横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市都筑区勝田南〜仲町台〜新栄町
せせらぎ公園
July 2004
せせらぎ公園
横浜市営地下鉄仲町台駅の北方に「せせらぎ公園」という名の公園がある。周辺は港北ニュータウンとして造成された整然とした住宅街で、そこに暮らす人たちの憩いの場として親しまれている。公園はなかなか規模も大きく、地図を見ると勝田南、仲町台、新栄町の町に跨って広がっている。公園はおよそ三つの部分から構成されており、それぞれの部分が三つの町のそれぞれに位置しているようだ。公園は水の流れと池を中心にして整備されたもののようで、新興の住宅街の中にひっそりと穏やかな空気を湛えて横たわっている。
せきれいのみち
仲町台の駅から北へレストランなどの並ぶ美しいプロムナードを歩くと、すぐに公園に着く。この辺りが公園のメインエントランスと言えるかもしれない。「せせらぎ公園」という名が示すように、園内には水路があり、その水路脇を遊歩道が東西に抜けている。遊歩道には「せきれいのみち」という名が与えられている。遊歩道はこの公園内だけに設けられたものではなく、東西に長く延び、西へ辿るとやがて茅ヶ崎公園へと至り、さらに延びている。東はやがて北寄りに曲がって早渕川近くまで延びる。遊歩道は緑に溢れ、大小の公園を繋ぎながら港北ニュータウン内を辿る。それによってさまざまな公園が有機的に繋がれ、より大きな公園として機能している側面もあるのだろう。
せせらぎのある広場
仲町台駅前から公園内に入ると右手(東側)に草はらの広場がある。広場はそれほどの広さはないが、木々に囲まれ、適度な閉塞感が落ち着いた佇まいだ。広場の木陰ではシートを広げて公園でのひとときを楽しむ親子連れの姿がある。訪れた日は真夏の暑い日だったから、水路で水遊びする小さな子どもの姿もあった。水路はもちろん人工的なものだが、水辺にはさまざまな植物が茂り、自然の小川を彷彿とさせる。ザリガニ釣りを楽しむ子どもたちもいる。
せせらぎの辺で
運動広場
その草はらの北側、木々の向こうに一段上がって「運動広場」と名付けられたグラウンドがある。グラウンドは開放感に溢れており、外郭部分の並木が無機質になりがちな風景に潤いを与えている。なにかのクラブだろうか、グラウンドの隅では小さな子どもたちのチームがサッカーをやっている。ユニフォーム姿でボールを追う子どもたちの姿が可愛い。また他のところではラジコンのバイクを走らせて楽しむ年配の男性の姿があった。その横をベビーカーを押した若いお母さんが横切ってゆく。のどかな公園の風景だ。
中央部の小池
水路脇の遊歩道を東に辿ると小さな池がある。池の脇には四阿が置かれ、ベンチに腰を下ろしてくつろぐ人の姿がある。その横を、「せきれいのみち」を通路代わりに利用する地元の人々が行き交っている。その池の背後、南側には雑木林の残る一角がある。このあたりが住宅街となる以前からあった林をそのまま残したものなのだろう。林の中には小径が辿っているが、あまり歩く人もないらしく、夏草に覆われてひっそりとしている。
池
さらに東側へ辿ると、道路をくぐって新栄町側の区画へと出る。こちらの一角が、実は「せせらぎ公園」のメインと考えていい。木々に囲まれてひっそりと池が横たわっている。池はこうした公園内の池としてはなかなか大きなもので、その池の岸辺を遊歩道が辿り、随所にベンチが置かれている。遊歩道を通り抜けてゆく人たちも多いが、のんびりと散策を楽しむ人やベンチで談笑する人たちの姿もある。夏の暑い日には、やはり水辺の涼しげな風情が嬉しい。池の東端の岸辺には藤棚があり、その下のベンチに腰を下ろすと池を渡る風が涼しく、ひととき夏の暑さを忘れることができた。
池

真っ青な夏空の下に静かに池が横たわり、その周囲を緑濃い木々が囲む。その木々の向こうに高層の建物の上部が見え隠れする。風景としてもなかなか美しい。池の周囲の木々は桜で、春には美しい景観となってお花見を楽しむ人たちが訪れるようだ。池の中央辺りには睡蓮が浮かんでいる。この時期、朝方には睡蓮の花を楽しむことができる。
池
古民家
池の北側の岸辺から対岸を見ると、古い民家が建っているのが見える。古民家が移築されているのだ。池の西側から小さな橋を渡って遊歩道を辿ると、古民家の建つ池の南岸の一角に着く。古民家は旧内野家の住宅を港北ニュータウン事業に伴って公園内に移築したものという。パンフレットに依れば、内野家は京都の出身で、「大坂夏の陣の功績により荏田に領土を与えられ」た旧家であるそうで、移築された主屋は江戸中期から後期にかけての建築であろうという。保存管理の都合上、現在は銅板葺きに改めてあるが、本来は茅葺きであったそうだ。主屋の南側には長屋門が移築されている。この長屋門は旧内野家のものではなく、東京都目黒区にあった旧小杉家のものだそうで、当主が横浜と関わりがあったためにこの公園内に移築されたものという。本来は脇部屋があったものだが、移築の際に取り除き、門部分のみとなっている。

古民家の中にはさまざまな調度品なども展示され、建物の佇まいに往時が偲ばれる。団体利用では予約が必要のようだが、個人であれば開館時間内は無料で自由に見学できる。パンフレットが用意されているので、興味のある人は貰っておくとよいだろう。古民家の建つ一角は周囲に木立が茂り、この公園の中でも特に落ち着いた佇まいが魅力だ。主屋の前に置かれたベンチに腰を下ろし、池を眺めながらくつろいだ時間を過ごすのもいい。
古民家古民家
せせらぎ公園は全体の総面積はかなり広いにも関わらず、それぞれの区画がそれぞれ独立している印象もあり、広々とした開放感というものには乏しい。どちらかと言えば木々に囲まれて落ち着いた印象の佇まいが魅力の公園だと言うことができるだろう。子どもたちのための遊具類はこれといって設置されておらず、子どもたちの遊び場としては少々物足りないかもしれない。トイレは二カ所に設けられており、それほどの不便はない。
池の辺で

公園に駐車場はなく、訪れるときには横浜市営地下鉄やバスを利用しなくてはならないが、公園は仲町台駅から至近だ。駅周辺にはさまざまな商業施設があるから食事などにも困らない。駅から公園に至るプロムナードはカツラやクスノキが植えられ、プロムナードそのものが美しくお洒落な雰囲気に満ちていて歩いていても楽しい。公園に近い辺りにはお洒落なレストランなども並ぶ。公園散策のついでにそれらのレストランで食事を楽しむのも良さそうだ。
公園前の風景公園前の風景

新興の住宅街として造成された港北ニュータウンの中にこのような緑に溢れた公園があるというのはとても素敵なことだろう。園内の池や水路は造成以前からあったものを整備したものだろうか。水辺のある公園として、特に初夏から夏にかけての涼を求めての散策が魅力的であるように思える。地元に暮らす人のための憩いの場であることはもちろんだが、池の風情や古民家など、遠方から訪れても充分に楽しめる公園であるに違いない。歩くのが好きな人であれば、さらに足を延ばして「せきれいのみち」散策を楽しむのもお勧めだ。
せせらぎ公園