横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市都筑区中川
烏山公園
May 2014
烏山公園
横浜市都筑区中川二丁目、横浜市営地下鉄ブルーライン中川駅の西に、烏山公園という公園がある。公園は小高い丘を成しており、そのほぼ全域を鬱蒼とした雑木林が占める。港北ニュータウンの住宅街の中に於いて、貴重な植生を残す公園だ。
烏山公園は少し離れたところから眺めると、鬱蒼と木々の茂る山である。おそらく昔からそうした姿で、「烏山」の名で呼ばれていたのだろう。今はその周囲は港北ニュータウンの整然とした住宅街だが、その中でここだけ昔の姿を残しているように思える。

烏山公園
公園の東側には県道102号線の「中川」交差点と県道13号線の「柚の木」交差点とを繋いで広い道路が抜けており、この道路が中川一丁目と中川二丁目との境になっている。道路の東側は横浜市営地下鉄中川駅を中心とした中川一丁目の町、道路の西側は中川二丁目の町で、烏山公園は中川二丁目のほぼ中央に位置している。公園の北側、西側、南側は住宅街に面し、北側と西側の公園外縁部には舗道が沿っている。北側の舗道から東へ烏山歩道橋が道路を跨いで中川一丁目の町へ繋いでいる。烏山公園は東側からは出入りができず、西側へ向けて開かれている印象だ。北西側の角と南西側の角には舗道と一体化するように広場が設けられ、特に西南の角の広場には公園名を記した石標も設置されているから、この辺りが公園のメインエントランスという位置付けなのかもしれない。

烏山公園

烏山公園
舗道脇の広場から園内に入ると、そこは別世界だ。鬱蒼と木々が茂る中を“山道”と呼んで差し支えないような小径が辿っている。見事な竹林が目を引くが、この地域がかつて筍の名産地として知られていた時代の名残らしい。園内の樹林を成す木々はクヌギやコナラ、ケヤキ、ミズキなど、いわゆる里山の雑木林の植生だと言っていい。おそらく港北ニュータウン造成前の姿がそのままに近い形で残されているのだろう。

樹林の中の小径を辿って行けば、やがて丘の頂上部へと至る。頂上部は少し木々が取り払われ、そこにベンチが置かれている。頂上部のベンチに腰を降ろしていると、ニュータウンの住宅街の中の公園であることを忘れる。周囲を木々に囲まれ、まさに“山の中”である。交通量の多い道路がすぐ脇を通っているために、園内にも木々の隙間から車の音が届くが、それほど喧噪感を感じるほどではない。耳を澄ませば野鳥の声と風にそよぐ木々の音が聞こえてくる。訪れたのは五月の上旬だったが、どこからかウグイスの声も届いていた。

烏山公園
丘の東側斜面には「展望所」が設けられており、四阿とベンチが置かれているが、ベンチに腰を降ろしても葉を茂らせた木々が視界を遮り、遠くまで見渡せるような眺望が楽しめるわけではなかった。冬になって落葉樹が葉を落とせば、そこからの眺めの印象も違うのだろう。

烏山公園は、以前は入るのが憚られるほど荒れていたらしい。今は愛護会を中心とした地元の人々の尽力によって整備が行き届き、気軽に雑木林散歩を楽しめる公園になっていると言っていい。これほどの雑木林がニュータウンの住宅街に残されているのは貴重なことだろう。樹林の中の小径を歩いていると、散策を楽しむ地元の人に何度か出会った。地元の人にとっても大切な緑地であるに違いない。開放感のある広場も無く、遊具類も無いが、雑木林の丘という公園そのものの姿にこそ大きな存在意義があるのだろう。
烏山公園は「近隣公園」という位置付けで、遠方からの来園者を迎える性格の公園ではない。約2haの面積も特筆するほど規模の大きなものでもないが、その中に残された雑木林の姿は魅力的だ。雑木林散策の好きな人なら楽しめるだろう。

公園は横浜市営地下鉄中川駅から至近で、駅から北側へ出て西に向かえば数分で着く。来園者用の駐車場は設けられていないが、中川駅周辺にコインパーキングがあり、車で訪れる場合はそれらを利用すればいい。

中川駅の東側から東へ向けて「くさぶえのみち」という緑道が延びており、緑道沿いには山崎公園や牛久保公園などの公園が点在している。それらの公園を巡りながら、「くさぶえのみち」へと散策の足を延ばすのもお勧めだ。
烏山公園