公園内は尾根の斜面に沿ってさまざまに散策路が辿り、咲き誇る梅の花を間近に、あるいは遠景で、存分に楽しむことができる。谷戸と尾根筋で構成された地形は、やはり尾根の高みから見下ろす景観が美しい。特に谷戸の奥まったところの斜面上から見下ろせば眼下には梅の花に覆われた谷戸の風景が広がり、溜息がでるほどの見事さだ。散策路を辿って行けば場所によって景観の表情が変わり、どれほど見ていても飽きることがない。もちろん谷へと降りて見る景観も美しく、梅の花に包み込まれるような感覚が楽しい。谷戸の奥まったところの斜面は枝垂れの梅が植えられており、その枝垂れを水の流れに例えて「しだれ梅の滝」と名付けられている。これも下から見上げる景観が美しい。
尾根の上部を辿る散策路は未舗装の小径で、雨上がりにはぬかるんだところもあるから、訪れる時には滑りにくい靴を履いていった方がいい。車椅子でも通行可能な散策路も整備されており、車椅子やベビーカーを利用している人でも公園の見事な梅を充分に堪能することができるのが嬉しい。眺望の素晴らしい要所には四阿が設けられ、さらに随所にベンチが置かれており、腰を下ろしてひとときのんびりと時を過ごすのもいい。お弁当持参で訪れ、梅を眺めながらのランチタイムを楽しむ人の姿も少なくなかった。
公園北側に位置して正面口が設けられており、正面口周辺には管理棟やトイレ、日本庭園、売店などが置かれている。売店ではうどんなどの軽食も扱っているから簡単に食事を済ませてしまおうというときにも便利だ。
正面口から入った左手の一角にはサンシュユが咲いていた。鮮やかな黄色い花が紅白の梅に混じって色彩のコントラストが美しい。サンシュユは「山茱萸」と書く。ミズキ科の樹木で、早春にこうして黄色い花を咲かせる。小さな花だが集まって咲き、遠目に見ると梅にも負けない美しさだ。樹木には「サンシュユ」のネームプレートが添えられていたが、サンシュユを知らない人も多いようだった。ちなみに名が似ているがミカン科の「サンショウ(山椒)」とは異なる樹木だ。