぱら広場」の一角は、実は公園北側の「多目的広場」などの置かれた一角とは園内の通路で繋がれていない。「多目的広場」側からこちら側へと来るにはいったん公園外に出て、外の道を回ってこなくてはならない。そのためにこの一角は王禅寺ふるさと公園の一部というより、独立した他の小公園であるかのような印象だ。「虹ヶ丘一丁目」の住宅街に暮らす人たちのための場所だと考えるべきかもしれない。
王禅寺ふるさと公園王禅寺ふるさと公園
王禅寺ふるさと公園は、その半分ほどを雑木林が占めているために10haという面積ほどの広大さを感じないのも確かだが、緑に溢れた佇まいはとても魅力的だ。木々に包まれているからか、園内は静かで、車の音などもほとんど聞こえない。どこからか鳥の声が聞こえてくるばかりだ。雑木林の中の小径を辿って野趣溢れる散策を楽しむのもよく、広場でのんびりとした時を過ごすのもいい。遊具が置かれているから子ども連れにもお勧めだ。残念ながらバーベキューは禁止とのことだが、お弁当を持ってピクニック気分で訪れると楽しめるだろう。公園の東側には王禅寺があり、その周辺には畑地が広がり、昔ながらの里山の風景が残っている。足を延ばして散策してみるのも一興だろう。

駐車場は「裏門坂」交差点の東側に入口が設けられており、70台分ほどの駐車スペースが用意されている。駐車場は有料だが最初の1時間は300円、以後30分毎に50円という料金設定(2008年5月現在)は充分にリーズナブルだ。
王禅寺ふるさと公園