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川崎市麻生区上麻生
紫陽花の咲く浄慶寺
Visited in June 2001
紫陽花の咲く浄慶寺
川崎市麻生区の南西部、町田市との境に近い丘陵部に浄慶寺という寺がある。1500年代の創建ともいうこの寺は「あじさい寺」の異名で親しまれ、花の好きな人々には紫陽花の名所としてよく知られている。浄慶寺の紫陽花は「参詣する人たちのために」と昭和40年代の初め頃から植えられたものだという。現在では3000株ほどの数になり、6月から7月にかけての花期にはまさに「紫陽花の名所」と呼ぶに相応しい景観を見せてくれる。
紫陽花の咲く浄慶寺
浄慶寺の境内は決して広々とした印象ではないが、緑に包まれてひっそりとした佇まいが魅力だ。境内には羅漢様の石像が何体かあり、そのユーモラスな表情が楽しい。紫陽花は参道から境内の随所に見られるが、何より美しいのは裏山斜面に植えられた紫陽花の景観だ。本堂の右手へ、細道を入り込んで裏山の斜面へと入り込むと、まるで紫陽花に包まれてしまったような印象を受ける。斜面には縦横に細道が辿っており、高みから見下ろしたり、下から見上げたりと、気ままに紫陽花の風情を楽しむことができる。裏山の斜面のほぼすべてが紫陽花に埋め尽くされたような景観はまさに圧巻で、場所を変えれば景観の表情もさまざまに変わり、長い時間を過ごしても飽きることがない。夏の始まる季節の一日、静かな寺に咲き誇る紫陽花の中に身を置けば、世俗を忘れて穏やかなひとときを過ごすことができるだろう。
紫陽花の咲く浄慶寺紫陽花の咲く浄慶寺
紫陽花の咲く浄慶寺
浄慶寺は紫陽花ばかりでなく、花菖蒲や梅などもその季節それぞれに楽しめる。周辺の散策も兼ねて訪れてみるのもよいだろう。6月中旬あたりには毎年「あじさい祭り」も開催されるようなので、それに合わせて紫陽花を楽しみに出かけるのも一案だ。浄慶寺は小田急線柿生駅から南へ10分ほど歩いたところにあり、住宅街が迫りつつある中で、このあたりはまだ緑多い環境を保っている。柿生駅から県道横浜上麻生線の仲村橋交差点とを結ぶ道路から南側の木立の中へと辿る細い坂道があり、そこを辿ると浄慶寺だ。細道の入口に浄慶寺を示す案内板もあるので初めての人でも迷うことはない。車で来訪する場合には県道横浜上麻生線から入ってくるのがよいだろう。
紫陽花の咲く浄慶寺