横浜市神奈川区東神奈川〜白楽
東神奈川から白楽へ
Visited in October 2003
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
すっかり秋めいて涼しくなった十月の半ば、横浜市神奈川区を歩いた。特に目的とするルートがあったわけではないのだが、東神奈川駅から寄り道をしながら北へ向かって東急東横線の白楽駅あたりを目指そうと思ったのだった。
反町公園の南東側を抜ける大きな道路は国道1号で、その向こうを東海道本線や京浜東北線などのJRの線路が併走するように抜けている。公園横の神奈川スケートリンクがあるところが「二ツ谷」交差点で、交差点から南へは線路をくぐって滝の川に沿うように道路が延びて国道15号へ繋いでいる。このあたりはかつては東海道の神奈川宿として栄えたところで、随所に神奈川宿の名残を伝える史跡や、明治の開港期に諸外国の領事館となった寺などが残っており、それらを繋いで「神奈川宿歴史の道」という散策コースが設定されている。
「二ツ谷」交差点から北へ辿る道路は歩道部分に植栽などを設けて遊歩道のように整備されている。それを辿ってゆくと、遊歩道はやがて道路の中央を辿るようになる。この遊歩道はおそらく滝の川の上流にあたる部分を暗渠として、その上に造られたものなのだろう。そのまま北へ歩いてゆくと交差点に橋の欄干があった。「三字橋」という名もある。この遊歩道がかつては川であったことの名残だろう。市街地の中を抜ける小さな川は水質の悪化などの対策から暗渠にして、その上を遊歩道として整備する例が少なくないが、ここもそうしたものに違いない。
その遊歩道をさらに辿ってゆくと、遊歩道の中に水路が現れた。下流側から辿っているので、現れたのは水路の終点部分だ。上流側から流れてきた水が渦巻き状に造られた水路に導かれ、中央の穴に流れ込んでいる。水路を遡るように遊歩道を北へ向かう。水路の水は神奈川下水処理場で高度処理したものであるらしい。「飲まないこと、水浴びをしないこと」という注意書きがあるが、夏には子どもたちの水遊びの場所となるのではないだろうか。水路と舗道は緩やかな曲線で互いに左右を入れ違いながら伸びている。舗道脇には植栽が施され、市街地の中の小さな緑道といった趣だ。
やがて水路の上流端にあたる水の噴出口があり、それを過ぎるとすぐに大きな道路へ出る。地図で確認するとこの道路も国道1号だ。西進してきた国道1号は「立町」交差点で二本に分岐し、北側はここから三ツ沢方面を抜けて横浜新道へと至っている。南側はさきほどの「二ツ谷」交差点から青木橋を経由して横浜中心部へ至っている。
その遊歩道をさらに辿ってゆくと、遊歩道の中に水路が現れた。下流側から辿っているので、現れたのは水路の終点部分だ。上流側から流れてきた水が渦巻き状に造られた水路に導かれ、中央の穴に流れ込んでいる。水路を遡るように遊歩道を北へ向かう。水路の水は神奈川下水処理場で高度処理したものであるらしい。「飲まないこと、水浴びをしないこと」という注意書きがあるが、夏には子どもたちの水遊びの場所となるのではないだろうか。水路と舗道は緩やかな曲線で互いに左右を入れ違いながら伸びている。舗道脇には植栽が施され、市街地の中の小さな緑道といった趣だ。
やがて水路の上流端にあたる水の噴出口があり、それを過ぎるとすぐに大きな道路へ出る。地図で確認するとこの道路も国道1号だ。西進してきた国道1号は「立町」交差点で二本に分岐し、北側はここから三ツ沢方面を抜けて横浜新道へと至っている。南側はさきほどの「二ツ谷」交差点から青木橋を経由して横浜中心部へ至っている。
