横浜線沿線散歩街角散歩
多摩市落合〜鶴牧
多摩センター
October 2006
現況と異なる内容を含んでいます
多摩センター
実は町名としての「多摩センター」は存在しない。京王相模原線と小田急多摩線、さらに多摩都市モノレールの駅名として「多摩センター」という名称が存在するだけなのだが、これらの駅周辺一帯の街並みのことも、地元では「多摩センター」と通称している。「多摩センター」にはさまざまな商業施設が建ち並び、繁華な佇まいを見せる。その名が示すように多摩ニュータウンの中心としての意味合いを持つところだと言っていい。
京王・小田急多摩センター駅
京王相模原線の多摩センター駅と小田急多摩線の多摩センター駅は寄り添うように隣接し、駅舎はほぼ一体化した建物を共有しているように見える。正式には「京王多摩センター」駅、「小田急多摩センター」駅と、それぞれ「京王」、「小田急」の名を冠した駅名になっているが、通常はそのどちらも、あるいは双方をまとめて「多摩センター駅」と言うことが多い。駅舎壁面には「小田急」と「京王」の名が上下に並記された後に「多摩センター駅」と記されており、駅の性格を物語っている。京王相模原線の「京王多摩センター駅」は1974年、小田急多摩線の「小田急多摩センター」駅は1975年と、ほぼ同時期に開業し、すでに三十余年を経ている。

多摩都市モノレールの「多摩センター」駅は、多摩都市モノレール自体がまだ歴史が浅く、2000年の開業だ。その頃には「多摩センター」の名はすでにこの一帯を指す「地名」として一般化しており、多摩都市モノレールの駅が「多摩センター」になったのも当然のことだろう。多摩都市モノレール「多摩センター」駅は京王線、小田急線の駅からは少し離れており、歩行者用のデッキで繋がっている。ちなみに多摩都市モノレール「多摩センター」駅は、2000年に選定された「関東の駅百選」の第4回選定駅のひとつになっている。車輪をモチーフにした駅舎デザインが評価されたものらしい。
パルテノン大通り
京王線、小田急線の駅の西口改札を出て南口へと出ると、広いペデストリアンデッキがバスターミナルを跨ぎ、そのまま「パルテノン大通り」という名の広い舗道となって南に延びている。「パルテノン大通り」は南に向けて緩やかな上り坂で、クスノキの並木がとても美しい。この「パルテノン大通り」に沿って、東側には「多摩カリヨン館」、「丘の上プラザ(イトーヨーカドー多摩センター店)」、「丘の上パティオ」といった商業施設が並び、西側には京王プラザホテル多摩も建ち、この周辺が「多摩センター」の最も繁華なところだと言っていいだろう。

京王プラザホテル多摩の南側の建物には現在は多摩センター三越と大塚家具が出店しているが、かつては多摩そごうが出店していた。2000年に株式会社そごうとグループ各社が民事再生法の適用を申請して事実上倒産、多摩そごうも閉店した。「丘の上プラザ」と「丘の上パティオ」、京王プラザホテル多摩、多摩センター三越が向き合うところは東西に伸びる舗道と「パルテノン大通り」とが「交差点」を成し、ちょっとした広場のようになっている。各種イベントの会場ともなるところだ。

丘の上パティオ前
「丘の上プラザ」の南側に舗道を挟んで建っているのが「丘の上パティオ」だ。ユニークな意匠が目を引く建物に、飲食店や雑貨店などが店舗を構えている。「丘の上プラザ」と「丘の上パティオ」が向き合うこの一角が「多摩センター」の中でもいちばん買い物客などの姿の多いところで、休日にはたいへんな賑わいを見せる。「丘の上パティオ」の南東側の区画には以前は駐車場があったのだが、現在はその場所に「丘の上パティオ」の新館と立体駐車場が建っている。「丘の上パティオ」新館は2005年11月に開業し、ワーナー・マイカル・シネマズとスポーツ用品店のスポーツオーソリティが出店、「多摩センター」の新しい施設として賑わいの一端を担っている。

