町田市つくし野
つくし野殿山ふるさとの森
Visited in October 2017
町田市つくし野一丁目の北西端に近い辺り、「つくし野殿山ふるさとの森」という樹林地がある。町田市が自然保護などの保護を目的に設置している「ふるさとの森」のひとつだ。つくし野の住宅地の中に、緑濃い様相を保つ樹林地は貴重な存在だ。
現地に設置された案内パネルによれば、「殿山」の名は“昔この地区の村を治めていた殿様の屋敷がこのあたりにあった”という言い伝えに由来するものだそうだ。この辺りはつくし野として造成される以前は「小川」地区の一部で、そもそも明治期以前は「小川村」だったところだが、“殿様の屋敷があった”のはもっと古い時代のことなのだろう。パネルには詳細は記されていない。
樹林地の中を歩けば、つくし野の住宅地の一角であることを忘れる。ある程度は整備の手が加えられているようだが、それでも鬱蒼と茂る木々は野趣溢れる様相を見せる。この辺りが「つくし野」として造成される以前の風景を彷彿とさせるものだと言っていい。今は美しい住宅街だが、かつてはこうした山林の風景が広がっていたのだろう。その頃の面影を今に伝える、貴重な自然である。
「つくし野殿山ふるさとの森」は1haにも満たない面積で、その規模は決して大きくはない。昔からの自然を残す貴重な樹林地だが、あくまで近隣に暮らす人たちのためのものだと言っていい。特筆するような史跡などはないが、住宅地に残された樹林地というものに興味を持つ人なら、遠方からでも訪れる価値があるだろう。東急田園都市線つくし野駅から最短距離を選んで歩けば10分ほどで着く。