横浜線沿線散歩公園探訪
町田市忠生〜山崎町
忠生公園
June 2001
忠生公園
町田市の忠生一丁目の東端部分から隣接する山崎町にかけて、忠生公園という自然溢れる公園がある。1977年(昭和52年)に一部が開園していたのだが、その後に山崎町側の谷戸部を整備し、1997年(平成9年)に現在の形になったものだという。面積8ヘクタールほどの公園だが、その半分以上は谷戸の自然をそのまま残した自然観察園として整備され、特に湿地の自然が魅力的な公園となっている。
公園は東西に谷戸が延び、その両脇に雑木林が残され、一部に広場などが設けられた形だ。北側部分には「忠生がにやら自然館」という名の施設が設けられ、そのあたりが公園のメインの入口と考えてよいだろう。「忠生がにやら自然館」は展示ホールや講習室、図書コーナーなどを設置した施設で、公園での自然観察や学習体験の拠点となるものだ。「がにやら」というのは「カニの棲む谷戸」という意味の地元の呼び名なのだそうだ。公園に初めて訪れた際には「忠生がにやら自然館」に立ち寄り、展示物などを見学しておくとよいだろう。公園のパンフレットも置かれているので貰っておくと便利だ。

忠生公園 子どもたちの遊び場
「忠生がにやら自然館」の傍らから西へ向けて遊歩道が辿り、進んでゆくと芝生の広場があってベンチなどが置かれている。「花見の広場」と名付けられている。そのさらに西に遊歩道を辿ると遊具を配した広場で、こちらは地元の子どもたちの遊び場としての役割だ。そこから林を抜けて南西側へと降りてゆくと周囲から低くなってソフトボール場が設けてある。ソフトボール場の横は調整池だが、地形の様子から考えるとソフトボール場もかつては調整池だったのだろうか。

忠生公園 展望広場付近
ソフトボール場から調整池の横を抜けて南側へと進むと「展望広場」へと至る。「展望広場」とは言っても基本的に周囲からは低くなった地形であるために林に囲まれた公園の一部が見渡せるに過ぎない。「展望広場」の眼下には「水の広場」として池が造られ、その池を越えて「ふれあい橋」という名の橋が「展望広場」と「花見の広場」とを繋いでいる。「展望広場」と「水の広場」の一角はこの公園内では「造られた」印象の強い一角だが、憩いの場としての公園にアクセントを添えているとも言える。

忠生公園 源流の池
「展望広場」から東に木立に囲まれて「はらっぱ」があり、両脇に造られた散策路を辿ると、フェンスに遮られてその向こうに「自然観察園」が広がっている。「自然観察園」に足を踏み入れると、まず出迎えてくれるのは「源流の池」と名付けられた池だ。木製のデッキが設けられており、そこから池の様子が観察できる。一日に1200tの水が湧く、山崎川の源流なのだそうだ。現在では公園の中の一角でしかないが、かつては谷戸の奥にひっそりと在った池だったのだろう。

「源流の池」から東に流れ出た水は湿地を形作り、その中を木道が辿っている。夏に向かって湿地の植物は人の背丈以上に育っており、その中を抜ける木道は迷路のようで楽しい。ところどころで立ち止まって水の中を覗き込むのも楽しく、さまざまな植物を観察するのも飽きない。トンボの姿があるのもいい。

忠生公園 田圃
湿性池の東には水田がある。いわゆる体験農業のためのもののようで、「水田」というより「田圃」と呼ぶのが相応しい素朴な風情だ。最近ではこうした谷戸の自然を残した公園に田圃が設けられる例が多いような気がする。現在では営農の稲作は機械化が進み、人手による田植えや稲刈りの光景はこうした公園内の田圃でしか見られなくなってしまった。昔を知る大人たちには懐かしく、子どもたちには新鮮なものなのかもしれない。

忠生公園 がにやら池
田圃の傍らから北へ木立を抜けて「山のこみち」が延び、それを辿って「忠生がにやら自然館」の傍らへと戻ることができる。田圃の東、田圃の横を流れる水を集めて「がにやら池」がある。「源流の池」とも湿性池ともまた違った表情で、水辺の涼やかな風情も楽しい。浅く広がる池の様子はどこか郷愁を誘うような佇まいで、かつて子どもの頃にそうしたように、岸辺に屈み込んで手を伸ばしたくなる。
最近はこうした谷戸の自然をそのまま残して公園に整備される例が少なくないが、その中でもこの忠生公園の谷戸は特に湿地の様子が魅力的だ。遊歩道から観察するだけの、どこか「高みから見下ろす」ような視点ではなく、まさに手を伸ばせば届く距離に身近に感じられるのが嬉しい。決して広大な敷地の公園ではないが、それがかえってひっそりとした谷戸の沢の風情を感じさせてくれるのかもしれない。四季折々に訪ねて、その自然の表情を楽しみたい公園だ。また、忠生公園大橋に隔てられてはいるが、公園の北には「かたかごの森」もあり、時間が許せばあわせて訪ねてみるのもよいだろう。
忠生公園

忠生公園大橋から公園を見る