横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市都筑区茅ヶ崎南
茅ヶ崎公園
April 2006
茅ヶ崎公園
横浜市都筑区茅ヶ崎南一丁目の町に「茅ヶ崎公園」という公園がある。この一帯が港北ニュータウンとして造成される以前は丘陵の斜面だったのだろう。公園の立地は南が高く、北に低い。園内は草はらの広場や雑木林などによって構成され、北側には池もあり、昔の面影を彷彿とさせるような沢も残されている。特筆するほど規模の大きな公園ではないが、緑に溢れた魅力的な公園だ。
茅ヶ崎公園は周辺が住宅地として造成される以前の樹林をそのままに残して整備された公園なのだろう。北へ降りる斜面のほとんどを雑木林が占めており、その林の中に抱かれるように草はらの広場や池などを配して公園は構成されている。外縁部には公園を取り巻くように舗道が延び、それらを繋いで園内を小径が辿っている。南側の外縁部を辿る舗道は「ささぶねのみち」の一部を兼ねており、この茅ヶ崎公園が「ささぶねのみち」の東端にあたっている。東端を南北に抜ける舗道は「せきれいのみち」の一部を兼ね、だから茅ヶ崎公園は「ささぶねのみち」と「せきれいのみち」とを繋ぐ機能を果たしている。

茅ヶ崎公園
公園の東端部分には草はらの広場が置かれている。四阿なども置かれ、落ち着いた佇まいの広場だ。それなりの広さがあるから、地域のイベントの会場になったりするのかもしれない。広場の周囲は鬱蒼と木々が茂っており、住宅街の中に造られた公園であることを忘れてしまうほどだ。その木々の向こうに高層の建物が見え隠れして公園の立地を改めて思い出させるが、木々に包まれた広場は日常の喧噪からは遠く隔たり、静かで穏やかなひとときを提供してくれる。広場の隅に置かれた四阿ではのんびりと読書を楽しむ人の姿があった。時間を忘れてくつろいだひとときを過ごすことのできる憩いの場として、地元の人たちに親しまれているのだろう。

茅ヶ崎公園
広場は低地となった北側に池を見下ろしている。それほど大きな池ではないが、木々に包まれるように横たわる姿が良い風情で、岸辺の樹木が池に張り出すように大きく枝を広げる様子もいい。池は岸辺に降りて水際に近づくことができるように造られており、池の佇まいを間近に感じることができる。池の中を覗き込むと鯉の泳ぐ姿があった。池の北側の岸辺にはパーゴラとベンチを置いた一角があり、そこから眼前の池とその向こうに広場を、さらにその向こうに緑に茂る木々を眺めることができる。穏やかな空気感に満ちてなかなか素敵な眺めだ。散策を楽しむグループだろうか、パーゴラの下で一休みする人たちの姿があった。この池のある辺りが公園の北東側の端にあたり、東西に舗道が延びている。東へ延びる舗道は「せきれいのみち」を成している。西へ延びる舗道は公園北側の外縁部を辿っている。

茅ヶ崎公園
公園の北側は湿地だ。舗道の横には里山の谷戸そのままの姿で雑木林に抱かれた湿地があり、沢が流れている。湿地の様相は住宅街の中の公園とはとても思えない。住宅地として造成される以前から、ここはそうした風景だったのだろう。さらに西へ行くと湿地の中に木道を設置した一角もあり、木道を歩けば水辺の様子を間近に感じることができて楽しい。

公園の西側部分には「自然生態園」という名の区画があり、ここには昔のままの谷戸田や溜め池などが保存されている。「自然生態園」はフェンスで囲まれており、通常は立ち入ることができず、春夏の土日祝日のみの開放となっている。谷戸の自然、そしてその自然と共にあった人々の営みを、昔のままに保全することが「自然生態園」のテーマなのだろう。「自然生態園」の水田は、隣接する茅ヶ崎小学校の児童たちの米作り体験などにも使用されるという。
茅ヶ崎公園
茅ヶ崎公園の南側中央部にはプールが設置されている。円形のプールは建物自体がひとつのオブジェを思わせる意匠だが、その中央部から空中に突き出たモニュメントがひときわ目を引く。どうやら可動式のモニュメントのようで、風を受けてモビールのように少しずつ形を変えてゆく。金属のモニュメントはその向きによって陽光を照り返し、きらきらと光る。モニュメントについて記された解説などは見つけることができなかったのだが、このモニュメントは何を象ったものだろうか。魚の胴体と尾鰭を抽象化したデザインのようにも見える。青空を背景にして風に泳ぐ金属のモニュメントに陽光が跳ねる。その様子がなかなか美しい。

茅ヶ崎公園
プールの西側には草はらの斜面が北へ降りている。緩やかな斜面となった草はらの端を、優美な曲線を描いて遊歩道が辿っている。南側の高みから北を見下ろすと「丘の上」に立っているという感覚があってなかなか爽快な眺めだ。今は整備された公園の中の草はらの斜面だが、かつては丘の斜面に畑の広がる土地だったかもしれない。そんなことを想像しながら眺めてみるのも楽しい。斜面を降りてゆくと小さな橋で沢を渡って公園北側の外縁部を辿る舗道へと至る。その北側には茅ヶ崎小学校が隣接しているために、この草はらの斜面を通り抜けてゆく子どもたちの姿も少なくない。子どもたちの通学路としても機能しているのだろう。
南が高く、北が低い立地の茅ヶ崎公園は、南側では視界の開けた「丘」の風景が、北側ではひっそりとした谷戸の風情が楽しめる。林の中を抜けてゆく小径もあり、雑木林の魅力も存分に楽しめる。広大な面積を有する公園というわけではなく、また西側の一角は「自然生態園」が占めているために通常利用できる部分が限られているが、端正に整備された中に昔ながらの自然を残した公園の在り方はとても魅力的だ。地元に暮らす人たちの日常的な散歩道としてはもちろん、遠方から訪れた立場の者にとっても素敵な散策のひとときを提供してくれる公園であるように思える。公園に駐車場はなく、横浜市営地下鉄「仲町台」駅からも「センター南」駅からも少々距離があるのが難点だが、周辺の緑道などを巡りながら訪れるとよいだろう。

前述したが茅ヶ崎公園は港北ニュータウン南部を辿る緑道「ささぶねのみち」と「せきれいのみち」の接点としても機能している。公園南側の外縁部を辿る「ささぶねのみち」を西へ辿ると「萌黄橋」で「歴博通り」を越えて、西に隣接する大原みねみち公園が近い。公園南東側から「せきれいのみち」を東へ辿れば、住宅街の中を抜けて横浜市営地下鉄「仲町台」駅近くへ至り、せせらぎ公園へと辿ることができる。併せて散策を楽しむのがお薦めだ。
茅ヶ崎公園

茅ヶ崎公園

茅ヶ崎公園