国道1号を渡ると、遊歩道はわずかに続いてすぐに終わってしまう。二ツ谷公園の横に差し掛かるが、このときにはちょうど何やら工事中だったのでそのまま通り過ぎることにした。このあたりでは東急東横線の線路が左手に間近に迫っている。工事はその高架に関連したものであるのかもしれない。線路を横に見ながら、逓信病院の横手を抜けて進むとやがて「横浜上麻生道路」に出た。歩道から北に目を向けると道路を跨ぐように東白楽駅があるのが見える。
道路向こうに「孝道山」を示す銘板が経っている。孝道教団というのは仏教の日蓮宗系の流れを汲む新宗教であるらしい。「孝道山」はこのあたりでは高所にあたり、周囲への眺望もよく、春は桜が見事だというので、「孝道山とその周辺」として「神奈川区ビューポイント36景」のひとつになっている。丘の上からはみなとみらい地区の高層ビル群が間近に見える。周辺は緑濃く、鳥の声も聞こえてのんびりとしている。丘の上には仏舎利塔が建っている。この仏舎利塔は東神奈川駅からも見えるらしい。これまでは意識して見たことがなかったから気づかなかったが、次に東神奈川駅に降りる機会があったら探してみたい。
原っぱの北側の斜面は畑地になっている。このあたりはすっかり住宅街になってしまっているが、まだこうして畑地が残っているのかと少しばかり驚いたのだが、どうやら個人の畑地ではないようだ。「白幡の森の畑」の名があり、横浜市緑政局と「白幡緑の会」の名があった。地元の有志によって保全、管理、耕作などが行われているのだろう。
「白幡の森」あるいは「白幡西町の森」は、その名が示すように白幡西町に位置している。この付近から北東の方角にかけて「白幡」の名を冠する町名が並ぶ。「白幡町」、「白幡上町」、「白幡向町」、「白幡仲町」、「白幡東町」、「白幡南町」、「白幡西町」の七つがある(2003年10月現在)。これらはいずれももともとは白幡町だったものだが、1943年(昭和18年)に分離して新設された町であるという。古くは武蔵国橘樹郡白幡村だった土地で、1927年(昭和2年)に横浜市に編入となったとき、当時の「橘樹郡大綱村大字白幡」という地名の字名を町名にしたものという。「白幡」という名の由来についてはさまざまに伝えられているようで、それらの伝承を紐解いてみるのも楽しい。
畑地の横を抜けて北へ降りると白幡西町の住宅街だ。建ち並ぶ住宅の中を路地のような道路が縦横に抜けている。その中を東へ辿る。商店の横を抜け、白幡南町との境にあたる道を北へ折れた。地図によれば、この道をそのまままっすぐに北へ辿れば白幡仲町の八幡神社へと至っているはずだ。
やがて白幡仲町との境の道路に出た。この道路は少し広い。それを渡ってさらに延長方向にすすめば八幡神社のはずだが、目の前は急斜面だ。その急斜面に住宅が建ち並んでいて、坂道が登っている。急坂を息を切らしながら登った。坂の両脇には住宅が並んでいるが、どれも比較的新しい建物のように見える。家々にはそれぞれ車が停められているが、この急坂では車の出入りにも気を遣うのではないかと、そんなことを思いながら坂を登った。
坂を上り詰めると丘の上を辿る道路に出て、目の前に八幡神社がある。かつて古い時代には神社の周囲は雑木林で、その中を急勾配の参道が辿っていたのではないかと思うが、今はすっかり住宅街になってしまった。それでも神社の周囲には緑が残り、境内は静謐な空気を残している。神社の創建はよくわかっていないようだが、源義家が奥州征討の際に立ち寄り、戦勝を祈願した土地であると境内の御由緒に記されている。境内には樹齢350年のケヤキや樹齢160年のクスノキがあり、堂々とした姿を誇っている。この八幡神社も「神奈川区ビューポイント36景」のひとつだ。
