多摩丘陵の自然の残る小山田緑地は晩秋の風景も美しい。いわゆる紅葉の名所ではなく、色鮮やかなモミジなどを求めて訪れると期待を裏切られることになるが、黄色や赤茶色に色を染めて落葉する雑木林がひっそりとした里山の秋を感じさせるのがいい。

「小山田の谷」の水辺にはモミジの木も散見されるが、陽当たりのせいなのか、あまり美しい紅葉を見せていない。しかし秋の澄んだ日差しを受けて輝く雑木林の木々が青空を背景に浮かび上がる景観はそれを補って余りあると言えるだろう。秋の緑地には散策を楽しむ人の姿はそれほど多くはないが、そのためにかえって静かで落ち着いたひとときを過ごすことができる。落ち葉の敷き詰められた林の中の小道を歩きながら、雑木林の見せる秋の表情を楽しむのも、紅葉の名所を訪れるのとはまた違った秋の楽しみのひとつだろうと思える。