横浜市中区山手町
−山手イタリア山庭園−
ブラフ18番館
Visited in July 2024

横浜市中区山手町の「山手イタリア山庭園」内の東側、一段下がったところに「ブラフ18番館」という西洋館が建っている。関東大震災後、山手の一角に外国人住宅として建てられた建物という。山手イタリア山庭園内に移築された後は、山手地区に保存された西洋館のひとつとして観光客の人気を集めている。横山山手の観光、特に西洋館を巡る観光の際には欠かせないスポットのひとつだ。

一般公開が開始されたのは1993年(平成5年)のことだ。現在地が旧山手居留地18番地、東に大丸谷坂を見下ろす崖の上だったことから「ブラフ18番館」と名付けられたようだ(「ブラフ(bluff)」は「崖」の意味だ)。

それほど大きな建物ではなく、どちからと言えばこぢんまりとしていて、緑濃い穏やかな庭園の中に建つ風情とも相俟って、どことなく童話の世界に登場する妖精の暮らす家のような可愛らしい印象がある。

館内に入ると往時を彷彿とさせる家具や調度品が出迎えてくれる。かつて元町で製作されていた西洋家具を復元し、震災前の暮らしを再現したものだという。二階部分は2015年(平成27年)にリニューアルされ、寝室が再現されている(以前は横浜山手の歴史に関する資料などの展示室だった)。往時の暮らしぶりなどを想像しながらゆっくりと見てゆくと時間の経つのを忘れる。窓外に見える庭園の様子や木々の緑も美しい。

「山手イタリア山庭園」の西側部分には洋風庭園や「外交官の家」が設けられているが、「ブラフ18番館」の建つ場所とは少し段差がある。その段差部分に壁泉が設けられている。なかなか洒落た意匠の壁泉で、これもぜひ見ておきたい。壁泉の前は石畳の小さな広場で、そこから見下ろす「ブラフ18番館」の姿もいい。

「ブラフ18番館」は横浜山手観光の際にはぜひとも立ち寄っておきたいところだ。横浜山手の地に個人住宅として建てられ、戦後はカトリック山手教会の司祭館として使用されていたという、まさに“横浜山手の洋館”だ。この建物がかつて山手町45番地に建っていた頃の風景を思い浮かべてみるのも一興かもしれない。可愛らしい外観も往時を再現した室内も見応え充分、何度訪ねても楽しめる。




