八王子市高月町
初夏の高月町
Visited in June 2018
八王子市の北端部に位置する高月町には広大な水田地帯がある。東京都内最大級の規模だという。車で通りかかる度に、いつか機会を設けて歩いてみたいと思っていた。田植えの終わった6月末、ようやく機会を設けて高月町を訪ねた。多摩川河畔に広がる田園風景の中をのんびりと歩いてみたい。
高月町の南側半分ほどには加住丘陵が横たわっており、その東端部の辺りは滝山城跡である。滝山城は1500年代に北条氏照が築城した平山城で、1569年(永禄12年)、小田原攻略へ向かう甲斐の武田信玄に攻められ、合戦の舞台になったことはよく知られている。いわゆる「滝山合戦」である。滝山城跡は現在では東京都立滝山公園として整備され、自然溢れる城跡公園として都民、市民に親しまれている。
水田ではもちろん稲作が行われ、収穫された米は「道の駅八王子滝山」の地元物産販売コーナーで販売され、ごくわずかな量が一般に流通している。
また、近年、八王子市では11月頃に「八王子産米を食べる日」を設定し、高月町などで収穫された米を市内の保育園や幼稚園、学校などの給食に有償で提供、地産地消の取り組みと共に市内の稲作への理解や生産者への感謝の気持ちを育むといった学びの機会としている。
田植えが終わって水田地帯の中には農作業の人の姿はない。長閑な田園風景を求めてか、農道の中にときおり散策を楽しむ人の姿があるくらいだ。梅雨の晴れ間の青空の下、広々とした田園風景を歩くのは心安らぐひとときだ。
水田地帯の中にはところどころにぽつりぽつりと木立があり、その姿は単調になりがちな水田の風景にアクセントを添える。北側から南側を眺めれば水田の向こうには加住丘陵が借景のように横たわり、水田の美しさをさらに引き立てる。
農道を辿って気の向くままに歩いて行けば、水田地帯の風景は場所によってさまざまな表情を見せて飽きることがない。田園散歩の好きな人なら充分に満足できる、と言うより、ぜひ一度は足を運ぶべき風景と言っていい。
多摩川と秋川の合流点近く、「河川管理境界」の標識が立てられている。下流側、すなわち多摩川側は国土交通省京浜河川事務所多摩川上流出張所、上流側、すなわち秋川側は東京都南多摩西部建設事務所の管轄だそうである。
集落の南、加住丘陵の一部が北に張り出した地形となっているところは高月城の城跡である。高月城は長禄年間(1457〜1460年)に武蔵国守護代の大石氏が築城したと言われる。1500年代になって大石定重が滝山城を築いて移るまで、大石氏は高月城に居住したという。現在も土塁や空堀が残っている。余裕があれば足を延ばしてみるのもいい。
梅雨の晴れ間の6月末、高月町の水田地帯には美しい風景が広がっていた。期待を裏切らない素晴らしさで、素敵な田園散歩のひとときを過ごすことができた。高月町の水田地帯は初秋には鮮やかな彼岸花に彩られる。ぜひその季節に再訪したい。
高月町は観光名所というわけではないため、観光用駐車場などは用意されておらず、また市街地でもないため、コインパーキングなどもない。訪れるにはバスを利用しなくてはならない。八王子駅から西東京バスの拝島駅行きなどの路線を利用し、「滝」バス停や「高月」バス停、「東秋川橋」バス停などを利用するといい。
高月町は観光名所というわけではないため、観光用駐車場などは用意されておらず、また市街地でもないため、コインパーキングなどもない。訪れるにはバスを利用しなくてはならない。八王子駅から西東京バスの拝島駅行きなどの路線を利用し、「滝」バス停や「高月」バス停、「東秋川橋」バス停などを利用するといい。