やがて白幡仲町との境の道路に出た。この道路は少し広い。それを渡ってさらに延長方向にすすめば八幡神社のはずだが、目の前は急斜面だ。その急斜面に住宅が建ち並んでいて、坂道が登っている。急坂を息を切らしながら登った。坂の両脇には住宅が並んでいるが、どれも比較的新しい建物のように見える。家々にはそれぞれ車が停められているが、この急坂では車の出入りにも気を遣うのではないかと、そんなことを思いながら坂を登った。
やがて丘の西端部分に差し掛かり、交差点から坂道が下っている。勘を働かせて道を選び、坂を下りた。下りるとバス通りで、少し北へ進むと「白楽」のバス停があった。「白楽」バス停から少し北へ行くとバス通りは東へ折れるが、道はそのまま北へ辿ることができる。左手、西側には家々の向こうに東急線の線路が見えている。
少し歩くと、白楽駅西側の踏切に着いた。駅の南側は丘になった住宅街だが、踏切を渡って駅の北側へ出ると賑やかな商店街になった。この駅前の道路は西南側へ延びて六角橋商店街を成している。六角橋商店街もいずれ機会を設けてのんびりと歩いてみたいが、今回はここから眺めるだけにしておく。
このまま白楽駅から帰路を辿ってもよいのだが、時間に余裕があったので少し足を延ばして白幡池公園と篠原園地に立ち寄ってみた。白楽駅前から北へ住宅街の中に入り込んでゆくと白幡池公園がある。その名が示すように池を抱えた公園で、池で釣りを楽しむ人や池のほとりでのんびりとくつろぐ人の姿などがある。白幡池公園もまた「神奈川区ビューポイント36景」に名を連ねている。白幡池公園の西側に隣接して篠原園地がある。篠原園地は県立の公園で、それほど広くはないが住宅街の中に残る林の佇まいがいい。この辺りは区境が入り組んでいて、白幡池公園は神奈川区白幡町に位置しているが、港北区にくい込むような形で張り出し、篠原園地はすでに港北区篠原台町になる。
このまま白楽駅から帰路を辿ってもよいのだが、時間に余裕があったので少し足を延ばして白幡池公園と篠原園地に立ち寄ってみた。白楽駅前から北へ住宅街の中に入り込んでゆくと白幡池公園がある。その名が示すように池を抱えた公園で、池で釣りを楽しむ人や池のほとりでのんびりとくつろぐ人の姿などがある。白幡池公園もまた「神奈川区ビューポイント36景」に名を連ねている。白幡池公園の西側に隣接して篠原園地がある。篠原園地は県立の公園で、それほど広くはないが住宅街の中に残る林の佇まいがいい。この辺りは区境が入り組んでいて、白幡池公園は神奈川区白幡町に位置しているが、港北区にくい込むような形で張り出し、篠原園地はすでに港北区篠原台町になる。
歩き終わってみると予期せず「神奈川区ビューポイント36景」巡りとでもいうような散策になってしまった。基本的に市街地や住宅街の中を歩くコースだったが、その中に残る緑や史跡、丘の上からの眺望などを楽しみながらの散策はなかなか充実したものだったように思う。今回は立ち寄らなかったが、近辺の「神奈川区ビューポイント36景」としては「神奈川図書館と周辺」、「六角橋商店街」などがある。また機会を設けて「神奈川区ビューポイント36景巡り」をしてみたい。
【追記】
1990年(平成2年)に選定された「神奈川区ビューポイント36景」は、2006年(平成18年)4月、「わが町かながわ50選」にリニューアル、さらに2009年(平成21年)、横浜開港150周年に合わせて「わが町 かながわ とっておき」にリニューアルされている。【追記】
「神奈川スケートリンク」は1951年(昭和26年)に開業し、60年間に渡って親しまれてきたが、老朽化のために2014年(平成26年)に休館し、建て替えられた。新スケートリンクは横浜銀行が命名権を取得、「横浜銀行アイスアリーナ」として2015年(平成27年)12月にオープンした。