横浜市都筑区見花山
見花山かりん公園
Visited in October 2006
横浜市都筑区の西部、見花山(みはなやま)の町に「見花山かりん公園」がある。広場の一角に遊具類を配した小規模の公園だが、見花山の住宅街の直中に位置しており、利用者は多く、生き生きとした雰囲気のある公園だ。愛護会も存在するようで、愛護会の方々が日常的に整備されておられるのだろう、園内には荒れた印象は無かった。公園は「ゆうばえのみち」という名の緑道に面しており、緑道を辿っての散策も楽しい。
遊具の周囲や広場の脇などに木々が多く茂り、園内は緑に包まれたような印象だ。大きく育ったケヤキなどが枝を広げ、遊具が木陰になるから日差しの強い季節にはありがたいものだろう。遊具類はすべり台やブランコといった一般的なもので特徴のある遊具は設置されていないが、近所の子どもたちの日常的な遊び場としては充分なもので、子どもたちの遊ぶ姿も多い。トイレや水飲み場が設置されているのも利用者にとっては便利だ。周囲は住宅街で、主要道路からも距離があるから園内は静かで、子どもたちの遊ぶ声だけが聞こえている。小さな公園だが、人々の暮らしに溶け込んだ公園だと思える。
「見花山かりん公園」という名称だから、もちろん園内にカリンの木がある。シンボルツリーと呼べるほど目立ってはおらず、木々の多い公園の隅にひっそりと立っている。訪れたのは十月半ば、カリンはちょうど実を付けていた。カリンは通常は「花梨」と書く。中国原産のバラ科の落葉高木で、大きく育つと十メートル近くにもなるという。カリンは三月頃にピンク色の花を咲かせ、秋に実を付ける。果実は堅く酸味が強いため、通常は果実酒や砂糖漬け、ジャムなどに加工して食される。果実に含まれる「カリンポリフェノール」という成分が喉の炎症を鎮める効果があるというので喉飴などに使用されることも多い。ちなみにマメ科の「カリン」という樹木も存在するが、これとは全く異なる樹木だ。
公園の名にも冠され、町名でもある「見花山」は、昔からのこの辺りの地名であるらしい。何とも風雅な名だが、その由来は字面のもたらす印象とは少々異なるもののようだ。この付近は江戸時代には川和村と池辺村との境界近くに位置し、その境界線は複雑に入り組んでいたらしい。川和村は池辺村をはじめとして五つの村と接し、その境を巡って度々諍いが起こったという。現在の見花山付近がそうした争いの中心になっていた地域で、そこにあった丘はいつしか「けんか山」と呼ばれるようになった。その「けんか山」に「喧嘩」ではなく「見花」の字を当てたというわけだ。地元の人々はつい最近まで「見花山」を「けんかやま」と読んでいたそうだが、やがて「見花山」はそのまま「みはなやま」と読まれるようになった。地名というものの変遷の面白みを感じるところだ。その、かつての「けんか山」のあったところが、他ならぬ「見花山かりん公園」の場所であるらしい。今では穏やかな表情の公園に姿を変えて子どもたちの遊び場として親しまれているが、かつては村の境界を巡っての人々の諍いが起こった場所なのかと思うとなかなか感慨深いものがある。
公園の名にも冠され、町名でもある「見花山」は、昔からのこの辺りの地名であるらしい。何とも風雅な名だが、その由来は字面のもたらす印象とは少々異なるもののようだ。この付近は江戸時代には川和村と池辺村との境界近くに位置し、その境界線は複雑に入り組んでいたらしい。川和村は池辺村をはじめとして五つの村と接し、その境を巡って度々諍いが起こったという。現在の見花山付近がそうした争いの中心になっていた地域で、そこにあった丘はいつしか「けんか山」と呼ばれるようになった。その「けんか山」に「喧嘩」ではなく「見花」の字を当てたというわけだ。地元の人々はつい最近まで「見花山」を「けんかやま」と読んでいたそうだが、やがて「見花山」はそのまま「みはなやま」と読まれるようになった。地名というものの変遷の面白みを感じるところだ。その、かつての「けんか山」のあったところが、他ならぬ「見花山かりん公園」の場所であるらしい。今では穏やかな表情の公園に姿を変えて子どもたちの遊び場として親しまれているが、かつては村の境界を巡っての人々の諍いが起こった場所なのかと思うとなかなか感慨深いものがある。