横浜線沿線散歩街角散歩
横浜市都筑区茅ヶ崎中央〜中川
早渕川
(センター橋〜中荏橋)
May 2014
早渕川(センター橋〜中荏橋)
新緑の美しい五月の半ば、横浜市都筑区を歩いた。横浜市営地下鉄のセンター南駅から早渕川の河岸に出て、河岸を上流側へと歩き、中川駅を目指すコースを辿ろう。早渕川の左岸側、すなわち北側には大小の公園が点在している。それらの公園に立ち寄りながら歩いてみたい。
早渕川河岸へ降りる舗道
横浜線中山駅から横浜市営地下鉄グリーンラインに乗り換え、センター南駅で降りた。駅から北側へと向かうと黎明歩道橋という名の人道橋が一般道を跨いで舗道を早渕川の河岸へと繋いでいる。舗道の両脇、頭上には横浜市営地下鉄ブルーラインとグリーンラインの高架が並んで延びている。その光景が少しばかり近未来的な印象も与える。舗道はそのままセンター橋によって早渕川を跨いで中川中央の町へ延びているが、今回はセンター橋を渡らず、早渕川の右岸側(南側)を上流側へと辿って行こう。

境田橋
センター橋袂にはお地蔵様が祀られている。このお地蔵様は「堰のお地蔵さん」と呼ばれ、昔から「子育て地蔵」として人々の信仰を集めているという。今日の散策の無事をお願いして行こう。「堰のお地蔵さん」から河岸の舗道を辿る。200mほどで境田橋、「区役所通り」が早渕川を跨ぐ。境田橋は1992年(平成4年)に竣工した橋だ。ちなみに「港北ニュータウン」事業が着工するのは1974年(昭和49年)、その20年後の1994年(平成6年)に「都筑区」が誕生、「港北ニュータウン」事業が終了したのは1996年(平成8年)のことだ。「区役所通り」は広く、交通量も多い。境田橋の袂では横断できないため、少し南の「境田」バス停近くの交差点で「区役所通り」を渡ろう。

杉山神社下
交差点を渡れば、西側には都筑中央公園が広がっている。都筑中央公園ももちろん「港北ニュータウン」事業の一環として整備された公園で、園内の「展望広場」と名付けられた丘の上には「港北ニュータウン建設事業記念碑」が建てられている。都筑中央公園は里山の風景を残した広い公園で、区役所通りに面した北東端には杉山神社が鎮座している。正確には神社は公園の区域外なのだが、昔ながらの風景が公園の一部のように残されている。杉山神社下には小さな池がある。その池の岸辺近くにカキツバタが咲いていた。
カキツバタ
早渕川河岸の風景
境田橋の袂からまた早渕川の左岸を上流側へと辿ろう。ちょうど都筑中央公園の北側に当たり、河岸から南を向けばこんもりと木々に覆われた公園の丘が見えている。少し進むと河畔には畑地が残り、長閑な風景だ。「港北ニュータウン」は早渕川の北側の「第一地区」と南側の「第二地区」に分かれている。両者を繋ぐ形でセンター橋周辺が「中央地区」となっており、「中央地区」から離れた早渕川河畔は「港北ニュータウン」の範囲外らしい。ほんの少し歩いただけで劇的に風景が変化するのはそのためなのだろう。

緑道

緑道
境田橋から1km近く歩くと矢先橋という橋が早渕川を跨いでいる。矢先橋は1978年(昭和53年)に竣工した橋だそうだ。矢先橋の50mほど手前(東)、緑道と緑道に沿った小川が南から延びている。この緑道は都筑中央公園の西側外縁部から延びてきているもののようだ。

設置されている案内板によると、緑道は矢先橋を渡って中川八幡山公園の西側を抜けて山崎公園に至る「やさきのみち」と、矢先橋の袂から早渕川の左岸を辿って中崎橋から山崎公園に至る「しらさぎのみち」という散歩道を構成しているようだ。港北ニュータウン内には南側区域と北側区域とのそれぞれに点在する公園を結んでいくつかの緑道が整備されているが、「やさきのみち」と「しらさぎのみち」はその両者を繋ぐ役割を担っているようだ。

