八王子市下柚木
−柳沢の池公園−
桜咲く柳沢の池公園
Visited in April 2005
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
柳沢の池公園には「お花見広場」と名付けられた桜の林がある。広場は「都立大学入口」交差点側に設けられ、緩やかな起伏を伴った草はらに桜の木が植えられている。以前は桜の木もまだ小さく、花の時期にもそれほど見応えのあるものではなかったのだが、ようやく木々も大きく育ち、見事な景観を見せてくれるようになった。地元の人たちには身近なお花見の場所としてすっかり定着したらしく、「お花見広場」の桜が咲き誇る時期、お花見を楽しむ人たちの姿で賑わう様子をよく見かける。
訪れたのは四月の半ば、今年(2005年)は桜の開花がすいぶんと遅れたが、それでもやはり四月も中旬になれば桜は終わりの時期で、「お花見広場」の桜は散り始めている。しかし散り際の桜というのはなかなか風情のあるもので、散った花弁によって広場が桜色に染まっているような印象になって美しい。風が桜を揺らすたびにはらはらと花弁が舞い散る様子もいい。ひとつひとつの桜を間近に見上げればすでにすっかり盛りを過ぎた様子だが、少し離れて眺めればまだまだ美しい春の風景が楽しめる。
「お花見広場」の桜はほとんどがソメイヨシノのようだが、西側の道路に近い散策路脇にシダレザクラが一本、植えられており、これがなかなか趣のある姿を見せている。ソメイヨシノより濃いピンクの花はよく目立ち、春の公園風景の中のアクセントにもなっているように思える。成長の早いソメイヨシノとは違って、こちらはまだ小さな若木だが、やがて年月を経て大きく育てば、きっと見事な姿を見せてくれるに違いない。
また公園中央の「柳沢の池」の脇に、大きな桜の木がある。これはおそらく植栽されたものではなく、昔からこうして池のほとりにあったものに違いない。ヤマザクラだろうか。なんとなくヤマザクラとは違うようにも見える。逞しく枝を広げた桜の木に真っ白い花が咲き誇っている。春の青空を背景に、その姿は凛々しさのようなものさえ感じさせてくれる。ソメイヨシノの林となった「お花見広場」はのんびりとくつろぐのによい場所だが、春の柳沢の池公園を象徴するのは、この池の脇の桜であるような気がする。
柳沢の池公園はそれほど規模は大きくはなく、駐車場も無いから、遠方からお花見に訪れるような性格の公園ではないが、地元の人たちにとっては素敵なお花見スポットであるに違いない。広場脇の道路は交通量も多く、車の騒音もあり、少しばかり落ち着かないのも難点だが、満開の桜に包まれていればそれほど気にならないようにも思える。南大沢駅から歩いて十分ほどだろうか、桜の時期であれば、駅近辺に買い物に訪れたときなどに足を延ばしてみるのもよいだろう。
【追記】
公園脇の交差点は当時はまだ「都立大学入口」という名だったが、後に「首都大学東京入口」を経て「東京都立大学入口」と改められている。