横浜市青葉区恩田町
奈良熊ヶ谷小川アメニティ
Visited in September 2004
横浜市青葉区恩田町の西部一帯は、南にあかね台、北には奈良の住宅街が広がり、周囲がすっかり市街化してしまった中に、ひっそりと里山の緑を残している。その北端に昔ながらの谷戸の風景のままに沢や池などを残して整備された一角がある。北には奈良二丁目、奈良三丁目の住宅街が迫っており、ちょうどその町の境に位置している格好だ。「奈良熊ヶ谷小川アメニティ」という名であるらしい。「アメニティ」とは「amenity」と書き、主に都市計画の分野で多く使われる言葉で、環境の快適さのことを言う。熊ヶ谷はこのあたりの谷戸を指し示す名だったのだろう。このすぐ西側には古墳時代の横穴墓が発見された場所があり、非公開だが「熊ヶ谷横穴墓群」として残されている。
東端部分では周囲が開けて、南側に雑木林の丘に囲まれた谷戸の風景が広がる。沢の脇にはベンチなども置かれ、公園らしい佇まいに整備されている。ベンチに腰を下ろしてのんびりと谷戸の風景を眺めていると、すぐ間近に真新しい住宅地が迫っていることを忘れる。沢はさらにそこから東へ流れているようだが、その先は遊歩道はなく、沢沿いに下ってゆくことはできない。
規模の点で言えば決して大きくはない「奈良熊ヶ谷小川アメニティ」だが、周囲が次第に住宅地となってゆく中でその存在意義は大きい。「奈良熊ヶ谷小川アメニティ水辺愛護会」がその整備と保全に尽力されているらしい。美しい街並みに姿を変えた奈良の住宅街に暮らす人たちにとっても、この沢を取り巻く自然はオアシスのような場所であるかもしれない。