横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市館町
殿入中央公園
Visited in May 2021
殿入中央公園
八王子市館町に殿入中央公園という公園が設けられている。公園種別としては「地区公園」、規模の大きな公園で、43,000平方メートルを超える面積を有している。1998年(平成10年)に開園したものだ。公園は雑木林の丘陵地とその周辺を整備して造られたもののようで、園内には雑木林の豊かな緑が残されている。

殿入中央公園
東側に丘を背負って、西側に公園のメインエントランスが設けられている。エントランスから左に入ってゆくと駐車場があり、その置くには幼児用の遊具などを配した広場がある。広場の最も奥の部分は「多目的広場」と名付けられた一角で、おそらくゲートボールなどが行えるように考えられているのだろう。

広場の周辺は昔ながらの農村の雰囲気が漂っていて、町中の公園とは違って実にのどかで開放感がある。

殿入中央公園
広場の入口付近に右手(東側)には小川を跨いで「池の沢橋」という小さな橋が架かっている。「池の沢橋」を渡って奥に進むと、丘と丘に挟まれた谷戸の地形で、ここが「池の沢」だ。

谷戸の湿地には「たんぼ」や「ホタル池」と記した名標が立てられている。2000年(平成12年)、この「池の沢」に蛍が棲息していることがわかり、以来、「NPO法人 緑サポート八王子」によって蛍を守る活動が続けられているという。

殿入中央公園
「池の沢」の横手や駐車場横、メインエントランス脇などから雑木林の中を縫って散策路が丘へ登っている。散策路はそれぞれ「さえずりの道」、「かたらいの道」、「こもれびの道」、「なかよしの道」などと名付けられている。

散策路を辿って丘を登れば鬱蒼とした木々に包まれて雑木林散策の醍醐味を充分に味わうことができる。春の新緑の中、木漏れ日を浴びながらの雑木林散策は心安らぐひとときだ。もちろん秋の紅葉の時期も美しいだろう。冬は葉の落ちた林の中に野鳥の姿を探しながらの散策が楽しい。四季折々の表情を楽しみたい。

殿入中央公園
林の中の散策路を登りきると「遊具広場」と名付けられた広場に辿り着く。この「遊具広場」が殿入中央公園の中心に当たる部分と言っていい。広場といっても雑木林の山の上を平らに切り開いたもので、そこに子どもたちのための遊具類が設置されている。

広場とは言ってもそれほどの広さがあるわけではないが、広場のあちこちにはベンチが置かれており、子どもたちの遊ぶ姿を眺めながらのんびりと過ごすには良い場所だろう。木陰を選んでシートを広げ、のんびりとランチタイムを過ごすにも良い場所だろう。

殿入中央公園
「遊具広場」にはその名の通り、子どもたちのための遊具類がいくつか設置されている。中心にそびえるのは「みはらしの木」という名のネット遊具だ。登って遊ぶ人工のツリーで高さは10メートルあるということだ。内部はネットがしっかりと充分に張り巡らされており危険性は無さそうだが、決して外側には登らないようにとの注意書きがある。

吊り橋は太いロープによって作られているものだ。遊ぶ目的のものなので高さがあるわけではなく恐怖心を感じることもない。「吊り橋」というより、揺れるロープの上をバランスをとって渡って遊ぶ、吊り橋の形を借りた遊具と考えた方が正しいだろう。

殿入中央公園
「遊具広場」に設けられた遊具の中でも特筆すべきものが、林の中を滑り降りていく長い滑り台「ローラーすべりだい」だ。おそらくこの滑り台がこの公園の最も特徴的なものだろう。「遊具広場」の横から「なかよしの道」に沿う形で丘の斜面を滑り降りてゆく。全長105メートル、高低差は22メートルあるそうで、途中ループを描いたりもしていて、横から見ていてもなかなか迫力のあるものだ。

何度も繰り返し滑って楽しむ子どもたちの姿を見ると、この滑り台が子どもたちにとっていかに魅力的なものかがうかがえる。ループ状になった高架の部分は眺めもよく爽快な気分が味わえそうだ。

殿入中央公園
「ローラーすべりだい」の名が示すように滑り台の面はローラーによるものだが、実際に滑ってみた子どもの話によれば、それほどスピードは出ないそうで、小さな子どもでもそれほど心配する必要はないようだ。

滑り台の降り口の横に、「ローラーすべりだい」用のマット(お尻の下に敷くためのマット)が用意されているので、遊ぶときはこれを使おう(マットを使わないで遊ぶとお尻が痛くなってしまう)。持ってきた段ボールなどを使うとゴミになってしまうので、使わないで欲しいとのことだ(持ってきた段ボールはきちんと持って帰ろう)。

殿入中央公園
「遊具広場」からさらに奥に登っていったところに「芝生広場」がある。広場は木立に囲まれているが、丘の上という立地が奏効して開放感がある。ピクニック気分でお弁当を広げるにも好適な場所だ。

「芝生広場」の奥はテニスコートだ。テニスコートはサンドフィル型人工芝の2面で、利用に当たっては往復はがきによる予約が必要であるようだ。問い合わせはテニスコート事務所窓口へ、とのことだ。

殿入中央公園は遊具類も充実しており子どもたちも楽しめるし、雑木林では野鳥の声も聞こえて大人ものんびりとしたひとときを過ごせるだろう。周囲も静かな農村の雰囲気を残しているので、お弁当を持ってピクニック気分で訪れたい公園だ。

場所が少しばかりわかりにくいが、「たてまち幼稚園」のちょうど裏手だと説明すれば、地元の人なら把握して頂けるだろうか。地理的にあまり便利なところではなく、一番最寄りのバス停は館ケ丘団地だろう。ほとんどの人は車で来ることになると思うが、用意されている駐車場の駐車スペースは数台分で決して充分ではないのが残念なところだ。
殿入中央公園
殿入中央公園
殿入中央公園