信松院は八王子市台町三丁目の北端部、「南大通り」と「松姫通り」との交差点の南西側の角に建っている。信松院の北側を東西に通る「南大通り」沿い、信松院の境内地と道路向かいの駐車場に河津桜が植えられており、春には美しい景観を見せてくれる。

この河津桜は2005年（平成17年）頃に苗木が植えられたものらしいが、今では立派に育ってすっかり地元の春の風物詩として知られるようになった。

河津桜は「南大通り」に向いた山門塀の内側と、道路向かいに設けられた駐車場の道路沿いの塀の内側、通りの両側に並んでいる。これは道行く人たちに河津桜を楽しんでもらいたいとの配慮だろうか。

河津桜のピンク色に彩られた街路の風景はよく目立つ。車で通りかかってもその美しさを充分に楽しめるが、やはり歩道を歩いて楽しむのがお勧めだ。花の盛りの時期になると、通りかかって歩みを止めて花を眺めたり、カメラを構えたりする人の姿を見かける。中にはわざわざ足を運んだらしい人の姿もある。

「南大通り」はほぼ東西に延びているから、北側の駐車場の河津桜は順光を浴びて輝き、南側の境内地の河津桜は逆光の中に霞むように陽光を弾く。それぞれに美しく、時を忘れて眺めていたくなる。少し離れて眺めれば“河津桜の咲く街路”の風景が美しく、桜の真下に立てば春の青空を背景にした河津桜が素晴らしい。

河津桜は「南大通り」の両側にそれぞれ数本ずつが並ぶ。数という点では少し物足りないが、河津桜の美しさは充分に味わうことができる。河津桜はこの辺りでは例年二月下旬から三月上旬に見頃を迎える。近くの人は足を運んでみるといい。

河津桜の咲く季節に信松院を訪れたなら、境内地の梅も見ておきたい。信松院には紅白の枝垂れ梅が植えられており、早春には優美な姿で境内地を彩る。

梅もそれほど多くはなく、数えるほどしかないが、それぞれが美しい樹形で見事な姿だ。おそらく丁寧に選定がなされているのだろう。あれこれと構図を考えてカメラを構えるのも楽しいひとときだ。境内地も端正に整備されていて気持ちのいい時間が過ごせる。