町田市野津田町
−薬師池公園−
薬師池公園の大賀ハス
Visited in July 2006
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
薬師池公園の北端部にはハス田が設けられ、夏になると美しい花を咲かせて多くの観賞客を集めている。このハスは「大賀ハス」と呼ばれ、千葉県の検見川遺跡で発見された2000年ほど前のハスの実から発芽したものだという。
1951年(昭和26年)、古代の丸木舟が発見された千葉県検見川の遺跡を大賀一郎博士らが発掘調査し、三個のハスの実を発見した。シカゴ大学での分析鑑定の結果、これらの丸木舟やハスの実は約2000年前のものであることが判明したという。ハスの権威であった植物学者の大賀博士はこの三個のハスの実の発芽を試み、そのうちの一個の発芽に成功、翌年には見事な花を咲かせた。
二千年の眠りから覚めた古代のハスは大きな話題を呼び、大賀博士の名を取って「大賀ハス」と呼ばれるようになった。「大賀ハス」は千葉県千葉市の千葉公園に移植され、その後、愛好者らの手によって日本全国、さらには海外にも株分けされていく。「大賀ハス」は千葉市の天然記念物に指定され、さらに「千葉市の花」にもなっており、千葉公園には「大賀蓮記念碑」が建てられている。
薬師池公園の案内板によれば、株分けされた「大賀ハス」が相原町の円林寺と大蔵町の柏木常吉氏のところにあるとのことで、それをさらに薬師池公園へ株分けしたものという。
薬師池公園のハス田はかつて古い時代には水田だった場所であるらしい。ハス田の周囲には散策路が設けられ、さらにハス田の中を木道が巡っている。青々と茂ったハスの葉の隙間を縫うように設けられた木道を辿ればハス田の見せるさまざまな表情を楽しむことができる。大きく開いた花はもちろん美しいが、葉の隙間に見え隠れする蕾もなかなか美しい。重なり合って茂る葉そのものも瑞々しい緑が美しく、その葉の上で玉となった水滴の様子にも興趣がある。それらを楽しみながら、夏の朝の風情を味わうのがいい。
千葉公園の大賀ハスは六月頃から開花し、七月には見頃を迎えるようだが、薬師池公園の大賀ハスは七月中旬から八月にかけて花の見頃を迎える。訪れた七月半ば、ようやく咲き始めたという様子だったが、青々と茂った葉の隙間のところどころに美しい花が咲いている。ハスの花は明け方からゆっくりと開花し、お昼を過ぎると閉じてしまう。花を観賞するためには朝方に訪れなくてはならない。朝七時半頃に訪れたのだが、すでに多くの人々が観賞に訪れていた。そもそもハスの花は独特の印象を持っているが、これが二千年前にも咲いていた花なのかと思いながら見るとなかなか不思議な気持ちになる。美しい花である。
薬師池公園の案内板によれば、株分けされた「大賀ハス」が相原町の円林寺と大蔵町の柏木常吉氏のところにあるとのことで、それをさらに薬師池公園へ株分けしたものという。
【追記】
町田市では2014年度(平成26年度)から薬師池公園とその周辺を一つの大きな地域公園として捉え、「町田薬師池公園 四季彩の杜」の名称で整備を進めている。それに伴い、「薬師池公園」は「町田薬師池公園 四季彩の杜 薬師池」に、他もそれぞれに呼称が改められている。本頁の内容はそれ以前のものであることもあり、以前の呼称のままにしておきたい。