横浜線沿線散歩街角散歩
多摩市落合〜乞田
乞田川の桜並木
April 2005
乞田川の桜並木
多摩市の多摩センター駅北側から、多摩ニュータウン通りの南側を流れる乞田川の河岸は桜並木だ。河岸の舗道を覆うように咲き誇る桜の並木は見事なもので、桜の名所としてよく知られている。桜が見頃を迎えた四月の上旬、この乞田川河岸を歩いた。
乞田川の桜並木
多摩センター駅から北側へ出るとすぐに乞田川だ。駅周辺に並ぶビル群の中に埋もれるようにして流れる乞田川は巨大な溝のような有様だが、この季節は桜に覆われて春の日差しに輝いている。河岸の桜並木はやや上流側の「稲荷橋」から下流側へ向けて続いている。駅の北側に当たる部分では河岸の舗道から川面近くへ降りてゆく遊歩道が設けられ、のんびりと散策を楽しむ人の姿がある。駅前の喧噪の中ではあまり落ち着かないが、桜は大きく、景観は見事だ。

乞田川の桜並木
駅のすぐ北側、落合橋から下流側へと桜並木の河岸を歩く。桜は大きく枝を広げて河岸の舗道を覆っている。咲き誇る桜の枝がすぐ近くまで垂れ、まさに「桜のトンネル」だ。桜色の空気に包まれるような感覚が楽しい。頭上の桜を見上げたり、延々と続く並木の遠くへ視線を向けたり、顔のすぐ近くまで垂れた枝の花に眼を凝らしたり、対岸の桜の枝振りに見とれたりしながら、のんびりと歩く。歩くに連れて駅前の喧噪も遠のいてくる。河岸の舗道には花見散歩を楽しむ人たちが行き交っている。

乞田川の桜並木
やがて上之根(かみのね)橋、ここまで右岸を歩いていたのだが、道路を横断したついでに左岸の舗道へと移る。まだ午前中だから南西から北東の方角へ流れる乞田川の、ちょうど右岸側から陽光が差す。右岸の舗道と左岸の舗道とでは陽光の陰影によって微妙に桜並木の表情が異なっている。上之根小橋という小さな人道橋を過ぎ、やがて久保谷(くぼや)橋、河岸の桜並木はなおも延々と続く。乞田川はほぼ真っ直ぐに流れる川だが、ところどころで緩やかに曲がる。その曲線に沿って桜並木も弧を描く。その様子が美しい。

乞田川の桜並木
少し歩くと「であい橋」という名の人道橋がある。中央部は展望デッキのような意匠に設えられてある。川の両岸を繋ぐ「橋」としての役割と共に、川の景観を楽しむための遊歩道のような役割も併せ持っている橋なのだろう。この橋からの景観が素晴らしい。上流側に目を向けても下流側に目を向けても、遥か遠くまで桜色の帯が川の両岸に続いている。春霞の空の下、のんびりと眺めていたくなる。花見散歩の途中らしい人々が橋に立ち寄り、橋中央部の「展望デッキ」からの景観に感嘆の声を上げる。その横を地元の子どもたちが自転車で走り抜けてゆく。

乞田川の桜並木
「であい橋」の横手、乞田川の左岸側に「乞田・貝取ふれあい広場」という公園がある。その名の通り、河岸に設けられた「広場」だが、脇の方には大型の遊具が設置してあり、子どもたちの遊び場としてはかなり充実しているように見える。広場の河岸側には水路が造られている。「はだしではいらないでね」との注意書きがある。夏には子どもたちの水遊びの場となるのだろう。この日も多くの親子連れが広場で遊んでいる。その横をお花見を楽しむ人たちがゆっくりと通り過ぎてゆく。のどかで穏やかな春の一日という様子が楽しい。

乞田川の桜並木
「乞田・貝取ふれあい広場」の東側では平戸(ひらと)橋が乞田川を跨いでいる。小学校の横を過ぎ、平戸小橋という人道橋を過ぎ、さらに下流側に辿るとやがて釜沼(かまぬま)橋、多摩ニュータウンの貝取と豊ヶ丘の町の間を抜けて多摩ニュータウン通りと尾根幹線とを繋ぐ道路だ。横手の横断歩道へまわって道路を横切り、さらに乞田川の河岸を下流側に辿る。右岸に小公園があり、その横で小さな川が乞田川に合流している。この辺りまで来るとそろそろ河岸の桜並木も終わりだ。すでに花期の終わった桜もある。

乞田川の桜並木
河畔の様子が少し賑やかになってくると、鎌倉街道が近い。大橋という名の橋があり、そのすぐ下流側に新大橋という橋がある。大橋は、その名に反してそれほど「大きな橋」ではないが、おそらくこの橋を通る道路が旧鎌倉街道だったのだろう。その横の新大橋が架けられて鎌倉街道もそちらへ移動したということなのだろう。新大橋の歩道から下流側に目を向けると、右岸に少しばかり桜並木があるだけで、それ以上は続いていないように見える。今回の乞田川河岸の花見散歩は、この辺りで終わることにしよう。
乞田川の桜並木

乞田川の桜並木
今回は多摩センター駅から出発して鎌倉街道まで歩き、帰路もまた河岸を辿って多摩センター駅へ戻ったのだが、鎌倉街道の新大橋近くまで行けば永山駅までそれほど遠くない。永山駅と多摩センター駅とを繋いで河岸の散策を楽しむのも良い方法のように思える。概して多摩センター駅に近いほど桜の木が大きく、桜並木の景観も見事だ。特に落合橋と上之根橋との間の桜は川面まで覆い尽くすほどの桜が素晴らしい。また「乞田・貝取ふれあい広場」近くの「であい橋」からの景観も素晴らしいもので見逃せない。

落合橋や上之根橋、釜沼橋など、一部の橋では広い道路によって河岸の舗道が分断され、道路を横断するのに近くの交差点の横断歩道までまわらなくてはならない。これが少し興醒めなところがあって残念な気がする。車の切れ間を縫って強引に道路を横断する人の姿も少なくなかった。河岸は基本的に住宅街だが、北へ逸れて多摩ニュータウン通りへと出れば飲食店なども並び、散策途中の食事や休憩にも困らない。「であい橋」付近から南へ入り込むと豊ヶ丘北公園が近い。足を延ばして寄り道してみるのも楽しい。乞田川河岸の桜並木が満開となる時期の週末、「桜祭り」も開催されるようで、賑わいの好きな人はこれに合わせて訪ねてみるのもよいかもしれない。
乞田川の桜並木