株式会社ベネッセコーポレーション東京ビル
「丘の上パティオ」の向こう(東)にひときわ高いビルが見える。株式会社ベネッセコーポレーション東京本部の建物だ。100メートルを超す高さのビルは多摩ニュータウン内のさまざまなところから見ることができ、その意匠も美しく、今では「多摩センター」のランドマークのようになってしまった。このビルの最上階(21階)に「ベネッセ・スター・ドーム」という名のプラネタリウムがある。「星にいちばん近いプラネタリウム」だそうだ。土曜、日曜、休日、学校の春休み・夏休み期間などに個人向けの一般公開がなされている。団体利用は平日も可能だが、あくまで「子どもたちに観覧して欲しい」という意図が前提になっているところはベネッセらしいところだ。

ベネッセのビルを右に見ながら広い舗道を東に進めばサンリオピューロランドだ。特徴的な建物が正面に見える。サンリオピューロランド手前、ベネッセのビルの東側には多摩美術大学美術館が、またサンリオピューロランドの北側には東京都埋蔵文化財センターがある。それらの東側には「上之根大通り」が南北に抜け、通りの東側は豊ヶ丘の住宅街だ。
パルテノン多摩
「パルテノン大通り」の南端には、通りの名の由来にもなった「パルテノン多摩」がある。「パルテノン多摩」は正式には「多摩市立複合文化施設」といい、「パルテノン多摩」は市民からの公募による「愛称」だという。「パルテノン大通り」側から見ると大きな石段とその上のオブジェの佇まいなどが古代ギリシアのパルテノン神殿を彷彿とさせるという発想からの命名だろうか。「パルテノン多摩」は多摩市の文化振興のために造られた施設でホールやミュージアムなどを備え、1987年(昭和62年)に開館、財団法人多摩市文化振興財団が運営に当たっている。さまざまな公演や展示などが行われているが、「多摩丘陵の開発」をテーマにした「歴史ミュージアム」では緑濃い多摩丘陵が多摩ニュータウンとして変貌してゆく様子を見ることができて興味深い。「歴史ミュージアム」は入場無料なので散策のついでに立ち寄ってみたいところだ。

多摩中央公園
「パルテノン多摩」の南側には多摩中央公園が広がっている。池を抱える公園は木々に囲まれて緑濃く、多摩ニュータウンのシンボルのような公園だと言っていいだろう。池の南側に広がる芝生の広場は開放感が素晴らしく、休日にもなると大勢の人たちのくつろぐ姿を見る。公園の一角にはかつての連光寺村名主だった富澤家の住宅が移築復元されており、これを目当てに訪れる人もあるようだ。東側には「グリーンライブセンター」という多摩市の施設があり、多摩市民のための「緑の相談所」という役割を担っている。グリーンライブセンターの奧には「ロマンティックガーデン」と名付けられた庭園があり、四季折々に咲く花々が美しい。花の好きな人には見逃せない施設だ。

レンガ坂
多摩中央公園の西側の外縁部をユリノキ並木の舗道が南北に延びている。「レンガ坂」という。まっすぐに延びる舗道にユリノキの並木が木洩れ日を落とし、なかなか風情のあるプロムナードだ。ユリノキは秋には黄葉し、美しい景観に染まる。レンガ坂から東に視界が開けており、谷筋を抜ける道路の向こうに鶴牧三丁目の地区が見える。鶴牧三丁目には「Tama Time」という商業施設があり、飲食店やホームセンターなどが広い敷地内に並んでいる。一角には「わんにゃんワールド多摩」があり、愛好家や子ども連れで賑わっている。「Tama Time」から「多摩中央公園通り」を挟んで北側は鶴牧一丁目で、新都市センタービル、多摩郵便局、多摩中央警察署などが並んでいる。

鶴牧東公園
「レンガ坂」を南へ辿るとウェルサンピア多摩の横を抜けて端正な舗道が落合五丁目の住宅街へ延び、舗道はやがて宝野公園に達する。宝野公園は東側の鶴牧四丁目に位置する奈良原公園と一対になるかのように二本の人道橋で結ばれ、奈良原公園からさらに北側へ鶴牧三丁目の鶴牧東公園へと人道橋が繋いでいる。鶴牧東公園から舗道を東へ辿れば宝野公園の北側へと戻ることができ、この付近はそれらの公園が舗道によって有機的に繋がれて全体でひとつの大きな公園として機能しているようでもある。周辺は基本的には住宅街だが、木々の緑に溢れ、公園を辿りながらの散策が楽しいところだ。

