空路での宮崎の玄関、宮崎空港に設けられた鉄道の駅が宮崎空港駅である。宮崎空港駅は日南線の田吉駅から分岐する宮崎空港線の終着駅だが、田吉駅から宮崎空港駅まで約1.4kmの宮崎空港線に他に駅は無い。
この宮崎空港線と宮崎空港駅は1996年(平成8年)に開業したものだ。それまで、宮崎空港と宮崎市街中心部とを繋ぐ鉄道路線は無かった。空港に最も近い鉄道の駅は日南線の田吉駅と南方駅だったが、双方とも“地理的に空港に近い”というだけで、駅から空港へのアクセスの便は悪く、実質、宮崎市街中心部から空港へのアクセスはバスに頼っていた。宮崎空港線と宮崎空港駅の開業によって空港と市街中心部が鉄路で結ばれることになったが、便数は少なく、空港と市街中心部とのアクセスにバスが便利だという状況はあまり変わらない。鉄道開業の利点は、延岡方面へ行き来する列車が直接乗り入れていることだろう。それまで、県北の延岡方面と空港との行き来の際には、県北と宮崎の間は鉄道で、宮崎駅と空港の間はバスで、と、乗り換えが必須だったから、その利便性が高まったことが大きなメリットだろう。宮崎空港駅には延岡方面を経由して大分からさらに博多へと向かう特急も乗り入れており、それらの路線を利用する人たちにとっては格段に便利になったと言っていい。それらの特急列車は宮崎駅までは乗車券のみで特急の普通車自由席に乗車できるが、日南線や日豊本線の普通列車への乗換客の利便性へ配慮したものだろう。