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多摩市豊ヶ丘〜落合
秋の豊ヶ丘6丁目から落合4丁目
Visited in October 2020
秋の豊ヶ丘6丁目から落合4丁目
すっきりとした晴天に恵まれた十月末、多摩ニュータウンに出かけた。一本杉公園から散策の足を延ばして豊ヶ丘と落合の南部を巡ってみたい。十月も末のことで街の木々のすっかり秋の色の染まり始めている。素敵な秋景色を見つけることができるかもしれない。
一本杉公園
今回の散策の拠点は一本杉公園だ。園内に移築された旧加藤家住宅と旧有山家住宅を少し見学しながら、園内を辿っていこう。園内の木々もすっかり秋の色だ。低い日射しを浴びて輝く景色がたいへんに美しい。

一本杉公園は「多摩よこやまの道」の一部を兼ねている。この日も「多摩よこやまの道」を辿ってのウォーキングを楽しんでいるらしい人たちの姿があった。

小野路第2公園
右手に恵泉女学園大学のキャンパスを見ながら公園の外へ出る。一本杉公園通りだ。ちょうど丁字路を成している。一本杉公園通りを横切り、南野の住宅街の中を進んでいこう。

200mほど進むと道は左に折れる。その角に「小野路第2公園」という公園がある。面積は800平方メートルに満たない、小さな公園だ。園内の木々が紅葉に染まって美しい景観を見せてくれていた。

南野スカイブリッジ
「小野路第2公園」のすぐ北側を多摩南尾根幹線道路(以下、「尾根幹線」)が通っている。公園から尾根幹線側に出ると、すぐ東側で尾根幹線を跨ぐ人道橋へ舗道が延びている。人道橋は「南野スカイブリッジ」という名がある。

「南野スカイブリッジ」はPC3径間連続中空床版橋という構造の橋で、橋長71.3m、1978年(昭和53年)に架けられたものだ。シンプルな形状だが、横から見ると美しい弧を描く橋である。

南野スカイブリッジの下がちょうどバス停になっているため、ときおり路線バスが停車する。南野スカイブリッジとバスとの組み合わせもなかなか素敵な光景だ。

南野スカイブリッジから一本杉橋を見る
南野スカイブリッジを渡っていこう。橋の上は視界が開けて爽快な気分だ。西へ視線を向ければ300mほど西で尾根幹線を跨ぐ一本杉橋の姿がよく見える。一本杉橋は左右非対称の斜張橋で、多摩ニュータウン内の橋の中でも屈指の美しさを誇る橋である。

橋の姿というものは、近くからだとなかなかうまく全景を見ることができないものだが、ここからなら一本杉橋の姿をほぼ真横から見ることができる。その美しい姿を最も堪能できるスポットが、この南野スカイブリッジかもしれない。
南野スカイブリッジを渡る
南野スカイブリッジを渡った北側は豊ヶ丘六丁目の町だ。南野スカイブリッジからそのまま「豊ヶ丘スクールロード」という名の緑道へと繋がって延びている。実はこの「豊ヶ丘スクールロード」の南端が小野路第2公園である。

豊ヶ丘六丁目
豊ヶ丘スクールロードを辿っていこう。豊ヶ丘第七公園の横を過ぎ、豊ヶ丘六丁目の団地の中を辿っていく。日射しを浴びた団地の建物が良い風情だ。特に“団地マニア”の自覚はないが、団地の建物や団地の佇まいには心惹かれるものがあって、いろいろと写真を撮りたくなってしまう。

団地の風景を楽しみながら豊ヶ丘スクールロードを北へ辿っていこう。わずかに右手に折れてさらに進んで人道橋を渡る。人道橋を渡った先は豊ヶ丘四丁目の町だ。人道橋を渡りきるとすぐに左手に折れて豊ヶ丘中通りを跨ぐ人道橋がある。ここで豊ヶ丘スクールロードを離れて左へ折れていこう。豊ヶ丘中通りの西側は豊ヶ丘五丁目だ。

豊ヶ丘五丁目
人道橋を渡って豊ヶ丘中通りを越えると、右手に公園がある。豊ヶ丘第6公園だ。豊ヶ丘第六公園は広場を中心にした公園で、広場を木々が囲んでいる。舗道沿いに立つケヤキが秋の色に染まっている。

豊ヶ丘第六公園を過ぎてさらに進むと、別の舗道に合流する。この舗道には「なかよしこみち」の名がある。「なかよしこみち」は落合四丁目から貝取四丁目を繋いで東西に延びている。「なかよしこみち」を西へ辿っていこう。舗道沿いには木々が植栽されて緑濃く、団地の建物の間にも小さな公園スペースが設けられていたりする。団地の風情を楽しみながらのんびりと歩こう。
豊ヶ丘五丁目
「なかよしこみち」を辿っていくと、やがて上之根大通りを「ふんすい橋」という人道橋で越える。「ふんすい橋」は構造や意匠に特徴のある橋ではない。もちろん橋の上に噴水があるわけではなく、すぐ北東側に横たわる豊ヶ丘南公園の池に噴水が設けられていることからの命名らしい。豊ヶ丘南公園も近いが、立ち寄るのはまた次の機会にしよう。