宝野公園横から見る富士山頂
宝野公園と奈良原公園とを繋いで東西に延びる二本の舗道は桜の並木で、「富士見通り」の名で呼ばれて桜の名所として親しまれている。「富士見通り」は、「富士見」というその名が示すように、天候に恵まれればその延長方向、西に富士山の頂を見ることができる。ウェルサンピア多摩の南側から宝野公園の東側を「西落通り」という名の道路が辿っている。「西落通り」は八重桜の並木で、四月中旬の花期には美しい景観を見せてくれる。また奈良原公園と鶴牧東公園の間の道路は「メタセコイア通り」といい、その名のようにメタセコイアの並木だ。春の新緑、秋の紅葉が美しい。他にもさまざまに素敵な景観を見せてくれるところがあるが、ここでは割愛しよう。
乞田川
一方、京王線、小田急線の線路の北側は低地となって乞田川が流れている。駅のちょうど北側の付近では河岸の舗道から川面近くへ降りて行けるようになっているが、周囲にはビルが建ち並んでおり、少々風情に欠けるのが残念だ。この乞田川の河岸はやや上流側の「稲荷橋」から下流側は鎌倉街道の辺りまで、延々と川の両岸に桜並木が続き、春の花期には見事な景観を見せてくれる。多摩市の桜の名所のひとつとしてよく知られ、桜祭りも開催されて賑わうところだ。桜が盛りを迎える頃には大勢の人たちが河岸の舗道を行き交って花見を楽しんでいる。

多摩ニュータウン通りを越えてゆく多摩都市モノレール
乞田川の北側には乞田川と平行するように「多摩ニュータウン通り」が東西に走っている。「多摩ニュータウン通り」は「多摩ニュータウン」と冠する名が示すように多摩ニュータウンを東西に貫く大動脈と言ってよく、車両の通行もたいへんに多い。広い道路の歩道と中央分離帯にはイチョウの並木があり、晩秋には美しい黄葉に染まる。「多摩ニュータウン通り」の北側は丘陵地で、その丘陵を越えて広い道路が南北を繋いでいる。その道路に沿って多摩都市モノレールが北へ延びる。駅のすぐ北側の「多摩山王橋」交差点に立つと、頭上を多摩都市モノレールの軌道が跨ぎ、「多摩センター」駅を発着するモノレールの姿を間近に見ることができる。北側の丘陵は住宅地で西側は八王子市松が谷、東側には八王子市鹿島と多摩市愛宕の町が広がっている。双方とも大小の公園が点在して緑も多く、のんびりと散策を楽しむのにもよいところだ。

「多摩山王橋」交差点から「多摩ニュータウン通り」を少しばかり東に辿ると、「島田療育センター入口」交差点の脇から南東側へ斜めに逸れる道路がある。道路は「中沢池公園通り」という名で、奥まったところに中沢池公園がある。周囲はゴルフコースで、そのゴルフ場に囲まれるような立地だ。池を抱える公園で、花菖蒲の名所として知られている。駅からは少し距離があるが、花菖蒲が盛りを迎える季節に訪ねてみるのもいい。
多摩センター多摩センター

多摩センター多摩センター
「多摩センター」は商業施設が建ち並び、休日には買い物客で賑わうところだが、買い物のついでに多摩中央公園でのんびりと過ごす人も少なくないようだ。駅前の街並みにも雑然としたところがなく、整然とした端正な佇まいを感じさせるのがいい。「多摩そごう」が閉店した直後の時期には少し寂れた観もあったが、また近年になって商業施設も増えて賑わいを増してきているように感じる。特に年末年始は恒例となった「多摩センターイルミネーション」が開催され、多くの人出で賑わうようだ。「多摩センター」へは当然のことながら京王相模原線や小田急多摩線、多摩都市モノレールでのアクセスが便利だが、車でやってくる人も少なくない。かつては駐車場が足りず、休日などには駐車待ちの列が道脇に並んだものだが、最近では駐車場も多くなり、それほど困ることはなくなったようだ。
追記 2008年(平成20年)春、「レンガ坂」の東側の斜面だったところに「クロスガーデン多摩」というショッピングモールが開店した。鶴牧三丁目の「わんにゃんワールド多摩」は2009年(平成21年)1月12日をもって閉園、「ウェルサンピア多摩」は2010年(平成22年)3月31日で閉館した。

追記 「多摩カリヨン館」は2015年(平成27年)4月1日に「マグレブEAST」としてリニューアルオープンしている。
多摩センター