都筑中央公園西側から早渕川河岸にかけて、緑道は端正に整備され、ベンチも設置されて美しい佇まいだ。緑道に沿った小川には水辺の植物が育ち、道脇の竹林には筍が伸びている。五月の半ば、木々は新緑に萌え、日差しを浴びて輝いている。
筍
中川八幡山公園
矢先橋から「やさきのみち」を北へ辿って中川八幡山公園を目指そう。「やさきのみち」は(「しらさぎのみち」も)散策ルートに設定されてはいるが、ほとんどは緑道ではなく一般道だ。歩道を歩き、「矢崎橋」交差点を過ぎて少し行けば右手が中川八幡山公園だ。

中川八幡山公園はその名に“山”の文字があるように、小高い丘を成している。下の道路から園内の小径を登って丘上に出ると東から北にかけて眺望が広がる。センター北駅周辺の繁華街の景観も見えている。

早渕川河岸
中川八幡山公園を後にし、「やさきのみち」とは別ルートで早渕川の河岸に戻る。矢先橋の100mほど上流側には「矢崎橋」という橋が早渕川を跨いで県道13号線を通している。「矢先」も「矢崎」も「やさき」だと思うが、異なる文字で異なる橋の名になっているのがおもしろい。矢崎橋の袂から早渕川の右岸を辿ろう。河畔には昔ながらの長閑な風景が広がっている。早渕川を覗き込むと鯉の泳ぐ姿もある。穏やかな初夏の風景を楽しみながら、のんびりと歩こう。

中崎橋から見る山崎公園
矢崎橋から400mほど歩いて中崎橋、1977年(昭和52年)竣工の橋だそうだ。もちろんこの付近も河岸は港北ニュータウンの区域外、畑地の残る田園風景が広がっている。特に中崎橋西側の都筑区荏田南町から青葉区荏田町にかけての地域には住宅街に変貌する以前の“都筑の丘”の風景が残っている。一方、中崎橋から北東の方角を見るとこんもりと木々の茂った丘が間近に見える。地図で確かめるとすでに山崎公園が近く、その丘も山崎公園内の丘のようだ。中崎橋から山崎公園へと向かうのが「しらさぎのみち」のルートだが、山崎公園に立ち寄るのは後回しにして、今はこのまま早渕川を上流側へと辿ろう。
鯉
中荏橋からの風景
中崎橋から400mほど歩くと中荏橋(なかえはし)という橋が架かっている。中荏橋は1977年(昭和52年)の竣工だそうだ。中荏橋の辺りはちょうど区境に当たっており、早渕川の中荏橋上流部と中荏橋から南に延びる道路を繋いだラインの西側が横浜市青葉区、東側が横浜市都筑区になる。中荏橋から早渕川を離れ、北へ辿ろう。100mほど進むと交差点があり、そこから北は道路が広く整備されている。道脇は整然とした住宅街だ。港北ニュータウンの区域内に入ったのだろう。

宿之入公園
中川西中学校の横を抜け、中荏橋から500mほどで道路を跨ぐ歩道橋がある。夕映歩道橋といい、1989年(平成元年)に竣工したものだそうだから、港北ニュータウンが造成された際、道路の整備に伴って造られたのだろう。歩道橋に上がるスロープと階段が設けられているので、そこから上の舗道へと上がることにしよう。この辺りは中川二丁目の街、夕映歩道橋の北西側には宿之入公園という公園がある。ほぼ四角形の輪郭をした公園は広場を木立が取り囲むだけのシンプルなものだ。宿之入公園の中を通り抜け、北へ進もう。

