八王子市下柚木
柳沢の池公園
Visited in May 2005
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
南大沢の都立大学(首都大学東京)の北西側、「都立大学入口」交差点の角にこの「柳沢の池公園」がある。「都立大学入口」交差点のひとつ北側の交差点は「柳沢の池公園北」という名となっているし、比較的交通量の多い道路沿いなので、車で走りながらその存在に気付く人も多いだろう。
「多摩ニュータウン」の中にあって、この池の周囲は開発の手が付けられず、昔ながらの山間の池の風情を残している。バードサンクチュアリとしての意味合いもあり、池とともにその周囲には木立が残され、カルガモやコサギ、シジュウカラといった野鳥が集まるという。トンボなどの水辺の小動物の姿も見られるということだが、池は保護と安全のためかフェンスが取り囲み、西側のデッキからフェンス越しに観察できるだけで水辺に近づくことはできない。造成された住宅街の中にこうした自然が残されることは確かに素晴らしいことなのだが、本来は山間の林の中にひっそりとあったであろう池の姿を思うと、現在の高層の住宅を背景にした風景にはやはり複雑なものを感じてしまうのも事実だ。周囲はすっかり現代的な住宅街に姿を変えてしまったが、この池がいつまでも枯れずに残ることを願わずにはいられない。
数年前のことだったか、夏のように暑い春の日に、この小川で遊ぶ子どもたちの姿に出会ったことがあった。初めは数人の子どもたちが「アメンボがいる」と騒ぎながら、それを捕まえようと遊んでいるだけだったが、やがて友だちらしい子どもたちやお母さんたちも次々と集まってきて大人数となってしまった。中には小川に足を踏み入れて泥だらけになってしまう子どももいて大騒ぎだった。今ではこうした小川を探すのも難しく、そういう意味では貴重な場所と言えるかもしれない。五、六歳前後の子どもたちにとっては魅力的な遊び場だろう。流れも浅いので親としてもそれほど心配は要らないと思える。
公園自体はそれほど規模が大きいわけでもなく、駐車場も無いが、近所に暮らす人たちにとって、特に子どもたちの遊び場としては充分な公園と言えるだろう。京王線の南大沢駅からも充分に歩ける距離なので、「多摩ニュータウン」に残された自然というものに興味のある人なら、松木日向緑地と合わせて「柳沢の池」を見学に訪れるのもよいかもしれない。公園の西側を南北に通る道路はカツラの並木で、秋には美しい紅葉に染まる。また公園の南側、大学との間を抜ける道路はヤマボウシの並木で、初夏には白い花を、秋には紅葉が楽しめる。公園北側の舗道を西に辿って行くと上柚木公園が近い。
【追記】
公園脇の交差点は当時はまだ「都立大学入口」という名だったが、後に「首都大学東京入口」と改められている。