相模原市南区下溝
原当麻駅から麻溝公園へ
Visited in January 2013
正月気分もようやく抜けた一月半ば、機会があって相模原市南区の下溝地区を歩いた。JR相模線原当麻駅から東へ向かって
相模原麻溝公園の辺りまで、冬枯れの風景を楽しみつつ辿ってみよう。
JR相模線原当麻駅に降りた。駅は相模原市南区当麻の東端近くに位置しており、駅前ロータリーから東へ辿ればすぐに下溝地区になる。原当麻駅も昔は小さな駅だったのだが、1991年(平成3年)に現在のような橋上駅舎に改築され、東口には整然としたバスロータリーが設けられている。駅の階段を下りたところには
相模原麻溝公園や
県立相模原公園への距離を示した案内板が設置されている。原当麻駅はそれらの公園への最寄り駅としても機能しているのだ。相模原麻溝公園までは1.6km、のんびりと歩いて30分ほどか。充分に徒歩圏内だろう。相模原麻溝公園も県立相模原公園も大きな駐車場が設置されており、車で来園する人が多いが、今回は相模線を利用して駅から公園までを歩いてみよう。
駅前ロータリーから東へ真っ直ぐに道路が延びている。すぐに鳩川を越え、スーパーの横を抜けると「新中丸橋」交差点だ。この交差点を右に曲がって県道52号線へ出るのが麻溝公園へ向かうルートとしてはわかりやすいが、今回は交差点を直進してみよう。交差点を過ぎて、今度は姥川を越える。鳩川も姥川も護岸工事が施されて巨大な溝のような様相だ。姥川を越えると住宅やアパートが点在する中に畑地も多く残っている。真っ直ぐに進んでゆくと丁字路にぶつかった。これを右に曲がろう。少し狭い道だが車の通行も少なくない。“抜け道”に使う人もいるのだろう。
丁字路から200メートルほどで県道52号線へ出た。角にはコンビニエンスストアが建っている。県道52号線を東へ向かおう。すぐに「下原」交差点、それを過ぎて進めば「フィッシングパーク下」交差点だ。「フィッシングパーク下」交差点から北へ辿ったところは
八重桜の並木になっており、四月の中旬には美しい景観を見せてくれる。もちろん今は冬枯れの風景だろう。「フィッシングパーク下」という交差点名は、かつて交差点の北東側に「神奈川フィッシングパーク」があったことに由来しているが、1998年(平成10年)に閉鎖され、現在はその一部が県立相模原公園の管理下で公園として使われている。
「フィッシングパーク下」交差点からさらに東へ進もう。道保川を越え、道は緩やかに左に曲がりながら河岸段丘の斜面を上ってゆく。その左側に「神奈川フィッシングパーク」跡地の公園がある。フィッシングパーク跡地の公園の入口を過ぎた辺りで、県道52号線は横浜水道道緑道と交差する。横浜水道道緑道は、ここから東へは県立相模原公園の南側の外縁部に沿い、女子美術大学の敷地内を抜けて麻溝公園へ至っている。緑道は崖を刻んで坂道となって上ってゆく。道脇には土の崖面が剥き出しになっていて野趣に富んでいるが、緑道そのものは舗装されていて歩きやすい。
緩やかに曲がりながら坂となった緑道を登ると左手は
県立相模原公園の菖蒲園だ。
菖蒲園は「水無月園」と名付けられており、花期には美しい景観になるが、今は殺風景な姿だ。この「水無月園」の脇に、横浜水道道緑道とは別の小径が辿っている。少し寄り道をして、この小径を引き返すように西へ戻ってみよう。小径は昔ながらの山道のような様相で、県道52号線近くまで辿ってゆくと小径脇に小さな神社が鎮座している。「山神神社」という名の神社のようだ。昔は西側の道保川、姥川、鳩川の河畔の地域に暮らす人々から見ればこの辺りは「山」だったわけで、そこへ「山の神」を祀ったのだろうか。小径が県道52号線に出る辺り、「山の神坂」と記した地名標柱が建てられていた。
山神神社を後にして、再び横浜水道道緑道へ戻ろう。「水無月園」の脇を過ぎると道路を横切り、その東側は女子美術大学のキャンパスだ。緑道の右手(南側)には校舎が、左手(北側)にはグラウンドが置かれている。緑道は散歩道として整備され、「水道みち緑道」と記した名標が設置されている。緑道脇には「水道みち「トロッコ」の歴史」と題した解説板も設けられている。1887年(明治20年)、津久井郡三井村(現在の相模原市緑区津久井町)から横浜村の野毛山浄水場(現在の横浜市西区、
野毛山公園内にあった)まで近代水道が創設された。当時、資材や機材を運ぶために軌道を敷き、トロッコを使って水道管を敷設したが、その跡が現在の「横浜水道道緑道」である旨のことが記されている。「横浜水道」と題して、その歴史などを記した解説板も設置されているから、そうしたものを見ながら横浜の水道の歴史の一端に触れてみるのもいい。
女子美術大学横を通り抜けると道路の向こうに
相模原麻溝公園が広がっている。真冬の寒い日だったが、良いお天気に恵まれたからか、公園内は多くの家族連れで賑わっている。青空の下、「グリーンタワー」の展望台からの眺めも爽快だ。麻溝公園内を一巡りし、隣接する県立相模原公園にも足を延ばそう。ふたつの公園をのんびりと巡ってから、帰路を辿ることにしよう。ここからまた原当麻駅へ戻ってもよいが、女子美術大学横のバス停から古淵駅行きのバスに乗るのも楽しそうだ。
相模原麻溝公園も
県立相模原公園も広い駐車場が設けられていることもあり、車で来園することが多いが、こうして駅から歩いてみるのもなかなか楽しい。「横浜水道道緑道」は、今回のそのほんの一部を歩いただけだが、いずれ機会を見つけてその全線を歩いてみたいものだ。