烏山公園
宿之入公園の北西側の角から数十メートル進むと烏山公園という公園がある。こちらは宿之入公園とは全く性格が異なり、雑木林の丘を中心に構成された公園だ。公園の西側と北側には舗道が沿っており、その舗道脇には少しばかり広場も設けられているが、公園のほぼ全域が基本的に雑木林に覆われた丘だ。おそらく港北ニュータウン造成以前からあった丘を、ほぼそのまま残したものなのだろう。周囲が住宅街に変貌した今、貴重な雑木林と言っていい。

中川一丁目の舗道
烏山公園の北側外縁部を辿る舗道を東へ進むと烏山歩道橋によって道路を跨ぐ。烏山歩道橋は1988年(昭和63年)竣工だそうだから、比較的に早い時期に造られたもののようだ。烏山歩道橋を渡れば中川一丁目の街、横浜市営地下鉄中川駅も近い。町名にもなっている「中川」は明治期から昭和初期にかけて存在した「神奈川県都筑郡中川村」の村名に由来する。中川村は山田村、牛久保村、勝田村、大棚村、茅ヶ崎村が合併して1889年(明治22年)に誕生し、1939年(昭和14年)に横浜市に編入、当時誕生した「港北区」の一部となった。「中川」の名は村の中心部を貫いて早渕川が流れていたことから名付けられたものらしい(他説もある)。今は現代的な街に姿を変えた中川、舗道は美しく整備され、なかなかお洒落な雰囲気だ。
烏山歩道橋から烏山公園を見る
舗道からの眺望
今回の散策は中川駅を終点に予定していたが、このまま中川駅に向かわず、いったん烏山歩道橋を渡って中川二丁目の街に戻り、南へ下って夕映歩道橋を渡って東へ辿る。夕映歩道橋からそのまま東へ舗道が延びている。地図で確認すると、この舗道がちょうど中川一丁目と中川四丁目との境になっているようだ。舗道は緑道のように整備され、小公園のようなスペースも途中に設けられている。進んで行くと舗道は中川西小学校の南側へ大きく回り込む。小学校の南側からは南へ視界が開けており、早渕川河畔の住宅地を眼下に見下ろし、その向こうには木々の茂った小高い丘陵地が連なっている。青葉区荏田町の辺りだろう。

山崎公園
舗道はやがて山崎公園へと続く。山崎公園は比較的規模も大きく、園内には広場やプールも設けられ、南側の区域には雑木林の丘が残されている。夕映歩道橋から伸びてきた舗道は山崎公園の南側外縁部を辿る散策路へと繋がっている。南側は、どちらかと言えば山崎公園の“裏”という雰囲気だが、木々に包まれた舗道はしっとりと静かで、ゆったりと散策を楽しむには良いところだろう。途中、「しらさぎのみち」のルートを説明する案内板も設置されていた。地図を確認すると、中崎橋まで150mほどしかない。ずいぶんと遠回りをしたのだ。

くさぶえのみち
山崎公園の中を一巡りしつつ通り抜けて行く。山崎公園の北東側の端には池も設けられている。池の辺から北側へ道路をくぐると緑道が東へ延びている。緑道は「くさぶえのみち」、この地下には横浜市営地下鉄ブルーラインが通っている。「くさぶえのみち」を東へ辿って行けば牛久保公園も近いが、「くさぶえのみち」に沿っての散策を楽しむのはまた次の機会にしよう。西へ向かえばすぐに横浜市営地下鉄中川駅、中川駅からそろそろ帰路を辿ることにしたい。
以前から都筑区中川の辺りを、早渕川の河岸散歩を併せて歩いてみたいと思っていた。ようやく機会を作って訪ねたのだが、新緑の季節で行く先々で清々しい風景を楽しむことができた。中川八幡山公園山崎公園など、素敵な公園に立ち寄ることができたのもよかった。美しく整備された港北ニュータウンの街並みと、昔ながらの風景を残す早渕川河岸と、双方を歩くことができたのが今回のルートの良いところだったかもしれない。
早渕川(センター橋〜中荏橋)

早渕川(センター橋〜中荏橋)

早渕川(センター橋〜中荏橋)