日南海岸追想
小内海駅旧景
小内海駅旧景
JR日南線小内海駅は2021年(令和3年)9月の台風14号によって壊滅的な被害を受けた。駅北側の斜面が幅約100m、高さ約70mに渡って崩落、土砂は駅と線路を飲み込み、海岸へと流れ落ちた。線路の下を通っていた国道220号もこれによって完全に塞がれた。復旧作業は困難を極め、国道220号の通行が復旧したのが5週間後の10月20日、日南線の運行が再開されたのは約3ヶ月を経た12月11日のことである。かつての小内海駅は南国風情が漂い、小さいながらも興趣に富んだ駅だったが、これも失われた風景になってしまった。
小内海駅旧景
小内海駅のある辺りは急峻な崖が海に落ちる地形で、その崖の下部にわずかに平地を刻んで線路が通され、簡素な駅が設けられていた。線路のすぐ下を国道220号が通り、国道から細く急な階段が駅のホームに上っていた。駅舎などはなく、階段の脇に「小内海」と記した名票が掲げられているだけだった。国道にも“駅前”的な佇まいはいっさいなかった。駅の周辺は木々に覆われて緑濃く、ホーム横では何本かのワシントン椰子が風に揺れていた。
小内海駅旧景
小内海駅旧景
駅は一線だけの線路の片側にホームを設けただけの簡素なものだった。ホームには駅名標は設置されていたが、他には屋根のあるベンチが設けられているだけだった。ホームは木々に遮られて開放感には乏しかったが、ホームの端までいけば木々の向こうに海が見えた。復旧後の小内海駅のホームからは昔よりよく海が見える。しかし、その海の景色も昔とは違って見える。
小内海駅旧景
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ページ内の写真は2003年夏に撮影したものです。本文は2024年8月に作成しました。