座間市入谷東
座間谷戸山公園
Visited in August 2024

座間市入谷東一丁目に「座間谷戸山公園」という神奈川県立の公園がある。その名からもわかるように、昔ながらの谷戸と里山の姿をよくとどめて整備された、自然溢れる公園だ。公園として整備される以前から、周辺が市街化してゆく中でこの付近は昔ながらの里山の風景を残す場所だったようだ。1987年(昭和62年)から整備が始まり、1993年(平成5年)に一部が開園、全面開園となったのは2002年(平成14年)のことであるらしい。
公園の西側には小田急小田原線が間近に通り、南側と東側、北側は道路が抜け、それらによって周辺から切り取られるように公園が横たわっている。特に南側を通る藤沢座間厚木線(県道42号)と東側を通る緑ヶ丘大塚線は交通量も多く、さらに緑ヶ丘大塚線を挟んだ東側には座間市役所がある。周辺はすっかり住宅地で、その中に残る公園の自然はとても貴重なものと言っていい。
公園の西側には小田急小田原線が間近に通り、南側と東側、北側は道路が抜け、それらによって周辺から切り取られるように公園が横たわっている。特に南側を通る藤沢座間厚木線(県道42号)と東側を通る緑ヶ丘大塚線は交通量も多く、さらに緑ヶ丘大塚線を挟んだ東側には座間市役所がある。周辺はすっかり住宅地で、その中に残る公園の自然はとても貴重なものと言っていい。

「谷戸山憲章」として「園内のものは持ち出さない(生物・土・石)」、「園外のものは持ち込まない(ゴミ・犬のフン・外来生物)」、「多様な自然環境を生かした利用をする」、「市民参加(ボランティア)を促進する」といったことが謳われており、この公園の目的と意義を理解することができる。

パークセンターには公園の管理事務所が置かれ、研修などに使用できるレクチャールームを備えている。館内には公園内で見られる動植物の紹介やボランティアの活動紹介などが展示されており、公園の概要や園内マップなどを記したリーフレットも用意されているから、公園に訪れた際には立ち寄っておきたい。

「東入口」近くにはテニスコートがある。このテニスコートは座間谷戸山公園の施設ではなく、座間市立の「ひまわり公園テニスコート」であるようだが、それと意識することなく座間谷戸山公園に溶け込んでしまっている印象だ。

この広場もかつては畑地だったのに違いない。丘の上に木々に囲まれて横たわる広場の佇まいがとてもいい。公園として整備される以前の、ここがまだ里山の丘の上の畑地だった頃の佇まいをよく残している。小径の風情もいい。個人的にこうした「丘の上に広がる畑地」のような風景が好きなこともあって、この一角のことは特筆しておきたい。

散策路脇には古い時代のこの辺りの地図を記したパネルが設置されており、現在の様相との違いに興味は尽きない。地図にはさまざまな古来の地名が記されており、地図を眺めながら遠い昔の風景に思いを馳せるのも楽しい。

丘の頂上付近は端正に整備され、四阿も置かれている。公園のリーフレットによれば公園本来の植生を見ることができるということだが、丘の頂上付近にはなかなか美しい姿の樹木が多く立ち並び、爽やかな印象の景観を見せている。丘から南を見下ろせば公園中央部の谷戸で、水田と「里山体験館」が、まるで山間の農村のような佇まいでひっそりと横たわっている。

谷戸の最も西側部分が公園の「西入口」を兼ねており、長屋門が訪れる人を出迎えてくれる。小田急小田原線の座間駅から公園に訪れる人にとっては、この「西入口」がメインエントランスとしての役割を果たしてくれるだろう。長屋門をくぐって園内に入ると眼前に美しい谷戸の風景が広がる。緑濃い尾根に抱かれるように谷戸田が横たわっている。おそらく公園として整備される以前からこうして谷戸田があったのだろう。

「里山体験館」の縁側に腰掛け、眼前に横たわる水田と、その向こうの緑濃い丘を眺めていると、どこか山深いところの農家の庭先にいるかのような錯覚を覚える。そんな錯覚を楽しみながら風に吹かれて時を過ごすのは心安らぐひとときだ。

湿地を渡る木道ではザリガニ釣りをして遊ぶ子どもたちの姿を見ることがある。公園によれば、釣ったザリガニは持ち帰って欲しいとのことだ。湿地に棲息するザリガニはアメリカザリガニという外来種であり、あまりに数が増えれば日本古来の生態系に悪影響を及ぼしかねない。本来は公園内の動植物を採取してはいけないのだが、ザリガニはそうした理由から例外として採取、持ち帰りを勧めているというわけだ。子どもたちも心おきなくザリガニ釣りが楽しめるだろう。

池は「水鳥の池」と名付けられており、カモやカワセミといった野鳥の姿を見ることができるという。池と「湿性植物園」との間に木製の大きな観察デッキが設置されており、デッキに建てば眼前に池を一望できる。観察デッキから南側へと散策路を辿ると池の岸辺に野鳥観察小屋も設けられているから、野鳥観察の趣味に人にとっては見逃せないところだ。

