横浜線沿線散歩街角散歩
相模原市下溝〜磯部
三段の滝
July 2001
三段の滝
相模川の支流に鳩川という川がある。相模原市の西部を縦断するように流れ、下溝で姥川と道保川が合流し、海老名市で相模川に合流する。途中、下溝と磯部の境の辺りで、鳩川は相模川に沿うように近づく。そこに鳩川から相模川へ水を逃がす分水路が設けられ、段丘上からの放流の勢いを緩衝するために段差が造られている。その段差が三段であることから、「三段の滝」と呼ばれている。

「三段の滝」の周辺は段丘上からの相模川の景観も美しく、散策路や広場を設けて「相模川散策路」の一部として整備され、相模川河畔の景勝地として親しまれるようになった。梅雨明けを待たずに本格的な夏の到来を思わせた七月の初め、水辺の景色の織りなす涼を求めて「三段の滝」を訪れてみた。
三段の滝展望広場付近からの眺望
JR相模線の下溝駅に近く、県道46号線が鳩川分水路を越えている。この県道は下溝から磯部にかけてのあたりでは西に相模川を見下ろす河岸段丘の上を通っており、道脇の木立の向こうに見え隠れする景色が美しい。下溝駅から少しばかり北へ行ったあたりには有名な「八景の棚」もあり、相模川河畔の景勝地として知られるところだ。県道が鳩川分水路を越えるあたりは西に視界が開けて、眼下にゆったりと蛇行して流れる相模川を見下ろす眺望が楽しめる。

鳩川分水路の周辺は「三段の滝展望広場」や「三段の滝下流広場」などとして整備され、それらを繋いで分水路を越える人道橋や遊歩道が設置され、周囲一帯でひとつの公園のような印象を与えてくれる。

鳩川分水路
鳩川分水路は新旧ふたつが存在する。相模原市が発行する相模川散策路のパンフレットでは新分水路を「鳩川分水路」、旧分水路を「鳩川隧道分水路」と呼び分けている。旧分水路は1933年(昭和8年)に完成したもので、規模は大きなものではないが、緑に包まれた様子や古さを感じる石組みの景観などはなかなか風情があって楽しい。旧分水路の緩衝滝の両脇には遊歩道が整備されており、間近にその様子を見ることができるが、そこへ至る道順がちょっとわかりにくいのが難点かもしれない。1988年(昭和63年)に新設された新分水路はさすがに現代的で規模も大きく、それなりに迫力があって見応えはあるが、水辺の風情といった点ではやはり少々劣るように思える。
三段の滝展望広場付近からの眺望
「三段の滝」の景勝地としての魅力は、「三段の滝」そのものよりもそこからの相模川の眺望の美しさにあると言ってよいだろう。相模川はちょうどこのあたりで大きく蛇行して眼前に近づき、そこへ新旧の鳩川分水路と、さらに当麻の方から河岸段丘の下を流れてきた八瀬川が合流し、その景観は特徴のあるものとなってなかなか美しい。

上流側へ目をやると遠く昭和橋が霞んで見え、支流の八瀬川の東には緑の河岸段丘が続いている。八瀬川と相模川との間には水田地帯が広がり、この季節には青々と稲が育っている。眼前の相模川の広い川幅の中ほどにはいくつもの中州が浮かび、その向こうに対岸の景色が見えている。対岸は厚木市になる。視線を南へ向けると、下流へと続く相模川がやがて細く遠く霞んで視界の果てに消える。高みから見下ろすように眺めるそれらの景観は素晴らしく、「相模川八景」のひとつとしての景勝地の名に恥じない。
川辺の釣り人
「三段の滝」の下流側の河川敷には広場がある。有名な相模の大凧祭りの会場ともなるところで、サッカーなどの各種スポーツ目的としても利用できる広場だ。広場の傍らには、相模川の流れが引き込まれて池のようになった部分があり、その岸辺には釣り人の姿がある。ここはヘラ鮒釣りの名所なのだという。広場は特にこれといった設備のない単なる広場だが、相模川の川辺に近く、川面を渡る風を間近に感じる風情がいい。
「三段の滝」付近から相模川の下流へ向かって河岸には遊歩道が整備されている。辿ってゆけば磯部頭首工の横を経て座間市との境付近の新戸スポーツ広場へと至る。ゆっくりと散策を楽しみたいところだ。上流側への散策も楽しい。相模川に沿って河岸の風景を楽しみながらの散策もいいし、八瀬川に沿って河岸段丘の織りなす風景を楽しみつつの散策もよいものだ。相模川と八瀬川との間は水田地帯で、青々と稲が育っている。田植えの頃や稲刈りの頃の風景もきっと美しいものに違いない。
三段の滝