横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市南大沢
溜池公園
Visited in April 2014
溜池公園
京王相模原線南大沢駅の南側、南大沢中郷公園から南へ、中郷歩道橋から舗道を200mほど辿ると溜池歩道橋という歩道橋がある。その溜池歩道橋の袂、北東側には溜池公園という小公園がある。3000平方メートルにも満たない面積の小さな街区公園だ。
溜池公園
公園の名や歩道橋の名に冠された「溜池」が示しているように、かつてこの辺りには溜池があったという。設置された解説の記述によれば、昔のこの辺りは大きな木々が茂るところで、山裾には清水の湧き出る溜池があったそうだ。真夏の日照りのときのも池は涸れることがなく、その水は人々の生活や田圃に用いられていたという。今は整然とした南大沢の住宅街だが、ニュータウンとして造成される以前、この辺りには長閑な多摩丘陵の風景が広がっていた。今ではその風景を想像することも難しく、土地の変貌というものには驚くばかりだ。

溜池公園
「溜池」という名以外にも、かつての風景を偲ばせるものが残されている。舗道に面した公園入口に植えられたグミの木がそうだ。前述の解説によれば、このグミの木は溜池の近くにあったアキグミの木で、造成工事のときに一時山に移しておいたものらしい。グミの木も周囲の風景の変貌に驚いたことだろうが、今は公園のシンボルツリーのように枝を広げている。

そのグミの木のある一角が舗道に面した公園のメインエントランスだろう。テラスのように設えられ、藤棚を兼ねたパーゴラも設置されている。藤の咲く季節には美しい景観を見せてくれるのだろう。そのパーゴラの向こうが一段低くなった公園のメイン部分だ。公園は二つの広場から構成された形で、北側には砂場やブランコ、滑り台などを置いた小広場があり、その南側に木々に囲まれて平坦な広場がある。訪れたのは四月下旬、藤の花にはまだ少し早く、広場の周囲の木々が新緑に輝き、美しい姿を見せていた。
溜池公園
溜池公園は小さな街区公園で、近所に暮らす人たちのための憩いの場、子どもたちの遊び場としての目的以上の役割を果たすものではないが、舗道に面したパーゴラの下のベンチはなかなか居心地がいい。舗道を辿って南大沢の町を散策する機会があれば一休みの場所に好適なところかもしれない。舗道に面してトイレが設置されているのも嬉しい。

舗道を北へ辿れば200mほどで南大沢中郷公園、南へ辿れば南大沢中学校の脇を抜けて400mほどで九反甫公園、さらに九反甫歩道橋を渡って南へ辿り、西へ進めば都立小山内裏公園の東端部も近い。南大沢中学校を回り込むように南側を東へ進むと大平公園だ。点在する公園を巡っての散策も楽しい。
溜池公園