「わきみずの谷」は谷戸の北側の最奧部で、その名からもわかるように湧き水があり、その湧き水を受けて谷戸全体が湿地になっている。ここにも大型の木製デッキが設置され、湿地の上を木道が辿っている。まさに谷戸の最も奥まったところという佇まいで、辺りはひっそりと静まり、周囲の木々も間近に迫り、谷には何やら秘やかな雰囲気が漂っている。デッキの隅に設けられたベンチに腰を下ろし、鳥の声と風にそよぐ木々の音に耳を傾けながらのんびりと時を過ごせば日常の喧噪をすっかり忘れてしまう。

「野鳥の原っぱ」からさらに南へ上ってゆくと「南入口」だ。入口付近は端正に整備されており、ベンチも置かれている。入口脇には草はらの広場があり、隅には四阿が置かれている。開放感のある広場だが、県道42号線(藤沢座間厚木線)がすぐ横を通っており、少々落ち着かないのが難点かもしれない。

園内の林の中には、北側には「クヌギ・コナラ観察林」、南西側には「シラカシ観察林」、南東側に「スギ・ヒノキ観察林」と名付けられた区域がある。散策路を巡ってそれぞれに異なる林の表情を見てみるのも楽しい。

公園のリーフレットには、「心温まるなつかしい風景と出会う」と謳われ、「里」と「山」と「水辺」の三つの風景から公園が成り立っている旨が記されている。田圃や「里山体験館」のある一角は昔ながらの農村の「里」の風景を彷彿とさせ、谷戸奧部の「湿性生態園」や「水鳥の池」、「わきみずの谷」ではさまざまな表情の水辺の風景が楽しめる。それを取り囲む雑木林の丘の鬱蒼とした様子も魅力的だ。
確かにその三つが座間谷戸山公園を構成する最も大きな要素であり、谷戸の見せる郷愁を誘うような風景はこの公園の象徴だと言っていい。昔懐かしい風景の中で散策を楽しみたい人、野鳥観察の趣味の人、雑木林散策の好きな人など、それぞれの人にとって魅力溢れる公園であることだろう。四季折々に訪ねて、季節毎の表情を見てみたい公園だ。
里山の自然を保全する目的の公園らしく、人工的な造形を感じる施設や広場などは周辺部などの一部に最小限にとどめられている。広々とした草はらの広場や遊具類もないから、子どもたちのための遊び場としては少し物足りなさもあるかもしれないが、しかし考えてみれば昔はこうした風景の中で子どもたちは遊んだものだったのだ。鬱蒼とした林の中の小径を抜け、谷間に沈む池を眺め、田圃の見せるのどかな風景の中を歩くのは子どもたちにとっても楽しいことに違いない。
確かにその三つが座間谷戸山公園を構成する最も大きな要素であり、谷戸の見せる郷愁を誘うような風景はこの公園の象徴だと言っていい。昔懐かしい風景の中で散策を楽しみたい人、野鳥観察の趣味の人、雑木林散策の好きな人など、それぞれの人にとって魅力溢れる公園であることだろう。四季折々に訪ねて、季節毎の表情を見てみたい公園だ。
里山の自然を保全する目的の公園らしく、人工的な造形を感じる施設や広場などは周辺部などの一部に最小限にとどめられている。広々とした草はらの広場や遊具類もないから、子どもたちのための遊び場としては少し物足りなさもあるかもしれないが、しかし考えてみれば昔はこうした風景の中で子どもたちは遊んだものだったのだ。鬱蒼とした林の中の小径を抜け、谷間に沈む池を眺め、田圃の見せるのどかな風景の中を歩くのは子どもたちにとっても楽しいことに違いない。

公園には「東入口」と「北入口」、さらに南東側の角の三箇所に駐車場が用意され、合計で140台分を超える駐車スペースがあるということだが、公園の規模を考えれば充分とは言えないかもしれない。電車でのアクセスであれば、小田急小田原線座間駅から「西入口」を目指すのが至近だが、小田急小田原線相武台前駅から「東入口」を目指しても歩けない距離ではない。JR相模線相武台下駅からはさすがに少しばかり距離があるが、周辺の散策も兼ねて訪ねてみるのも悪くない。
園内には飲食のできる施設などはなく、お昼時に訪ねるのであればお弁当持参がお薦めだ。トイレは「東入口」、「北入口」、「里山体験館」横、「南入口」、「「多目的広場」横にそれぞれ設置されており、困ることはない。その他、パークセンターの電話番号や各施設の利用案内などは、座間谷戸山公園の公式サイトなど(頁末「関連する他のWebサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
園内には飲食のできる施設などはなく、お昼時に訪ねるのであればお弁当持参がお薦めだ。トイレは「東入口」、「北入口」、「里山体験館」横、「南入口」、「「多目的広場」横にそれぞれ設置されており、困ることはない。その他、パークセンターの電話番号や各施設の利用案内などは、座間谷戸山公園の公式サイトなど(頁末「関連する他のWebサイト」欄のリンク先)を参照されたい。




