横浜線沿線散歩公園探訪
町田市野津田町
野津田公園
Visited in May 2022
野津田公園
町田市野津田町の北部から一部は小野路町にまたがり、多摩丘陵の緑の中に横たわるようにして野津田公園がある。野津田公園は約40haの面積を有する広大な公園で、陸上競技場(町田GIONスタジアム)やグラウンド、テニスコートなどの運動施設が置かれ、東部には多摩丘陵の雑木林を残した里山風景が広がっている。各種運動施設の充実した公園だが、散策を目的に訪れても充分に楽しめる。
野津田公園 野津田公園の西側部分の中央には町田GIONスタジアムが置かれている。町田GIONスタジアムは正式には町田市立陸上競技場という名称で、2020年(令和2年)に株式会社ギオンがネーミングライツを取得、「町田GIONスタジアム」の名で呼ばれている。

町田GIONスタジアムは日本陸上競技連盟公認第3種陸上競技場とJリーグ(J1)基準を満たすスタジアムで、町田市のホームタウンチームである「FC町田ゼルビア」のホームゲームが開催されるスタジアムとして広く知られている。ゲーム開催時は大勢の観客で賑わうわけだが、通常はひっそりと多摩丘陵の緑の中に横たわるスタジアムである。

野津田公園 町田GIONスタジアムの西側には「壁打ち施設」や多目的広場などが置かれている。「壁打ち施設」はその名のようにテニスの練習などに使用できる施設だ。

さらにその西は丘陵へと上り、四阿も置かれた広場がある。そこからは視界も開けて陸上競技場が一望できて爽快だ。近くには野津田高校や社会福祉施設などもあり、広場の脇を通る道には人々の往来も多い。
野津田公園 スタジアムの東側には「芝生広場」が設けられている。天然芝を用いた広場で、面積は5500平方メートルほど。丘陵地の直中という立地で、さらに西側にはスタジアム施設があるためか、開放感には少し乏しい。しかし緑に囲まれて穏やかな空気感が漂い、のんびりと過ごすのによい場所だ。

広場にはアウトドア用のテーブルなどもいくつか置かれていて、そこでお弁当を広げてランチタイムを楽しむ家族連れの姿も少なくない。

野津田公園 「芝生広場」の北東側は「ばら広場」だ。「ばら広場」という名称だが、要するに“バラ園”だ。約450種、1400株ほどのバラが植えられているという。広場内は洋風庭園として整備され、景観としても美しい。

幾何学的なデザインで配置された花壇には品種ごとにバラが植えられ、それぞれに品種名を記したプレートも設けられているから、バラの愛好家でも満足できるだろう。バラの花は園路から間近に観賞することができる。ゆっくり時間をかけて楽しみたいバラ園だ。

野津田公園 「ばら広場」の北東側には村野常右衛門の生家が復元移築されている。村野常右衛門は自由民権運動に於ける重要な人物で、1859年(安政6年)、野津田町に生まれている。

傍らに設けられた案内板によれば、江戸時代末の創建時には茅葺きであった生家を、1924年(大正13年)に大改修を行い、鉄板葺きに改めたという。鉄板葺きは当時は珍しかったらしく、当時の村野常右衛門の政治家としての活躍ぶりがうかがえる。この生家は町田市が村野家から譲り受けたもので、1994年(平成6年)に町田市指定有形文化財となっている。
野津田公園 村野常右衛門生家から公園北口を出て、道路を渡ると、その向こうに一段低くなって湿性植物園がある。調整池を利用して整備したもので、山間の池のような風情はないがひっそりと沈むような佇まいがいい。

湿性植物園ではセキショウ、ノハナショウブ、キショウブ、カキツバタ、コガマ、ミソハギ、セリ、ヘラオモダカなど、10種類約20000株以上の植物が見られるという。これらの植物は丹誠込めて栽培されているというわけではなさそうで、ほとんど自生に近い形で育っているように見える。その野趣溢れる様子もまた魅力だ。

湿地の周囲には散策路が巡り、湿地を横切る木道もあり、湿性の植物を観察しながらのんびりとした散策を楽しめる。植物観察の好きな人にはお勧めだ。
野津田公園 野津田公園の東側部分は広大な里山風景が占めている。昔からの多摩丘陵の姿を残した雑木林が残されており、その中に「炭焼き広場」や「ピクニック広場」、「ミズキ広場」といった広場が設けられ、それらの広場を繋ぐように「こもれびの路」と名付けられた散策路が辿っている。

散策路は未舗装の山道で、雑木林散歩の楽しさを存分に味わうことができる。分かれ道の部分には案内標識と案内図が設けられているから迷うことはないが、迷ってしまってもそれはそれで楽しいだろう。

野津田公園 「炭焼き広場」と「ミズキ広場」は雑木林に囲まれてひっそりとした広場だが、「ピクニック広場」は北側が中央第2駐車場側に開けており、比較的開放感のある広場だ。

「ピクニック広場」も雑木林に囲まれて緑濃く、自然溢れる景観が嬉しい。広場の一角には複合遊具も設置されており、子ども連れでお弁当を持って、まさに“ピクニック気分”で訪れるのに好適なところだと言っていい。
野津田公園 「こもれびの路」を辿って雑木林の丘を越えて南東側に抜け出ると「上の原広場」と名付けられた開けた場所に出る。丘陵に挟まれた谷戸の地形で、グラウンドも設けられている。丘陵の中にぽっかりと開いた広場はなかなか素敵な景観だ。

グラウンドの南側の丘は「ススキの丘」と名付けられている。丘の上は木々の取り払われた原っぱになっており、丘の上を歩けば吹き渡る風も心地よく、いかにも“丘の上”という感覚が楽しい。「芝生広場」や「ばら広場」周辺に来園者が多いときでも、「上の原広場」の辺りには人の姿は少なく、自然豊かな景観の中で静かな時間を過ごせるのも嬉しい。里山散歩の好きな人にはお勧めのところだ。
野津田公園
野津田公園はスポーツする人たちにとっても施設の充実が魅力的だろうし、スタジアム横の「芝生広場」や「ピクニック広場」のあたりは家族でのピクニック気分での利用にも好適だ。雑木林や里山歩きの好きな人にとっては東側部分の丘陵が心惹かれるものだろう。それぞれの楽しみ方で休日の一日を過ごすことができる。お勧めの公園と言っていい。

駐車場やバス路線などのアクセス方法、園内施設の使用方法などについては指定管理者による公式サイト(ページ末尾「関連する外部ウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
野津田公園
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