日野市三沢〜落川〜百草
程久保川八重桜並木
Visited in April 2024

日野市の南東部を程久保川という河川が流れている。日野市程久保の南西部を水源とし、北東方向へと流れ、京王線の線路をくぐると東へと流路を変え、やがて多摩川に注ぐ。その下流域、日野第八小学校脇から多摩川との合流点までのおよそ800m、河岸には八重桜が植えられている。八重桜は例年四月中旬に花を咲かせ、程久保川を春色に染める。八重桜が見頃を迎えた四月半ば、程久保川の八重桜並木を歩いた。

程久保川の両岸に八重桜が咲き誇っている。河岸の八重桜はカンザン(関山)だろう。鮮やかな濃いピンクの花がたいへんに美しい。まずは右岸川の遊歩道を辿って下流側へ向かってみよう。右岸側の八重桜は遊歩道の両脇に並び、遊歩道は“八重桜のトンネル”状態で、見事な景観だ。八重桜はすでに最盛期を少し過ぎ、ピンクの花の間に緑の葉が交じる。遊歩道には八重桜並木を目当てに訪れたらしい人たちが散策を楽しんでいる。

合流点近く、程久保川の遊歩道脇に河川管理境界を示す標識が建てられている。ここより東側は国土交通省京浜河川事務所多摩出張所管轄の多摩川、西側は東京都南多摩西部建設事務所管轄の程久保川である旨が記されている。
程久保川左岸の道路は合流点近くで車両進入禁止の遊歩道となり、そのまま多摩川右岸の遊歩道に繋がって多摩川上流側へと向かっている。

合流点と玉川橋との間にも八重桜があり、春の日差しを浴びて輝いている。東側を振り返ると、八重桜の向こうに府中四谷橋のシルエットが見える。府中四谷橋は府中市四谷三丁目と日野市落川とを繋いで多摩川に架けられた橋で、美しい斜張橋として知られる。八重桜とその向こうに遠く霞む斜張橋との取り合わせが良い風情だ。

途中にはベンチも設けられている。ベンチに腰を下ろせば右岸側の八重桜並木が目の前に見える。景観を楽しみながらのんびりと時を過ごすのもお勧めだ。

浅川橋から100mほど辿ると落川橋だ。河岸の遊歩道からの景観もいいが、落川橋の中程に立って眺める景観も美しい。上流側にも下流側にも、程久保川の河岸には八重桜が咲き誇っている。順光を浴びて輝くような景観も素晴らしいし、逆光の景色も美しい。

落川橋から200mと少しで百草橋、百草橋の上流側になると河岸の八重桜はさらに疎らだ。“並木”というより河岸のところどころに八重桜が咲いているという印象だ。それはそれで絢爛な印象の並木とは違った味わいがある。

八小橋の上流側にも河岸の遊歩道は続いている。八小橋の上から眺めると上流側にも八重桜が咲いているのが見えるが、実質的には八小橋の辺りが“程久保川河岸の八重桜並木”の終点(始点)と考えてよさそうだ。

百草橋の南西側に金田公園という小公園がある。面積1600平方メートルほどの街区公園だ(現地には面積1400平方メートルと記したパネルが設置されているが、パネル設置後に拡張されたものか)。公園は広場を中心に、滑り台やブランコ等の遊具、藤棚などを設けたシンプルな構成だ。

用水はこの付近で程久保川に沿って流れているが、程久保川の水面より一段高い。用水と河岸の遊歩道との間に八重桜が並んで、用水の流れにもピンクの花弁を落としている。用水の上流端から流れに沿って下流へと歩いてみたいが、それはまた次の機会にしよう。

やがて落川橋を過ぎて浅川橋、八重桜並木を楽しむために訪れたらしい人たちが大勢行き交っている。もう一度浅川橋上からの景観を楽しんで、そろそろ百草駅へと戻って帰路を辿ることにしよう。

程久保川の八重桜並木はなかなか見事なもので、少しばかり遠方から訪れても後悔しないだろう。京王線百草駅から徒歩数分という立地も嬉しい。多摩川との合流点近くから百草橋の辺りまでをのんびりと歩きながら八重桜の咲く風景を楽しむのがお勧めだが、浅川橋から玉川橋にかけての辺りだけでも充分に楽しめる。八重桜の咲く季節にぜひ訪ねてみたいところだと言っていい。




