横浜線沿線散歩街角散歩
横浜市港北区大豆戸町〜菊名
菊名駅周辺
May 2012
菊名駅周辺
清々しい初夏の陽気に恵まれた五月の半ば、菊名駅を降りた。菊名はJR横浜線と東急東横線が接続する駅だ。ときどき乗り換えのために利用することはあるが、菊名駅で降りることはあまりなく、いずれ機会を設けて歩いてみたいと思っていた。今回はその菊名駅の周辺を歩いてみたい。
菊名駅周辺
JR横浜線菊名駅を降りて改札を出ると線路の北側だ。すぐ東側には東急東横線の駅舎があり、西側では道路がJRの線路をくぐって南北を繋いでいる。駅前にはファミリーレストランもあり、他にも店舗が建ち並んでいるが、東急東横線の東側の賑やかさに比べれば静かな印象だ。

東急東横線の線路に沿うように道路が南北に通っている。その道路を北へ、大豆戸町の方へと向かおう。道路はやがて線路から少し離れるように逸れ、細い道が分かれて線路脇に沿っている。線路に沿った細道には小さな店舗が並ぶ。広い道の方を辿ってゆこう。

八杉神社
しばらく歩くと道の西側に神社があった。八杉神社という神社だ。境内に設けられた「由緒沿革」によれば、大豆戸町には古くから字安山の八王子神社と字大西の杉山神社が鎮座していたそうで、その二社を1947年(昭和22年)に合併し、八杉神社を創立したのだそうだ。八王子神社の「八」と杉山神社の「杉」から名を八杉神社としたものなのだろう。合併後も大豆戸町の氏神様として、五穀豊穣、家運隆盛、商売繁盛、無病息災、厄難消除等の御利益で信仰されているという。周辺は住宅街だが境内は木々に包まれて神域らしい静けさが感じられる。横浜市の名木古木に指定されたイチョウなども見事なものだ。参拝し、散策の無事を祈願してゆこう。

丘上からの景観
八杉神社の脇に、西側の丘上に上がる坂道があった。これを上がってみよう。菊名駅の北西側、すなわちJR横浜線の北側、東急東横線の西側に当たる地域は小高い丘を成している。この丘上からの眺めを見てみたいと思ったのだ。石段となった坂道はなかなかの急勾配だ。それを上りきると丘上には住宅街が広がっている。住宅街の中の道を東へ辿ろう。ところどころで家々の間に視界が開ける。なかなかの高みだ。当然のことながら丘を下る道は急勾配だ。「急坂につき歩行注意」との注意書きのあるところもあった。「急坂のため自転車は降りて通行してください」といった注意書きは希に見ることがあるが、「急坂につき歩行注意」は見たことがない。それほどの急坂なのだ。そのまま東へ辿ってゆくと眼下に菊名駅が見えてきた。丘を下ってひとまず駅へ戻ろう。
菊名駅周辺
錦が丘
菊名駅の西側で線路をくぐってJR横浜線の南側へ向かおう。線路をくぐるとすぐに「西口商店街」の入口を示すゲートが目に入る。JR横浜線の南側、線路に沿うように商店街があるのだ。商店街も歩いてみたいが、それは次に機会にして、南東側に広がる錦が丘の住宅街へと坂を上ろう。この辺りは以前、大口駅から菊名駅までを歩いたときに少し通り抜けたことがある。住宅街の坂道に大きな桜の木が枝を広げる風景に心惹かれ、花の時期に再訪したいと思っていたのだが、今回もまた時期を外してしまった。

錦が丘ロータリー
錦が丘の住宅街の中の坂道を上って下ると、住宅街の中にロータリーがある。ロータリーと言えば駅前に設けられるのが通常で、こうした住宅地の直中にあるというのはあまり見かけない(多摩市桜ヶ丘の住宅街には、スタジオジブリの映画「耳をすませば」にも登場する有名なロータリーがある)。

このような住宅街の中になぜロータリーが設けられたのだろうと思うが、実はこのロータリーは“駅前のロータリー”になるはずのものだったようだ。元々の計画では東京急行電鉄(当時は東京横浜電鉄)の菊名駅がこの場所に設けられて、駅前ロータリーを中心に道路が放射状に延びる住宅街とする構想だったらしい。田園調布や日吉と同じような開発計画だったのだろう。しかし実際にはJR横浜線との乗り継ぎの利便性を優先し、東急の菊名駅は現在地に設けられ、錦が丘の住宅地の中にはロータリーだけが残ったというわけだ。住宅街の中のロータリー、それはそれで興趣のあるものではないかと思える。

菊名桜山公園
錦が丘ロータリーから北東の方角へ延びる道路を辿ると数十メートルで東急線の線路だ。道路が踏み切りで線路を越える。線路を越えると東急線の線路とJR横浜線の線路に挟まれた区域で、この辺りが錦が丘と菊名の町の境になる。菊名三丁目を町を南東の方角へ辿ってゆくと、住宅地の中に緑の丘が現れる。「菊名桜山公園」だ。その名が示すように公園全体にサトザクラが植わっており、花期には見事な景観に染まるらしい。公園となる以前から地元では「カーボン山」と呼ばれて親しまれていた緑地だったようで、一時はマンションが建てられる計画もあったようだが、紆余曲折の末に公園となった。今回訪れたのは五月の中旬、公園は滴るような緑に覆われている。
菊名駅周辺
綱島街道からの景観
「菊名桜山公園」の中の散策路を辿って東へ抜け出ると、そこもまた住宅地だ。横浜市老人福祉センターの横を通り抜けると綱島街道へ出た。近隣には規模の大きな高層住宅も建っている。綱島街道を少し北へ行けば横浜線の上だ。この辺りは丘陵地となっており、横浜線の線路は丘の上を通る綱島街道の下をトンネルで抜けてゆく。その上に立つと東も西も視界が開けて爽快な眺めだ。この場所はちょうど三つの区の境が交わる辺りで、綱島街道の西は港北区、綱島街道の東、横浜線の南は神奈川区、横浜線の北は鶴見区だ。景色を眺めていると、横浜線の上り下りの車両が通り抜けてゆく。初夏の風に吹かれながら住宅地の中の線路を走り抜けてゆく電車を見送るのもなかなか良いものだ。道路の歩道に立っていなければならないのが少しばかり残念だ。ベンチを置いた展望所のような場所が設けられているとよいのに、と、思ってしまう。

踏切
いつまでも景色を眺めていたいが、綱島街道から菊名側へと降りることにしよう。住宅地の中の細道を辿って横浜線の線路脇へと降り、線路脇の道を菊名駅の方向へと向かおう。普段は横浜線の車窓から眺める風景の中を歩く。その横を上り下りの横浜線が通り過ぎてゆく。

少し行くと踏切があった。踏切というものの佇まいには何故か奇妙に心惹かれるものがある。踏切の姿を写真に収めてゆこう。線路の南側から見ると、線路北側の民家の木々が緑濃く、それを背景にした踏切の標識類の姿がなかなか良い風情だ。

踏切から300メートルほど行けば東急東横線菊名駅の東口に着く。駅前には商店が建ち並び、駅前商店街を成しているようで、なかなか繁華な様子だ。どこかで一休みして、それから帰路を辿ることにしよう。
菊名駅の周辺は以前から歩いてみたいと思っていたから楽しい散策だったが、残念ながら時間の都合で菊名駅北東側の地域には足を延ばせなかった。そちらはまた次の機会を設けて訪ねてみることにしよう。菊名桜山公園にはぜひ八重桜が見頃の時期に再訪してみたい。
菊名駅周辺

菊名駅周辺

菊名駅周辺