八王子市堀之内
−平山城址公園−
桜咲く平山城址公園
Visited in March 2004
平山城址公園は雑木林の丘陵の様相をそのままに残した都立の公園だが、春の桜の名所としてもよく知られている。訪れた日は少々曇りがちだったが、のんびりと散策を楽しむ人やお弁当を持参してくつろぐ人たちの姿が少なくなかった。
公園の北側に位置する正面入口から、南斜面へと下ってゆく辺りの桜がいちばん見事で、盛りの時期にはお花見の人たちで賑わっている。特に正面入口の周囲は大きく枝を張った桜に覆われている印象で、低く垂れた枝の桜を眼前に見ることができる。そこから公園内に入ってゆくと南斜面を下る形になるが、散策路の周囲に咲く桜を見下ろす形になって美しい景観だ。たいていの場合、桜は頭上にあるものを見上げる形になってしまうから、このように上方から見下ろす桜は少しばかり新鮮さも感じられて趣がある。周囲は雑木林で、その中に美しく咲き誇る桜はなかなか見応えがある。
正面入口から南へ散策路を下ってゆくと低地になって池がある。その奥まったところに印象的に一本の桜が咲いている。それほど大きな木ではないのだが、雑木林の丘に囲まれた谷戸にひっそりと立つ姿になかなか良い風情がある。池の周囲を辿る散策路を歩きながら桜を眺めると、さまざまに表情を変えて楽しい。真下に立って見上げるように眺めるのも悪くはないが、この桜は間近に見るよりも少し離れて雑木林を背景に眺める姿が美しいように思える。
その桜の横手の小径を登ってゆくと、林の中を辿って六国台の展望所に至る。小径を歩いていると周囲の雑木林に春の息吹が感じられて楽しい。林の中にはヤマザクラもあり、木立の中で上へ上へと伸びたヤマザクラの姿が逞しさを感じさせて、これはこれで美しい。六国台の展望所は北に視界が開けて爽快な場所だ。そこにまるで天蓋のように桜が大きく枝を張っている。お花見の人たちはあまりここまで足を延ばさないのか、あまり人の姿もなく、ひっそりとした中に穏やかな春の風が吹き抜ける。桜の下でのんびりと眺望を楽しむのもいい。
六国台の展望所の下の尾根道は、東に辿ればすぐに公園の正面入口に戻る。この尾根道は北側への眺望がとてもいい。春の雑木林の空気を感じながら散策を楽しみ、のんびりと園内を一周してみるのもいいものだ。その後でどこかに腰を落ち着けてゆっくりと桜を楽しみつつ、お弁当やお茶のひとときを過ごすのがお勧めであるような気がする。園内には随所にベンチが設けられており、お弁当を広げるのにもあまり困らないが、念のためシートを持参した方がよいかもしれない。