横浜市中区山手町
元町百段公園
Visited in May 2011
元町商店街から代官坂へと向かうと、すぐに右手の丘上に登る石段がある。これを登ってゆくと山手の住宅街の中を抜けて山手本通りの「汐汲坂」交差点横へと至るのだが、その途中、北向きの崖上に小さな公園がある。元町百段公園という。
公園にはその由来を記した解説板が設置されている。公園のある辺りは、横浜開港時から大正期にかけて浅間山の見晴台と呼ばれており、港や関内地区を一望し、遠くは神奈川宿の旅籠や茶屋までが見渡せたという。元町の鎮守である厳島神社の末社である浅間神社が祀られ、小さな茶屋もあって外国人観光客も訪れていたらしい。その当時、元町二丁目と山手の丘上とを繋いで急な石段があった。石段は百一段あったそうだが、人々は「百段」と呼んで親しんでいたという。その「百段」は残念ながら関東大震災で崩れてしまい、現在は残っていない。その「百段」の歴史をとどめるために造られたのが、この「元町百段公園」だという。解説板の横には往時の「百段」を撮影した写真をタイルにして埋め込んだモニュメントが設置されている。写真には当時の元町商店街の様子なども写っており、興味深い。
現在の元町百段公園はほぼ円形をした小さな広場だ。崖上となった北側の外縁部には弧を描いて展望テラスが設けられている。古代ギリシア建築を思わせる意匠の柱が展望テラスに沿って立てられているが、これは装飾目的なのだろう。展望テラスからは北側に広がる横浜市街を一望し、ほぼ正面にランドマークタワーの姿も見える。ビルの建ち並ぶ風景ではあるが、やはり高みから見下ろすのは爽快な感じがするものだ。その展望テラスの右端には大きな桜の木がある。花の季節には美しい景観を見せてくれるという。この桜は元町百段公園のシンボルツリーと言っていいのだろう。
普段はほとんど人の姿はなく、近所の人がときおり犬の散歩などで訪れる程度のようだ。観光客の姿も見かけることは少ない。“観光名所”としてお勧めできるほどの特徴のある公園とは言い難いが、公園から北に広がる横浜市街の景観を眺めながら、のんびりとしたひとときを過ごすのも悪くない。代官坂下から元町百段公園へ至る石段の姿に、かつての「百段」の姿を重ね合わせてみるのも楽しい。
普段はほとんど人の姿はなく、近所の人がときおり犬の散歩などで訪れる程度のようだ。観光客の姿も見かけることは少ない。“観光名所”としてお勧めできるほどの特徴のある公園とは言い難いが、公園から北に広がる横浜市街の景観を眺めながら、のんびりとしたひとときを過ごすのも悪くない。代官坂下から元町百段公園へ至る石段の姿に、かつての「百段」の姿を重ね合わせてみるのも楽しい。