横浜線沿線散歩公園探訪
川崎市麻生区上麻生
山口白山公園
May 2009
山口白山公園
小田急線新百合ヶ丘駅の南西、上麻生三丁目の町に、「麻生スポーツセンター」の南に隣接する形で山口白山公園がある。広場と樹林地から構成された公園で、特に樹林地は周辺に住宅街が広がっているとは思えないほどに鬱蒼とした雑木林になっている。公園となった場所の一角に昔、白山神社があったという。大正時代に月読神社に合祀されたということだが、公園内の樹林地はかつての白山神社の鎮守の森の名残なのだろう。「山口」というのはこの辺りの昔の小字名で、そこから「山口白山公園」という名がある。新百合ヶ丘駅周辺が住宅街として造成されたときに整備された公園であるようだ。そうした由来を刻んだ石板が道路脇に設置されている。訪れたときには目をとめておきたい。
山口白山公園
「麻生スポーツセンター」前の道路を南へ進むと公園の広場が道路から一段低くなった形で横たわっている。木々に囲まれた平坦な広場で、地域のイベントやゲートボール場として使われるのだろう。この広場とは別に道路脇には遊具類を設置した小さな広場も設けられている。広場ではお母さんに連れられた小さな子どもたちが遊んでいる。子どもたちは幼稚園の帰りのようだ。山口台にある幼稚園の子どもたちだろうか。

この広場の一角に「記念碑」が置かれている。「記念碑」と大きく刻まれた下には「ふるさとの心が鼓動するまち」とある。その下には区画整理事業の概略が記されている。「川崎都市計画事業 新百合丘駅周辺特定土地区画整理事業」というのが、新百合ヶ丘駅周辺が住宅街として造成された土地区画事業の正式な名であるようだ。総面積は464haほどに及び、総事業費は136億円ほどだそうだ。昭和40年代半ばに始まった事業が終了したのは1983年(昭和59年)のことという。

山口白山公園
広場の奥から樹林地の中へ小径が延びている。入ってゆくと新百合ヶ丘駅周辺の整然とした住宅街の佇まいからは想像できないほどの鬱蒼とした雑木林が残されている。雑木林はなかなか広く、公園の半分ほどの面積を占めているようだ。雑木林の尾根を辿る小径の脇にはベンチが置かれ、最も奥まったところには四阿が設けられている。林の中の小径は四阿の周囲を巡って元に戻り、どこかへ抜け出ることができるわけではないようだ。

林の中はとても静かで、木々が風にそよぐ音と鳥のさえずりが聞こえるばかりだ。どこかでウグイスの声もする。小田急線の線路は200メートルほどしか離れていないから電車の音も聞こえてくるが、鬱蒼とした木々に遮られてずいぶんと遠くから聞こえているように感じる。こうした住宅街の中にこれほどの雑木林が残されているのはとても貴重なことだろう。きっと近隣の人たちの散策の場として、憩いの場として愛されているに違いない。

公園の広場の南側は斜面になっており、その斜面を利用して段差を設けて小広場も設けられている。訪れたときには人の姿はなかったが、南向きの斜面で日当たりがよく、明るいのがいい。藤棚もあったから花の季節には美しい景観を見せてくれることだろう。
山口白山公園はそれほど規模の大きな公園ではないが、子どもたちのための遊具を備え、トイレも置かれており、広場があり、樹林地を備えて緑濃く、地域の人たちにとって魅力的な公園であることだろう。駐車場は設けられていないが、近隣に暮らす人たちのための公園という性格を考えれば欠点ではない。遠方から訪ねたくなるような特徴のある公園ではないが、新百合ヶ丘駅周辺の散策の際には立ち寄っておきたい。広場脇に設置された「記念碑」にも目を通し、かつて長閑な里山の風景が広がっていた土地が美しく整然とした住宅街に姿を変えた歴史に思いを馳せながら、公園内に残された樹林地にかつての姿を想像してみるのも楽しい。
山口白山公園