横浜線沿線散歩街角散歩
町田市能ヶ谷町〜大蔵町〜野津田町
鶴見川河畔
(大蔵〜野津田)
November 2006
鶴見川
よく晴れた11月初旬、鶴見川に沿って歩いた。鶴川駅から鶴見川の河岸へと出て、上流側へと辿って袋橋の辺りまで歩いてみようと思ったのだった。
鶴見川
町田駅で横浜線から小田急線に乗り換え、鶴川駅で降りた。駅の名は「鶴川」だが、駅の辺りは住所の上では町田市能ヶ谷町になる。鶴川駅を南口へと出て、狭い道を少し南へゆくとすぐに鶴見川の河岸に出る。川井田(かわいだ)人道橋という小さな橋が鶴見川を跨いでいる。川向こうは川崎市の飛び地、岡上だ。岡上地区は長閑な田園風景の広がるところだ。岡上もいずれまた機会を設けて歩いてみよう。鶴見川の右岸、岡上側の河岸の道を上流側へと辿る。河畔には住宅が建ち並んでいる。すぐに「河川維持管理区分界」を示す標識があった。ここから上流側は東京都南多摩東部建設事務所、下流側は神奈川県川崎治水事務所の管轄という。

鶴見川
大正橋で右岸から左岸へ移った。少し行くと、左岸側へ回り込む水路のようなものがある。水路といっても水は流れていない。水の無い水路に沿って舗道が設けられている。この舗道に降りて辿ってみた。鶴見川の左岸側の住宅地の中を回り込み、途中小田急線の線路をくぐって再び鶴見川に戻った。地図を見ると、この大きく回り込む水路と舗道が市境に当たっている。おそらく鶴見川の蛇行の跡なのだろう。少し上流側へと進むと川井田橋だ。川井田橋の下流側右岸に半円形の緑地があった。これも鶴見川の蛇行の跡に違いない。緑地には木々が植栽され、ベンチも置かれて小公園の佇まいだ。川井田橋上流側左岸には川面近くまで降りて行けるように階段を設けたところもあった。これも蛇行後を整備したものかもしれない。この辺りから左岸は町田市大蔵町、右岸は町田市金井町になる。

鶴見川
河畔の風景を眺めながら上流側へと進むとやがて下川戸(しもかわど)橋、都道3号線、通称「鶴川街道」が鶴見川を越えている。鶴川街道は交通量も多く、周辺はなかなか賑やかだ。信号のある交差点へまわって鶴川街道を横断し、さらに左岸を上流へと辿る。やがて八坂(やさか)橋、河畔は住宅地だがところどころに畑地も残っている。広々とした風景が広がり、その中に送電線の鉄塔がそびえたっている。蒼く澄んだ秋空を背景に見る鉄塔の姿はひとつのオブジェのようにも見える。さらに進むと弁天橋だ。八坂橋から弁天橋まで、右岸に並ぶ住宅の向こう側に緑道が延びている。その様相から見て、この緑道も蛇行跡を整備したものだろう。弁天橋の上流側の袂、左岸側に小公園があり、川面近くまで降りられるように造られている。

鶴見川
弁天橋を過ぎ、さらに進んで住吉橋を過ぎる。河畔は住宅地だが住宅の間に田畑も残っている。もう十一月だが稲を干してある田もある。河岸には川面近くまで降りて行けるように造られたところがある。人工的な河原といったところだ。右岸側には河岸間近に林が迫る。この辺りでは主要道が遠のいたのか、車の騒音が遠のき、静かな中に鳥の声が聞こえている。さらに進んで関山橋、川面を眺めながら歩いていると視界の中を鮮やかな色彩の何かが過ぎった。眼を凝らして正体を見てみるとカワセミだった。カワセミは川の端の土砂の堆積したところでしばらく休んでいたが、やがてどこかへ飛び去ってしまった。このような住宅地の中の河川でカワセミの姿を見ることができて嬉しい気分だ。

春日神社
さらに上流側に進むと春日橋だ。春日橋を渡る道路を南へ、道なりに進むと丘の上に春日神社が鎮座している。昔は鎮守の森が広がっていた丘なのだろうと思うが、今は造成されて住宅地へ変貌している。その中にあって、神社の境内だけが時の流れを封じ込めているようにも感じられる。境内に設置された御由緒に依れば、五代将軍綱吉の頃、宝永4年(1707年)9月に増福寺法印頼盛が奈良の春日大社を勧請して創建したものという。かつては旧鶴川村のほぼ中央に位置していたらしい。1909年(明治42年)に白山社、八幡社、住吉社、諏訪社、八坂社、稲荷社を合祀し、大蔵の総鎮守として人々の信仰を集めてきた。現在の社殿は1934年(昭和9年)に竣工したものという。社殿前の参道脇にはケヤキの大木が並び、歴史の古さを感じさせてくれる。このケヤキ並木がなかなか見事だ。幹も太く、何しろ高い。樹木に興味のある人であれば一見に値するのではないだろうか。

鶴見川
春日神社から丘を降りてまた鶴見川の河岸を歩こう。春日橋から上流側へ向かえばすぐに大蔵橋、小野路川が北方から合流する。この付近から河岸は野津田町だ。さらに川島橋、鍛冶屋車(かじやくるま)橋と続く。鶴見川は緩やかに蛇行しながら流れている。やがて袋橋、新袋橋が並ぶ。「袋橋」はバス停の名にもあるから知っている人も多いだろう。かつては袋橋が鎌倉街道だったが、今では野津田の丘陵を綾部原トンネルで抜けてきた片側二車線の広い鎌倉街道が新袋橋で鶴見川を越える。新袋橋のすぐ脇に鎌倉街道と芝溝街道とが交わる「新袋橋」交差点がある。その双方が主要道だから、交差点の周辺はとても交通量が多い。交差点の周辺には飲食店なども増えてきた。

鶴見川
せっかくだから参道橋、丸山橋の辺りまで歩いてみよう。この辺りは近年になって改修工事が行われ、河岸には遊歩道が整備され、参道橋は広い橋に架け替えられている。参道橋と丸山橋との間に、鶴見川が大きく蛇行するところがあり、なかなか興趣のある風景を見せてくれる。改修工事の後にもこの蛇行部分が残されているのは嬉しい。この蛇行部分から丸山橋にかけての鶴見川右岸には畑地が広がり、木々の茂った丘を背負って長閑な風景を見せる。秋の日差しの中、たいへんに美しい景色だった。今回の散策はこの長閑な風景で終わることにしよう。丸山橋から芝溝街道に出て少し西へ行けば神奈川中央交通の野津田車庫がある。そこから町田駅行きのバスに乗ろう。
鶴川駅付近から野津田町まで、鶴見川の河畔はほとんど住宅地だが、河岸には小公園が点在し、なかなか楽しめた散策だった。春日神社は地図に記してあるのを見て興味を覚えて立ち寄ったのだが、参道脇のケヤキの見事さが強く印象に残った。こうした寄り道が散策の醍醐味だ。
鶴見川