横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市港北区菊名
菊名桜山公園
May 2012
菊名桜山公園
横浜市港北区の東南の端に近い菊名三丁目に「菊名桜山公園」という公園がある。公園名に「山」の文字があるように丘陵地となった立地で、そしてまた「桜」の文字が示すように公園のほぼ全域が桜の木に覆われている。菊名桜山公園の桜はソメイヨシノではなく、四月中旬から下旬にかけて花期を迎える遅咲きのサトザクラ(八重桜)だ。花の時期には花見客で賑わうということだが、普段は緑濃い静かな公園として近隣の人たちに親しまれている。
菊名桜山公園

菊名桜山公園

菊名桜山公園
「菊名桜山公園」は菊名駅から数百メートル南東の方角、菊名三丁目に位置している。菊名駅から歩いて10分から15分ほどといったところだろうか。北側にはすぐ近くを横浜線の線路が通り、西側には東急東横線の線路が南北に走っている。

公園は東側に広がる丘陵地の西端部に当たるようで、東西に細長く尾根のように延びている。だから公園のほとんどは斜面を成しており、公園内を辿る小径は“尾根道”という様相だ。西側は低く、東側は丘上となって少し開け、一角には休憩所を兼ねたトイレ棟が建っている。丘上部の南側には一段下がって広場も設けられている。公園内のほぼ全域にはサトザクラが植わっている。その数は150本ほど(200本とも)あり、横浜市内でいちばんの八重桜の名所だという。サトザクラは4月中旬から下旬にかけて花期を迎える。桜が咲き誇る時期には見事な景観となり、「桜まつり」なども行われるようだ

この「菊名桜山公園」、“公園”となる以前から地元では「カーボン山」と呼ばれ、自然豊かな緑地として親しまれていたという。都筑区にある第一カーボンという会社の社有地だったことから「カーボン山」の愛称が生まれたようだ。その「カーボン山」が大手デベロッパー会社に売却され、マンション建設の話が持ち上がった。地元住民に知らされたのは2001年(平成13年)のことで、工事着工まで一年足らずに迫っていたという。地元住民は親しんでいた緑の丘を守ろうと立ち上がる。その動きは次第に大きくなって行政を巻き込み、やがて2005年(平成17年)、横浜市は「カーボン山」をデベロッパー会社から買い取り、公園とすることを決定する。整備工事は2006年(平成18年)から始まり、2010年(平成22年)に終了、「菊名桜山公園」として開園したのが同年4月のことだったという。その経緯は「桜の森を守る会」サイト(頁末「関連する外部ウェブサイト」欄のリンク先)に詳しい。ぜひ参照されたい。
そうして守られた桜の丘は航空写真で見ると住宅街の中に浮かぶ“緑の島”のようだ。昔から地元住民に親しまれてきたという事実に加え、すっかり住宅地と化した地域の中に残る緑地としての貴重さが、「カーボン山」が残されたことの理由だったのだろう。「菊名桜山公園」は面積1.2ヘクタールほど、決して広大な公園ではない。子どもたちのための遊具も設置されておらず、特筆するような設備もない。ただ“緑濃い丘”というだけだ。しかしだからこそ、とても重要で大切な1.2ヘクタールである。
菊名桜山公園