多摩市落合〜豊ヶ丘
紅葉の上之根大通り
Visited in October 2021
秋も深まってきた十月下旬、多摩センターへ出かけた。「上之根大通り」のモミジバフウがそろそろ紅葉に染まって見頃を迎えているのではないかと思ったのだ。多摩センターから落合の街を抜けて「上之根大通り」へ向かい、紅葉を楽しみながら通りを歩いてみたい。
ハロウィンは毎年10月31日に行われる行事で、そもそもは古代アイルランドのケルト人の宗教行事が起源だと考えられている。やがて各地の風習などと結びついて発展し、ヨーロッパから移民と共にアメリカへ波及、現代では特にアメリカの民間行事として定着し、宗教的意味合いは薄れている。それが日本にももたらされ、すっかり一般化したというわけだ。
落合白山神社がいつ頃創建されたのかは、実はよくわかっていないらしい。1600年代の初めに加賀一ノ宮の白山神社を勧請したことはわかっているというのだが、神社に伝わる神像は平安、鎌倉の時代に造られたものだというから、なかなか歴史の古い神社である。多摩ニュータウンの開発と共に境内地も強制買収提供となり、旧社殿は解体、現在の社殿は1983年(昭和58年)に現在地に遷座して造営されたものである。
「多摩青木葉」交差点から「青木葉通り」を東へ進めば200mほどで「上之根大通り」だが、敢えてそちらへ進まず、南へ、落合3丁目の街へ続く舗道へ向かおう。少し高台となった落合3丁目の街へ、石段を登って舗道が続いている。
歩きながら空を見上げれば澄んだ秋空が広がっている。舗道を進んで行くと、「多摩青木葉」交差点から300mほどで落合第一公園に着く。落合第一公園を通り抜けて「落合南公園通り」へと出て、東へ進めば「上之根大通り」に出る。
「上之根大通り」は北側の一部を除いてほぼ全てがモミジバフウの並木になっている。秋になれば見事に紅葉し、「上之根大通り」を秋色に染め上げる。その景観はたいへんに美しく、多摩市の紅葉名所のひとつにも数えられている。
モミジバフウはフウ科フウ属の落葉高木、北アメリカ中南部が原産で、日本には大正時代に渡来したようである。モミジバフウは漢字で表記すれば「紅葉葉楓」、葉の形がモミジ(紅葉)に似ていることからモミジバフウ(紅葉葉楓)の名があるのだと思うが、イロハモミジなどの、いわゆる“モミジ”はムクロジ科カエデ属の樹木で、科も属も異なる樹木だ。「楓」の字は日本では一般に「カエデ」と読むので混乱を招きやすいが、本来「楓」は「フウ」と読み、フウ属の樹木を差す。
「上之根大通り」を北へ向かえば紅葉のモミジバフウが陽光を受けて輝き、立ち止まって振り返れば逆光の中に紅葉の並木が浮かぶ。どちらの景観も素晴らしい。「上之根大通り」は緩やかなカーブを描いているから、並木も優雅な曲線を描き、風趣に富んだ景観を楽しむことができる。
歩道橋の上から「上之根大通り」を見下ろす。ここから南へ、「上之根大通り」のモミジバフウ並木が続いている。紅葉した並木は緩やかに曲がって延びる通りに沿って視界の向こうに続いている。美しい秋景色である。
「きたとよ橋」からの眺めを堪能したら、そろそろ多摩センター方面へと戻り、今回の散策も終わりにしたい。
今回は「上之根大通り」の北側半分ほどを歩いた形だが、モミジバフウ並木の紅葉を充分に堪能できた。もちろん並木は南側にも続き、見事な紅葉を楽しむことができる。時間と体力に余裕があれば、「上之根大通り」の南側に足を延ばしてみるのもお勧めだ。「上之根大通り」のモミジバフウ並木、多摩市の紅葉名所に相応しい、素晴らしい景観である。