横浜線沿線散歩公園探訪
八王子市別所
別所実緑地
April 2003
別所実緑地
八王子市別所の中央部あたり、京王線の線路近くに、低地となった住宅地を囲むように斜面の緑地が連なる一角がある。地図を確認すると、この低地となった住宅地は別所ではなく松木であるようだ。この斜面の緑地の南側の部分を、「別所実緑地」という。

緑地の斜面は、元来は谷戸に落ちる丘陵の斜面であったのだろうか、今はその面影もなく幾何学的に整備されたなだらかなスロープに姿を変えている。スロープは途中に段差を設け、そこに散策路が延び、ところどころに斜面下と上とを繋ぐ階段が造られている。斜面を降りたところにはわずかばかりの広場が設けられ、四阿なども置かれている。
緑地の西端部分には高所となったところに円形に張り出すように展望台が設けられ、そこからは北方に視界が開けて松木地区の大田川沿いの町並みを眺めることができる。展望台下から西へはそのまま明確な境もないままに「別所やまざくら公園」へと繋がっている。

別所実緑地からの眺望
緑地の斜面途中の散策路を歩くと、北西側に視界が開けて開放的な気分が味わえる。正面、北側にも緑地が見えるが、「長芝原緑地」という別の緑地であるらしい。その横手の丘の上には松木中学校の建物が見える。松木中学校の横の交差点から道路が孤を描いて眼下の低地部分へと降りてきていて、その道路の描く曲線が幾何学的な美しさを見せてくれる。この道路はそのまま多摩ニュータウン通りの「松木中下」交差点に至り、さらに「おかんどう橋」で大田川を越える。

別所実緑地の屋根付きのベンチ
散策路途中に、競技場の観覧席を思わせる意匠の、屋根付きのベンチが設置されている。緑地のベンチとしてはなかなか大がかりな設備にも思われ、その特徴的な意匠に興味を覚える。確かにそこに腰を下ろせば、眼前の景色を眺めながらののんびりとしたひとときが過ごせるのだが、これほどの設備となると何らかの目的があるのだろうかと思ってしまう。

その屋根付きのベンチの一角を過ぎると、斜面の緑地は回り込むように北へ延びて松木中学校へと近づいてゆく。そのあたりで斜面の階段を上がると、すでに「別所くすのき公園」となる。
丘陵地を造成した住宅地の場合、斜面林をそのままに残して緑地とすることは少なくないが、このような形に整備したものは多摩ニュータウンではあまりないのではないか。中央部の低地を囲むように孤を描く斜面、その斜面のなかほどを辿る散策路。特筆するほどの設備があるわけではないが、散策路を辿る時の眺望が楽しい。散策路脇には花壇のようなものが置かれているが、花々はなく、ローズマリーやセージなどが植えられていた。緑地全体が洋風庭園を思わせる設計がなされているようにも思える。

「別所実緑地」は西では「別所やまざくら公園」へ、東では「別所くすのき公園」へ、それぞれ境界無く繋がって全体でひとつの公園のように機能しているようにも思える。それらの南東側の丘の上の別所の住宅街はまだ新しい街だが、それだけに街自体の佇まいも美しい。
別所実緑地