横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市港北区菊名
−菊名桜山公園−
八重桜の咲く菊名桜山公園
Visited in April 2015
八重桜の咲く菊名桜山公園
横浜市港北区の菊名桜山公園は、その名が示すように丘となった公園のほぼ全域がサトザクラの林だ。サトザクラはソメイヨシノやヤマザクラなどよりも開花期が遅く、四月の中旬から下旬にかけて満開を迎える。サトザクラが見頃の時期、菊名桜山公園はそのすべてが鮮やかな桜色に染まって圧巻の景観を見せる。
八重桜の咲く菊名桜山公園
菊名駅から公園を訪れると、公園入口から公園の丘へと石段が登っている。その石段脇にも鮮やかにサトザクラが咲き、来園者を迎えてくれる。サトザクラは鮮やかなピンク色の八重咲き、品種はおそらくカンザン(関山)だろう。八重咲きの花はふっくらとした印象で、鮮やかなピンクの色が艶やかだ。

石段を登ってゆくと、トイレを兼ねた休憩棟や広場などを設けた丘の上に出る。丘の上はサトザクラに包まれて鮮やかな春の色に染まっている。見上げれば広場を覆うようにサトザクラが咲き誇り、芽吹きを迎えた落葉樹の新緑との対比も美しい。そろそろ散り始めた花弁が地表にピンクの模様を作り、花壇に植えられたチューリップの花も景観にアクセントを添える。広場にはシートを敷いてお花見を楽しむ人たちの姿があり、その横を花見散歩の人たちが行き交っている。その光景に春爛漫を実感する。

八重桜の咲く菊名桜山公園
休憩棟が設けられた丘上の南側、一段下がって広場が設けられている。この広場の景観も圧巻だ。広場北側の斜面上に植えられたサトザクラが大きく広場の上に枝を伸ばし、鮮やかなピンク色の天蓋を形作る。それを広場から見上げる景観が何とも素晴らしい。春の日差しを浴びて輝くサトザクラはたいへんに美しく、いつまで見ていても見飽きない。その光景にカメラを向ける人の姿も少なくない。広場の一角には花壇が設けられ、ここでは菜の花が咲いていた。黄色い菜の花とサトザクラの組み合わせも春の風情だ。桜の下にはベンチが置かれており、腰を下ろして一休みする人の姿もあった。桜の下での一休みは素敵なひとときだろう。

八重桜の咲く菊名桜山公園
菊名桜山公園には150本ほどの桜があるという。見たところ、品種はすべてカンザン(関山)のようで、フゲンゾウ(普賢象)やイチヨウ(一葉)などの他の品種はないようだ。八重桜は街路樹として植えられることも多いが、これほどの数のサトザクラが植えられて“桜の林”を成している場所は類例が少ないように思える。公園を成す丘の上が咲き誇るサトザクラによってピンク色に染め上げられる景観は見事なものだ。まさにサトザクラの“名所”と言っていい。

八重桜の咲く菊名桜山公園
一般的にはソメイヨシノが咲き終わると“花見”の季節も終わったように感じるが、新緑が芽吹き、春の訪れを実感する頃になって咲き誇るサトザクラを愛でる“花見”も良いものだ。いよいよ春本番という時期、菊名桜山公園は花見に訪れるのにお勧めの場所と言っていい。時間を見つけて花見散歩に訪れるのもよく、お弁当を持参してのんびりと花見を楽しむのもいい。春爛漫の景観の中、素敵なひとときが楽しめる。

菊名桜山公園ではサトザクラが見頃となる四月半ばの日曜日、菊名桜山公園愛護会(桜の森を守る会)が主催して「カーボン山 桜まつり」が開催される(「カーボン山」は公園として整備される以前からのこの丘の通称だ)。さまざまなイベントが行われて賑わうようだ。そうした賑わいの好きな人は日程を調べて「桜まつり」に出かけてみるといい。
八重桜の咲く菊名桜山公園
菊名桜山公園は菊名駅から徒歩で10分ほど、東急東横線やJR横浜線を利用して訪れるのが便利だ。公園には駐車場はなく、車で来訪する場合も菊名駅近くの民間駐車場を利用して公園まで歩いた方がいい。公園近辺には飲食店などはない。「桜まつり」の際には軽食の販売などもあるようだが、のんびりと花見を楽しみたいのならお弁当持参がお勧めだ。菊名駅近くのお店で買ってゆくのも一案だろう。
八重桜の咲く菊名桜山公園
八重桜の咲く菊名桜山公園