横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市永山
さえずりの森
(永山駅前緑地)
May 2013
さえずりの森(永山駅前緑地)
多摩市永山、永山駅の西側に鬱蒼と木々の茂った緑地がある。緑地の中には多摩丘陵古来の植生が残り、住宅街の中に位置するとは思えないような自然豊かな表情を見せる。「永山駅前緑地」という名の緑地だが、「さえずりの森」の愛称で呼ばれ、市民の手で大切に守られている。
さえずりの森(永山駅前緑地)

さえずりの森(永山駅前緑地)

さえずりの森(永山駅前緑地)
「さえずりの森」は永山駅周辺の商業施設が集まったところから永山駅前通りを挟んだ西側、永山二丁目に位置している。西方の丘上は永山ハイツの住宅地で、その丘の東側斜面に緑地がある形だ。

この緑地の特徴であり、貴重である点は、この緑地が住宅地の造成に伴って新しく造られた公園ではなく、造成時に手つかずで残されていた多摩丘陵の一部だということだ。存続が危ぶまれた時期もあったが、保存を求める市民の声も少なくなく、2006年(平成18年)に都市再生機構から多摩市が土地を取得、内部を整備して緑地として残されることになった。一般に開放されたのは2012年(平成24年)秋のことで、「永山駅前雑木林保全育成の会」がその管理に当たっている。

緑地の東側、永山駅前通りを跨ぐ人道橋の袂と、緑地の西側、永山ハイツ脇の二ヶ所に入口が設けられ、緑地を一周するように散策路が巡っている。面積は10000平方メートルを少し超えるほどと、決して広くはない。さらにその半分ほどは「植生保護エリア」となっており、散策路が巡っているのは残りの部分だから体感的には実面積よりさらに狭い。

しかしその中に入ると鬱蒼と茂る草木の豊かさに圧倒される。緑地内にはクヌギやコナラなどの木々を中心とした多摩丘陵古来の植生が残り、ニュータウンが造成される以前の風景を彷彿とさせる。よくこれだけの緑地が永山駅のすぐ近くに残っていたものだと驚きを覚える。「さえずりの森」の愛称のように緑地の中では野鳥の声が聞こえ、ひととき街の喧噪を忘れる。主要な樹木に名標が取り付けられているのも、木々に詳しくない身には嬉しい。
散策路を辿ればすぐに一周してしまうような小規模な緑地だが、雑木林散策の醍醐味を存分に味わえる緑地だと言っていい。これほどの緑地が永山駅のすぐ近くに残されているのは、多摩ニュータウンに暮らす人たちにとって(もちろん、その他の人たちにとっても)貴重な財産だと言っていいのではないか。日常的に訪れる人は少ないのではないかと思えるが、さまざまな草木が生い茂る緑地が街の中に在るということだけでも、とても大切なことだろうと思える。
さえずりの森(永山駅前緑地)