上之根大通りのモミジバフウ並木
「ふんすい橋」を渡ろう。下を通る上之根大通りはモミジバフウの並木で、訪れたとき(10月末)がまさに紅葉の盛りだった。

モミジバフウは北米・中南米が原産のフウ科フウ属の落葉高木で、アメリカフウとも呼ばれる。フウは「楓」と書くがカエデの仲間ではない。モミジバフウの葉がカエデの葉に形状が似ているので、「紅葉(もみじ)葉楓」の名がある。秋にはカエデの仲間やイチョウなどより早く紅葉し、その景観はたいへんに美しい。

上之根大通りのモミジバフウ並木
上之根大通りのモミジバフウ並木は見事なもので、多摩市の紅葉名所の一つに名を連ねている。「ふんすい橋」の上から北へ視線を向ければモミジバフウが陽光を照り返し、南を見れば逆光の中で透過光に輝く。どちらの光景も素晴らしい。

「ふんすい橋」の袂から上之根大通りの歩道へ降りることができる。歩道から見るモミジバフウ並木も楽しんでおこう。視点の高さが変わるだけで並木の表情は大きく変わって飽きない。このまま上之根大通りに沿って歩いていきたい気もするが、それもまた次の機会に楽しむことにしよう。
モミジバフウの実
「なかよしこみち」に戻って、さらに西へ進もう。上之根大通りの西側は落合四丁目の町だ。「ふんすい橋」から100mほどで「なかよしこみち」は「落合東遊歩道」に合流する。ここが「なかよしこみち」の落合側の端点だろう。「落合東遊歩道」はその名が示すように落合の東側を南北に抜ける遊歩道だ。落合東遊歩道を南へ向かおう。

落合東遊歩道から落合第三公園を見る
「なかよしこみち」から落合東遊歩道に折れてすぐ、落合東遊歩道の右手(西側)に落合第三公園がある。ここも広場を中心に構成された、小さな街区公園だ。園内を歩いていると、近くから木を叩くような音が聞こえてきた。眼を向けてみるとコゲラの姿があった。

落合第三公園を過ぎてさらに落合東遊歩道を南へ辿る。遊歩道の両脇には落合団地の風景が広がる。秋の青空の下、団地の興趣が良い風情だ。

落合四丁目
落合第四歩道橋で落合南通りを越えると、左手(東側)に落合第四公園がある。緩やかな斜面となった地形を活かして設けられた公園で、広場の中に滑り台やブランコなどの遊具類が配されている。園内には木立が多く、秋色の木漏れ日が広場に落ちている。

落合第四公園からさらに落合東遊歩道を南へ辿ろう。遊歩道脇の団地内にも小さな公園スペースが設けられ、ブランコやスプリング遊具などが置かれている。その光景がなかなか素敵だ。
スプリング遊具
落合第四歩道橋から300mほどで一本杉橋だ。南野スカイブリッジから眺めた一本杉橋に、豊ヶ丘六丁目と落合四丁目の町を一巡りして回ってきたわけだ。

一本杉橋
一本杉橋はPC2径間非対称斜張橋、1981年(昭和56年)に架けられたものだ。84.9mの橋長で尾根幹線を一跨ぎにする。多摩市に2基ある斜張橋のうちのひとつで、非対称となった斜材が特徴的な姿を見せる。

落合四丁目側から一本杉橋を渡れば、秋の午後の日射しが逆光となって支柱や斜材がシルエットで見える。その風景も美しい。一本杉橋を渡った先は一本杉公園だ。園内の木々が橋の向こうにこんもりと見えている。

一本杉橋
一本杉橋を渡って一本杉公園側から振り返ると、今度は秋の日差しを浴びて橋の支柱が秋空に浮かび上がる。爽快でダイナミックな景観だ。

一本杉公園側の橋の袂から尾根幹線の歩道へと降りることができる。せっかくだから尾根幹線の歩道から見上げる一本杉橋の姿も楽しんでおきたい。

一本杉橋の支柱は落合側に建っている。落合側の歩道へは少し離れた交差点へ回らなくてはならないが、支柱の真下近くから見上げる景観もぜひ見ておきたい。いろいろな角度から眺めて楽しみたいと思わせてくれる、美しい斜張橋である。

一本杉橋の景観を堪能したら一本杉公園へ戻って、今回の散策も終わることにしたい。
一本杉橋
今回は一本杉公園から豊ヶ丘六丁目を経て落合四丁目へと、緑道を辿って一巡りした形だ。緑道沿いの団地の風景や一本杉橋の美しい姿を時間をかけてじっくりと楽しむことができた。上之根大通りのモミジバフウ並木の紅葉も素晴らしかった。楽しい散策だった。
秋の豊ヶ丘6丁目から落合4丁目
秋の豊ヶ丘6丁目から落合4丁目
秋の豊ヶ丘6丁目から落合4丁目