八王子市西寺方町の小田野中央公園には南浅川沿いの堤防道に沿って河津桜が植えられている。三月上旬になると美しく咲き誇って河岸を彩る。美しい桜並木だ。

小田野中央公園は南浅川の右岸（南側）に設けられた公園で、河岸に沿って東西に細長く横たわっている。公園はいくつかの“広場”から構成されており、東側から「子ども広場」、「日時計広場」、「中央広場」、「こかげ広場」、「なかよし広場」と並ぶ。

そのうち、東端部の駐車場横から「中央広場」までの約500m、河岸に沿って河津桜が並んでいる。視界の奥まで延びる河津桜の並木はたいへんに美しく、南浅川の河岸をまさに春色に染め上げる。

まずはやはり河岸の道を歩いて、ゆったりと河津桜の咲く風景を楽しみたい。500mほどの距離があるから見応えも充分だ。河岸は緩やかに弓なりに弧を描いているから、視界の奥まで桜並木の景観が見えているのもいい。

河岸の道を歩けば、桜並木は道の南側だ。桜並木は逆光の中に霞み、その様子がたいへんに美しい。公園の広場側から眺めれば河津桜は順光を浴びて輝き、その景観も劣らず美しい。時刻によって日差しの向きが変われば、景観の印象も違う。それぞれの景観の美しさを楽しみたい桜並木だ。

「子ども広場」や「日時計広場」の辺りでは並木の下には花壇が設けられており、菜の花やパンジーが咲いている。地元の小学生が種を蒔き、苗を植えたものという。

菜の花と桜との組み合わせは、やはり春を象徴する景観だろう。菜の花の黄色と河津桜のピンクが春らしい色彩だ。河津桜を背景に菜の花のクローズアップの写真を撮ったり、いろいろと構図を考えてカメラを向けるのも楽しいひとときだ。

小田野中央公園の河津桜はすっかり有名になり、見頃の時期になると大勢の人がお花見に訪れている。河津桜は早咲きの桜で、例年、三月の上旬頃に見頃を迎える。まだまだ風の冷たい日もあるが、そろそろ春めいてくる頃だ。早春の一日、小田野中央公園を訪ねて一足早いお花見を楽しんでみるのもお勧めだ。期待を裏切らない美しさの河津桜だ。