ホームに立てば、目の前には広々と相模湾の風景が広がる。左に視線を向ければ稲村ヶ崎から三浦半島へと海岸線が延び、右には江の島の島影が浮かぶ。江の島の向こうにはうっすらと伊豆半島のシルエットが横たわる。天候に恵まれれば正面には伊豆大島も見えるという。ホームの前に線路と国道134号が隣り合って東西に延び、国道の向こうはもう海岸だ。沖合いには大小のヨットの白い帆が日差しを弾き、その手前を時折、水上オートバイが航跡を描いて通り過ぎてゆく。このまま時を忘れてその風景を眺めていたくなるが、やがて到着する江ノ電の車両によって視界は遮られる。江ノ電に乗らずにやり過ごし、車両が行き過ぎた後に再び海を眺めるのも、また一興かもしれない。