多摩市落合
−多摩中央公園−
晩秋の多摩中央公園
Visited in November 2007
多摩市落合、多摩センター駅のすぐ南側に位置する
多摩中央公園は、市民の憩いの場として多くの人々が訪れる。池と芝生広場を中心とした公園は穏やかな表情を持ち、休日のひとときを過ごすのにぴったりだと言っていい。緑濃い多摩中央公園は晩秋になれば木々が紅葉し、美しい姿を見せてくれる。
【追記】
多摩中央公園は2023年(令和5年)6月20日から2025年(令和7年)3月31日までの期間、公園全域で改修工事が行われている。工事が完了した場所から部分開園するとのことである。
晩秋の
多摩中央公園で最もお勧めなのは、旧富澤家住宅を移築して日本庭園風に設えた「くつろぎの広場」だろう。「くつろぎの広場」には小さな池があるのだが、その池の岸辺に植栽されたカエデが紅葉に染まり、なかなか風情のある景観を見せてくれる。旧富澤家住宅の前から池越しに眺める様子もよく、池の周囲を巡る散策路を辿って紅葉のカエデの向こうに旧富澤家住宅の建物を眺めるのも興趣に富んでいる。日本庭園の意匠と紅葉との組み合わせが見せる繊細な美しさはやはり格別なものがある。
大池を臨む芝生広場の周囲ではケヤキの紅葉も美しい。ケヤキは立ち姿の美しい樹木だが、その葉が晩秋の色に染まり、陽光を受けて輝く姿は美しく、澄んだ秋空を背景に見る紅葉のケヤキは芝生広場の開放感にも似合っている。大池の東側の林や、広場を囲む樹林の中にも少ないながらカエデの木があり、鮮やかな赤に染まって景観にアクセントを添える。ゆっくりと散策路を巡れば陽光の向きが変わり、紅葉の景観も変わり、眺めていて飽きない。広場の一角に設けられた花壇では帝王ダリア(皇帝ダリアとも言う)が花を咲かせていた。大きなピンクの花が、これも秋の青空を背景に映えていた。
公園東側の散策路は「県木の道」と名付けられ、全国の都道府県の「県木」が植栽されているのだが、この散策路でも美しい紅葉を見ることができる。カエデの木もあるが、イヌシデ、アカシデといったあまり馴染みのない樹木が鮮やかな黄葉を見せてくれることに気付いて新鮮な驚きもある。この他にもパルテノン多摩上部に位置する「きらめきの広場」のカエデや、グリーンライブセンター付近のケヤキなど、美しい紅葉の景観を見ることができた。ゆっくりと時間をかけて園内を巡ると、日差しの向きなどによってハッとするほど美しい景観に出会うことがある。そんな瞬間が嬉しい。
多摩中央公園は「紅葉の名所」と呼ぶには少しばかり物足りないが、それでも晩秋の散策路として充分にお勧めしたい美しさだ。多摩センター駅周辺へ買い物に来たときなど、少し足を延ばして多摩中央公園が見せてくれる晩秋の色彩を味わってみるといい。