八王子市上野町
上野町八重桜並木
Visited in April 2024

八王子市上野町の中央部を南北に抜ける都道506号は八重桜の並木だ。例年、四月中頃に花期を迎え、街路を鮮やかな春色に染める。八重桜が満開を迎えた四月中旬、上野町の八重桜並木を歩いた。

例年、四月中旬に花を咲かせ、街路を春色に染め上げる。地元の人には季節の風物詩的に親しまれている八重桜並木である。

八重桜が花を咲かせるのは落葉樹の新緑が芽吹く時期だ。金剛院境内の木々も陽光に輝いている。それを背景に見る八重桜が鮮やかなコントラストで美しい。金剛院の道路向かいには「時の鐘」として知られる鐘楼や天満神社なども建っている。それらの建物を背景に見る八重桜も興趣に富んでいる。

歩道は比較的広く、歩きやすい。満開の八重桜の下を歩けば春爛漫の気分で楽しい。通りがかりに足を止め、八重桜を見上げる人やカメラのレンズを向ける人の姿もある。地元の人にとっては毎年のことだが、やはり満開の頃の景観は足を止めて眺めたくなる美しさだ。

「八王子消防署入口」交差点から東側、南大通りは花水木の並木だ。八重桜に比べれば少し地味だが、花水木もほぼ同じ時期に花期を迎える。八重桜並木散策のついでに花水木並木も楽しんでおきたい。

上野町公園横で、道は少し坂道となって南へ上っている。緩やかに曲がってゆく坂道の歩道の表情が素敵だ。横には上野町公園の木々の緑が彩りを添える。北側から坂道を見上げるように眺めるのもよく、あるいは南側の坂の上から見下ろす景色もいい。道路の曲がりと坂と公園の緑と八重桜とが織り成す景観の興趣を存分に楽しみたい。

この道路、将来、山田川を橋で越え、緑町の丘陵部をトンネルで抜けて、国道16号(緑町920の辺り)と都道506号を繋ぐ広い道路として整備される計画になっている(2024年現在、用地取得が進められている)。「八王子都市計画道路3・3・10号東京環状線」と呼ばれる道路だ。この道路が完成すると、この辺りの交通の流れは大きく変わるだろう。上野町公園横は今は車の通行の少ないところだが、ここも交通量の多い道路に変貌するのだろう。

都道506号は上野町の町域内をほぼ南北に延びているから、午前と午後では日の当たり方が変わり八重桜並木の表情も変わる。東側と西側とに同じように日の当たる正午頃が、街路の印象が明るくてお勧めかもしれない。

上野町の八重桜並木は美しい景観の楽しめるところだが、都道506号の交通量は少なくなく、のんびりと散策を楽しむには少しばかり不向きかもしれない。八重桜が花期を迎える季節、金剛院などの寺社を巡っての散策と併せて楽しむのがお勧めだ。八王子駅南口から「八王子消防署入口」交差点までほぼ1km、それほど遠くない。


