横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市元本郷町
多賀公園
Visited in October 2018
多賀公園
八王子市元本郷町四丁目の北西側の端部、浅川の河岸部に「多賀公園」という公園が設けられている。ほぼすべてを広場が占める公園で、特筆するような設備はないが、河岸に面した一角では開放感溢れる眺望が楽しめる。
多賀公園
八王子市元本郷四丁目の北西側の端、南浅川と北浅川の合流点に面して「多賀公園」という小公園がある。種別としては「近隣公園」だが、面積は8000平方メートルほどで、それほど広い公園というわけではない。1991年(平成3年)に供用開始となった公園だ。

公園は南側の広場と河岸に面した北側のエリアから構成される形だ。公園は河岸の遊歩道に面しており、西側から北側にかけて河岸の遊歩道が辿っている。南側は道路で、東側は東京都水道局の施設だ。

多賀公園
南側の広場は公園のメインとなる部分で、東側はむき出しの地面だが、河岸に面した西側には木々が枝を広げ、その下はわずかながら草はらとなっている。遊具類は設置されていないが、トイレは設置されており、普段は近所に暮らす人たちの憩いの場として利用されている。

公園の北西側の角となる部分は南浅川と北浅川の合流点を臨み、河岸特有の開放感が味わえるところだ。角に面して三角形をした広場は草はらで、広い木製のベンチが設置されているのも嬉しい。ベンチに腰を下ろし、河岸の遊歩道を行き交う人たちの姿を眺めながら、のんびりと川風に吹かれるのもいいものだ。
多賀公園
公園の東側には東京都水道局八王子サービスステーションが隣接し、「元本郷四丁目19」の街区を分け合う形だ。今は東京都水道局の施設だが、かつてここには八王子市水道局元本郷浄水場があった。

大正時代に入って八王子市でも水道の必要性が出てきていた。八王子市議会で上水道敷設が可決されたのは1925年(大正14年)2月のことだったという。関東大震災の被災が契機になったことは言うまでもない。南浅川と北浅川の合流点に水源を求め、この場所に膨大な予算を投じて浄水場が造られた。給水が開始されたのが1928年(昭和3年)のことである。

その後、八王子市の水道事業は明神町浄水場や中野町浄水場、高月浄水場が造られるなどして拡張されたが、昭和40年代になって多摩地区の水道事業が都営一元化の方向へ向かうことになる。八王子市の水道事業も1976年(昭和51年)に都営水道に統合され、実際の事業を都から受託されて市が行う形となった。

しかし、受託運営では効率も悪く、諸々の問題も抱えていたため、2005年(平成17年)に東京都は多摩地区の水道事業の直営一元化を決定する。それに従って八王子市の水道事業も段階的に東京都直営に移行、2012年(平成24年)3月31日をもって全ての水道業務が東京都水道局に移行されたのである。
多賀公園は「近隣公園」ではあるが、普段は近所に暮らす人たちのための日常的な憩いの場であり、その意味では「街区公園」的な性格の公園だと言っていい。

多賀公園の特筆すべき特徴はその立地である。南浅川と北浅川の合流点を臨む河岸の立地は開放感に溢れ、のんびりとしたひとときを過ごすことができる。多賀公園と河岸に沿った遊歩道、浅川河川敷の広場なども含めてひとつの大きな公園エリアを成していると言ってよく、多賀公園はその一部だと考えることもできるだろう。浅川から南浅川への河岸散歩の時などに立ち寄ってみるのもいい。春は桜の美しい公園である。
多賀公園