神奈川県藤沢市の長久保公園は都市緑化植物園でもあり、四季折々にさまざまな花々の楽しめる公園だ。六月になれば花菖蒲や紫陽花に加え、ハーブ園で各種のハーブの花も楽しめる。梅雨の晴れ間の六月半ば、長久保公園を訪ねた。
神奈川県藤沢市の南部に設けられた市立長久保公園は都市緑化植物園としての側面を持つ公園で、園内には「みどりの相談所」や「展示即売所」をはじめ、緑に親しむためのさまざまな施設が整備されている。当然、園内にはさまざまな花木が植生されており、四季折々に花々を楽しむことができる。六月には花菖蒲や紫陽花などに加え、バラや各種ハーブの花々を楽しむことができる。梅雨空の鬱陶しい季節だが、季節の花々を愛でながらの散策は楽しいひとときだ。
六月になれば暑い日もあり、本格的な夏が近いことを感じさせてくれる。長久保公園の正面入口のアーチにはすでにノウゼンカズラが咲いている。ノウゼンカズラはつる性の落葉高木。夏の始まりを告げるように大きな花を咲かせる。濃いオレンジ色の花が葉の緑と美しいコントラストを見せる。六月の日射しを浴びる様子はまさに夏到来の印象がある。
長久保公園には「みどりの相談所」周辺にバラが植栽されている。三ヶ所のバラ園に約50種、130株のバラが植えられているという。六月になればさすがに盛りを過ぎているが、まだまだ美しいバラの花を楽しむことができる。美しい花を探しながら、時間をかけて鑑賞していきたい。
「みどりの相談所」の横から公園のほぼ中央部を貫くように延びる「花のプロムナード」は長久保公園の象徴のような存在だ。中央部に設けられた花壇は常に整備が施され、季節の花々に彩られている。この花壇の花々も楽しんでおきたい。
長久保公園の南側半分は芝生広場を中心にした緑濃いエリアだ。芝生広場の西側に四阿を設けて日本庭園風に整備された一角がある。小さな湿地があり、花菖蒲が育てられている。花菖蒲は六月を象徴する花のひとつと言っていい。長久保公園の花菖蒲田はそれほど規模の大きなものではないが、季節の風情を味わうには充分だ。四阿に腰を下ろしてのんびりと花菖蒲の景観を楽しみたい。
芝生広場の周辺には「庭園見本園」や「樹木見本園」などがあり、樹林地になっていて、その中を散策路が巡っている。散策路を辿っていると、ところどころで紫陽花を見つけることができる。紫陽花はそれほど数は多くないが、木々に包まれた散策路に咲く姿にはしっとりとした味わいがあって美しい。
公園の北西側の角、駐車場の西側には道路を挟んで「ハーブ見本園」が設けられている。この季節、ラベンダーやエキナセア、ワイルドベルガモット、コモンヤロウといった花々を見ることができる。それぞれの花にネームプレートが添えられているのがハーブ類に詳しくない身には嬉しい。ハーブ好きの人ならぜひ訪ねてみたい施設だろう。
六月と言えば梅雨の真っ直中。雨が続いて出かけるのも億劫になりがちだが、この季節ならではの花々を楽しみたい。梅雨の時期の花と言えば紫陽花と花菖蒲が代名詞のように思い浮かぶが、その他にも遅咲きのバラやハーブ類の花々など、多様な花が楽しめる。長久保公園は梅雨の時期の花々を目当てに訪れるのに好適な公園だと言っていい。紫陽花や花菖蒲は少し物足りないが、「ハーブ見本園」のハーブはなかなか見応えがある。梅雨の晴れ間の散策にお勧めである。
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公園は入園料は必要なく、自由に入園できる。開館時間など、詳細は公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
長久保公園へ鉄道を利用して訪れる場合は小田急江ノ島線本鵠沼駅が最寄りだ。駅から西へ辿り引地川を越えて約1km、徒歩で15〜20分ほどか。JR線を利用する場合は藤沢駅や辻堂駅からバスを利用するのが便利だ。バス路線など詳細については公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
長久保公園には90台分ほどの無料駐車場があり、車での来園も便利だ。国道1号や国道134号から引地川左岸の道路へと辿ればわかりやすいが、土地勘の無い人には途中のルートがわかりにくい部分もあるので、予め地図でよく確認しておくか、ナビの使用をお勧めする。駐車場入口も引地川左岸の道路沿いに設けられている。
園内にはレストランなどは設けられていない。公園でお昼を過ごすならお弁当持参がお勧めだ。
公園の北西側、県道30号を渡れば「湘南T-SITE」がある。中に食事の可能な店もあるから足を延ばしてもいい。
公園から引地川沿いの道路を南へ辿れば2kmほどで国道134号に出る。国道134号を東へ向かえば県立湘南海岸公園、西へ行けば辻堂海浜公園が近い。徒歩では少し距離があるが、車で移動すればそれほど遠くない。
藤沢市長久保公園都市緑化植物園
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